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モンスターも襲ってこないし走る速さも上がってるから結構早く着いた、と思う。

アイテムは継ぎ足して服用。

それでも5時間走り続けたけどね。

いや、ちょっとこれはきついね。

体力的に、というか精神的に。


戦いも採取もなくひたすら走る。

どんな苦行だよ!

1人だったら挫けてたけど、2人がいたから頑張れました。

ヤトとクオも疲れた顔してるし。

勿論まっちゃも忘れてないけど、頭の上で楽してたから何とも言えない。


「着いたけど転移台ってあんのかな?またこの道のり走るのはきついんだけど」


「あ、あるみたい!」


「よかった」


ま、転移石で地点登録しちゃえばいいからそこらへんは大丈夫なんだけどね。

とりあえず転移台の確認。


「って高!」


「どうしたの?」


「1万ギル」


え?


嫌な予感がして転移台でメニューを開くと転移1回に1万ギルもかかった。

うわー……これは払いたくないな。


「これはちょっときついね。転移石使おうか」


転移石のrankAのことは2人にも話してあるので言ってる意味は伝わったはず。


「悪いな。よろしく」


「よろ」


ここまで走ってくるのはもうちょっと辛いしね。

無駄にお金使うことないしな。


さっそく登録。

ちゃんとパーティーメンバー全員の名前が入っていることを確認する。


うん、大丈夫。


「よっし!じゃ、さっそく村長のとこ行くか」


依頼書にはウレネー村に着いたら村長に話を聞けというような内容が書かれていた。

それしか書かれていなかった、ともいうが。

まずは話を聞かないと進まないからね。


「こんにちはー」


「どちらさんかね?」


「ギルドで依頼を受けたクラン『セルフ』です」


「おぉ……本当に来てくれたのか!?」


なんだか頬がだいぶこけたおじさんです。

それだけ状況が大変ってことなのかな?


それからこの村に現在起きている怪異というものを説明して貰った。

結論からいうと、とあるモンスターに呪いをかけられてしまったらしい。

そのせいで村人達は若い者から順に倒れてしまい、モンスターを退治する人手も集まらない。そして夜な夜なモンスターの手下共が村を襲ってきているらしい。今はまだ木の塀でしのげているがいつ中まで入ってくるかわからない、という状況らしい。


村人を治すにはこの村から森に入ったところに群生しているアモイ草というものが必要らしい。

それをポイズンポーションを作る時に混ぜると解呪薬が作れるらしい。


まずはそのアモイ草の採取を依頼された。


「解呪薬を100本か……ということはアモイ草は20本あれば足りるね」


倒れた村人は20人程。

解呪薬は1日1本、3日間飲み続けなければならないそう。予備を含め100本くらいは欲しいらしい。


ポイズンポーションは1回の材料で5本出来るから、20本は最低必要。

もしものことを考えて30本は欲しいかな?

一応薬を作るらしい薬師のお婆さんのところに寄って話を聞く。


「いろいろ聞いたし行くか!」


「さくっと行って、さっさと作っちゃおう」


「手伝う」


そして入ってきた北門とは逆の南門から出る。

門といっても木塀の扉を開けて貰うだけだけどね。


進むとすぐモンスターが現れた。

森だからか狼型や兎型等、動物系のモンスターが多い。

始まりの町の辺りに出てきたものと似ているが強さは比べ物にならない。


ヤトが言うには高位種族でレベル20くらいが適正だろう、とのこと。


私も2人のおかげでレベル20は超えたのでなんとか平気そうだ。

ヤトとクオは楽勝だね。


「ここ」


「本当だ。採取ポイントになってる」


暫く進んで村長に教えて貰ったエリアに行くと採取ポイントが沢山ある広場に出た。

確かに沢山の草が生えている。


ヤトとまっちゃに見張りを頼み、クオと2人でひたすら採取。

かなりのポイントがあるので結構時間がかかってしまった。


アモイ草も1人30本ちょっと採取出来た。

クオと合わせると全部で64本。

薬を作るのに使ったもの以外は後で半分こすることになった。


そして一度転移で私のホームに戻る。


「じゃ、ちょっとお薬作ってくるからヤトとまっちゃは休んでてー」


「お菓子、出しとく」


「頑張れよー!」


「きゅっきゅ~!」


ミーアとキララもいたので2人も一緒に休憩していてもらう。


クオと生産部屋に行き、さぁ作業開始です。

クオも錬金術はスキルを持っているのでお手伝いをお願いする。


まずすり鉢を2つ用意する。

1つに毒草を、もう1つにアモイ草を入れる。

どちらにも《乾燥》《粉砕》をかけすり潰す。

魔法水を作り鍋へ投入。

そしてすり潰した2種類の粉を入れぐるぐるかき混ぜる。

ピカリと光ったら出来上がり。

瓶に移して鑑定。


----------


アモイ解呪薬

rankC


スモラッグの呪いの解呪薬

3日間服用することで完全解呪となる


----------


「よし!出来上がりだね」


「さすがハナ、1発rankC」


「いや、一応メインスキルでもあるからね」


私の1番レベルの高いスキルですから。

ベースはポイズンポーションだけど、レベル的には錬金術のランクアップは必要くらいかな?手応え的にはハイポーションくらいだった。

アモイ草を使っているので多少難しくはなっているだろうけど、ちゃんとrankCでよかった。


スモラッグというのが今回の元凶ともいえるモンスターの名前らしい。


解呪薬の作り方は村を出る時に薬師のおばあさんから聞いていたから無事作れました。


だっていかにも倒れそうなお婆さんに作らせるって。

そこまで鬼じゃないですよ?


あとは数を揃えるだけだ。


「じゃ、クオは《乾燥》《粉砕》、それと魔法水の補充をお願いしていい?あ、あと瓶詰もお願い出来るかな?」


「おけ」


スキルの高い私が作った方が早く作れるしrankも高い物が作れるはず。

クオもその2つのアーツは覚えているみたいなのでお願いしたのだ。


私が鍋で煮ている間にクオが草を乾燥させたり砕いたりと下準備をしてくれる。

私が煮終わると場所を交代して、私はすり潰しに入りクオは薬を瓶に詰める作業をする。


そしてクオと協力したおかげで思った以上に早く薬を100本rankAで揃えることが出来た。

薬は3,4回作っているうちに自然とrankAになった。


rankAはこんな感じ。


----------


アモイ解呪薬

rankA


スモラッグの呪いの解呪薬

1回服用することで完全解呪となる


----------


ん?

これって100本も必要なかったのではないでしょうか?


ま、いっか。



「ヤトお待たせ。お薬出来たよー」


「いこ」


「おー!お疲れ。じゃ、いくか」


そこには畑でミーアとキララ、そしてまっちゃをお手玉のように空高く次々と投げ飛ばすヤトがいた。

本人達が楽しんでるからいいけど……なんというか不思議な光景です。






転移石で戻って村長宅に直行する。

新しい転移石の登録も忘れていませんよ?


「こんにちはー。お薬作ってきましたよ」


「薬?お前さんたちはアモイ草を探しに行ったんじゃ……」


「はい。薬師のお婆さん1人で作らせるのは大変そうだったので作ってきちゃいました」


そして机の上に作った100本のお薬を置いた。


依頼はアモイ草を採取して薬師のお婆さんに届けるというもの。でもお婆さんがあの状態じゃ私が作った方が早そうだったし。


「ぬ!?こんな効能が……これならすぐにでも皆回復するだろう。ありがとう!」


「いえいえ、良かったです」


「婆さんに頼む気でいたから薬が出来上がるのに8日はかかるとふんでたが、これなら犠牲者もそう増えんだろう。しかもこのrankだ!婆さんはrankCまでしか作れんからなぁ」


とは言っても根本的な解決にはなっていない。

クエスト完了のアナウスもされない。


ということは……。


「本当は村の若い衆が治ってからお願いするつもりじゃったが、この薬ならすぐにでも皆良くなる。そしたら若い衆と協力してヤツの手下共を退治してくれんかの?」


「了解!どうすればいいんだ?」


「あいつらは10時過ぎに毎日南門めがけてやって来る。門は若い衆に守らせるから手下共を退治して欲しい」


「わかった。じゃ、これからこの薬飲ませて10時前には門の前にいればいいかな?」


「頼みます」



今はゲーム内時間で8時過ぎくらい。

私とクオが薬を飲ませて周り、ヤトとまっちゃが村の周りの地形を確かめに外へ出た。


そして一通り村をまわり一段落したので村の広場にあるベンチで一休み。ヤトとまっちゃも帰ってきたので皆でクオのご飯を食べて一息つく。


私はお薬の確認、それから配布をする。

今回は長期戦になりそうだから多めに渡す。

そして魔法陣の確認。

この前ボス戦でかなりの数特化魔法陣使っちゃったのでここ何日かで少しずつ補充はしてある。

新しい魔法陣も作ってみたけど、今回は使う場面あるかな?

ある程度数が揃っていることを確かめ、数珠の方も補充しておく。


ヤトから偵察した地形や戦いやすい場所、奇襲に気おつけなきゃ行けないところ等確認しながら時間は過ぎていく。


「そろそろだな」


「移動しよっか?」


「いく」


少し早いが門の外で待つことにしよう。

まっちゃも大きくなって臨戦態勢だ。

10時になる前に治療した村の人達が門の守りに付く。


いよいよだ。


よーし。


「じゃ、先に舞っちゃうよ?」


「よろ」


「任せた!」


「キェー!」


「《戦神の舞》」


〈舞〉の新たに覚えたアーツ。

これはSTRとDEXが上がる。

正に戦う為の舞だね。


アーツを使うと手には一振りの綺麗な刀が現れる。

そしてその刀を構え横に縦にと舞うように振る。

剣舞、戦う為の舞。

刀を振るたび宙に刀の軌跡が残る。エフェクト効果でキラキラと細かい光が刀を振るたび私のまわりを飛び回る。


舞い終えると皆の体が赤い光に包まれた。


これで準備は完了。

タブレットも飲んだし、いつでも来い!


Gugyaaaaaaaaaaaaaa!


「おっ!きたな!」


「頑張る」


「お薬足りなくなったらパーティーチャットで!」


そして私達はその場から散る。

クオは右側、私は左、まっちゃとヤトは中央だ。


といってもヤトは少し門から離れた開けた場所ですぐ止まる。まっちゃは門の前だ。


「さぁ!どんどんきな!」


「キェー!」


今回の作戦、メインはヤト。

一番レベルが高いというのと、集団戦に一番慣れているというのがその理由。

まっちゃはヤトの援護と最終防衛ラインってとこかな。

そこを突破されちゃうとあとは村の人に頑張って貰わないとだからね。


今回の依頼成功は村の門、ひいては木塀を守ること。そこから侵入された時は失敗になるんだろうと結論づけました。

敵は南門めがけてやって来るが同時に何体もわらわらくるらしいので個別撃破は難しいという事になった。

絶対どこかで抜けられちゃうもんね。


という事で敵をヤトに誘導する事になった。

敵影を確認したら私とクオがヤトまで誘導、ヤトはスキルで近くまで来た敵ならターゲットをとれるのでそこまで連れてったらあとは任せる、といった感じ。


まぁ、逃げながらも敵HPは出来るだけ削るけど、最後はヤト任せです。


ちょっと心配だけど、とっても嬉しそうにそしてやっていい?と懇願してくるヤトに否やは言えませんでした。


あ、こっちもわらわらやって来始めたね。


今回の敵モンスターは背中に人の顔のようなものがある鬼蜘蛛というモンスター。

村長から聞く限りは火系が良く効くみたいなんだけど、森が燃えるから使わないでって言われてるんだよね。


という事で雷系でいきますか。

なんとなく火に近そうだし、虫系全般に効きやすい属性だからね。


「サンダーボール!」


左側に来た3体の集団を惹きつけ、更に来た2体の集団にもサンダーボールを打つ。


合計5体に時たま斬りかかりサンダーボールを打ち込みヤトのとこまでやってきた。

既にクオが連れてきていたらしく、その鬼蜘蛛達を倒した所らしい。


「ハナ!じゃんじゃん引っ掛けてきて!」


「わかったー!」


私が連れてきた5体はヤトのスキルエリアに入ると自然にヤトへと向かっていく。

更に前方から新たに3匹やってきたのも合わさり合計8体の鬼蜘蛛達を笑顔で倒していくヤト。


うん、大丈夫。

通常運転です。


それより私は自分の仕事をきっちりしないと。






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