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次の日。
今日も夕方はログイン出来ず夜のみのログイン。
さて、では考えましょう。
が、その前に材料揃えた方がいいよね。
考えるのはそれからでもいい。
ってか考えてもわかんないし。
ということで材料をどうにかしましょうか。
まず大オーブ。
これってオーブを大きくすればいいんじゃない?
ってことで後回し。
火打金は……道具屋とかで売ってないかな?錬金素材って感じじゃなさそうだしな。それにウォーリアのロンさんのとこでレシピ売ってるの見た気もするんだよね。
ということでこれも後回し。
そして最後、無花薬。
これが一番の謎。
薬だから錬金術で作れるんだろうけど、全くわからない。レシピがあるのかも?でも探してる暇無いだろうし、せっかく錬金術を免許皆伝にしたのでオリジナルレシピで作ってみてもいいのではないでしょうか。うん、作っちゃいましょう。
最終的に作るアイテムが花火だとすると、無花薬はやっぱり火薬の役割だと思うんだよね。8個も必要だし。
花火って丸い球の中に火薬を並べて作るんだよね?
となるとやっぱり火薬の役割だと思う。
その火薬が空ではじけ飛んで色んな色の火花が飛ぶんだよね。
「あ、火花……」
そう言えばそんなアイテムあったな。
インベントリから火花を出す。
火山地帯で見つけたガーベラみたいな赤い花びらのついた花。
火花
これも花だしちょっとこれを使って作ってみる?
火薬の材料は石炭と火の粉。ここに火花を加えます。
まずは石炭と火の粉を砕く。そして魔力水と一緒に、鍋で混ぜるんだけど……ここで火花を加えましょう。
どうやって加えよう?
うーん、花を乾燥してすり潰して混ぜてみよう。
では混ぜ混ぜしましょう。
そして、最後に《乾燥》させて《粉砕》で完成です。
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火火薬
rankC
火属性のダメージを与える
相手に火傷を負わせる効果を持つ
錬金術等に使われる素材
ーーーーーーーーーー
うん。
何か出来たけど、これはちがうなぁ。
レシピを開くと火薬の派生レシピとなっていた。
免許皆伝してから作るレシピは別ページで表示されるみたい。
あ、そういえばまだちゃんと免許皆伝のレシピ作成の説明読んでなかった。
ヘルプヘルプー。
……うーん、なるほど。
ちゃんとした方法があったのね。
まずレシピのページを開いて仮登録をする。
登録方法はアイテム名とイメージ効果を入力するのだ。
そして作成というウィンドウが出たらそこにあるスタートボタンを押す。作業が終わればストップボタンをポチ。
その後判定中というウィンドウが現れ、それが登録したアイテムに相応しい材料や工程であった場合本登録となる。まれに派生レシピに回されることもあるようだ。
んー難しい。
今は思い付きで火花を使っちゃったけど、よく考えるとこれで無花薬は作れない気がする。できたとしても火花薬?
え、なんかありそう。
ルートさんにもらった冊子にも火の花ってあるもんね。この冊子に載っているのは各属性に対応する花ってことなんだろうね。無属性ってのは今まで聞いた事ないけど、転移とかそこに属してる気がする。
火花からは火属性のアイテムが出来たし、火花薬、作れそうじゃない?
なんか気になるのでこのまま免許皆伝レシピを作ってみましょう。
まずは登録。
名前は火花薬。効果は、花開くようにはじけ飛び赤くきらめく光を放つ火薬、としておこう。このイメージを基にAIが判断するので出来るだけ詳しく書いた方がいいみたい。
さてここからが問題。
さっきはまるごと1本使ったけど、花だけ使ってみよう。
イメージの赤は花の色からとったので、まずはこの色を抽出して混ぜてみましょう。
では作成スタート。
石炭と火の粉を砕いたものを魔力水に混ぜる。
そして花びらから《抽出》した赤い色を鍋に落とす。
そして混ぜて《乾燥》《粉砕》からの、ストップ!
どうだ!?
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失敗
※足りません
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えー足りない?
このAIが行う判定は※印でアドバイスのようなものをくれるとヘルプに書いてあった。
※印のコメントは『出来ません』、『間違っています』、『足りません』の3つ。
『出来ません』はイメージと工程が全くかみ合っていない、絶対成功することはない組み合わせ、ということ。
『間違っています』は何かが違うと判定された場合。アイテムの種類や工程等変えていけば成功するかもしれない時。
そして『足りません』はなにか要素が足りていない時だ。何かを加えれば成功するだろうもの。
なんだ、何が足りないんだ?
作りたいものは火薬だから、火薬をベースにするのは間違っていない。
そして“はじけ飛び赤くきらめく光”は火薬+赤色でクリアされた、と考える。
足りないものは……花開くように、という部分?
つまり花成分が足りない?
では次は抽出した後の花を一緒に混ぜ込んでみよう……失敗。
抽出したものではなく、こちらも色がついている花を入れよう……失敗。
じゃぁ、花びらだけ……失敗。
その後も乾燥させたり、花びらの枚数を変えたりと色々やっているのだが成功ならず。※コメントは『間違っています』に変わったので花を入れることは入れるんだろうけど……。
と、いろいろ試した結果。
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火花薬
rankF
花開く様火花を飛ばし火属性のダメージを与える
相手に火傷を負わせる効果を持つ
錬金術等に使われる素材
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「え?本当にできた?」
良く分からなくなって、適当に『花開くだったらその過程をとりこめばいいじゃない!』ということで“蕾、咲き掛け、満開”といったように順にその状態の花を投入したのだ。
因みに蕾、咲き掛けはのものは《退化》というアーツを使って作った。
これは錬金術師後半で覚えたアーツ。
時間の経過を戻すアーツなんだけど、いまいち使いどころが無くて初めて使った。植物なんかを種まで戻せるけど、今農業のスキルもあって種手に入るから必要なかったんだよね。
戻す状態は自分の好きなところで止めることが出来るので、遊び感覚でやってみたんです。
まさか成功するとは……。
う、嬉しいですけどね?
でも出来たということは同じように作れば無花薬も作れるってことだよね。
……無花ってあったっけ?
いや、ない。
持ってないよ?聞いたこともないよ?
サクッと掲示板で検索をかけてみる。
うーん、ない。
試験だからルートさんに聞くわけにもいかないし。
自分で調べるしかないか。
調べものといったら図書館、かな?
そしたら世界樹図書館いってみよう。
まだアリシアさんが管理する外層の本って見たことなかったんだよね。
前アリシアさんが全ての本はここに集まるって言ってたから植物辞典とかあってもいいと思うんだよね、希望だけど。
今日はあと1時間くらいは出来るからアリシアさんに聞いて終わりにしよう。
まっちゃは楽しそうに遊んでいたのでホームに置いてきました。
世界樹図書館到着です。
「こんばんは。アリシアさん教えて欲しいのですが、この外層に植物に関する本ってありますか?」
「いらっしゃいませ。植物の本ですか?そうですね、沢山ある、とお答えできますがどういった物をお探しですか?」
「えっと、ある植物を探したいので、植物辞典、特に花辞典みたいのがあると嬉しいんですが……」
「そうですね……そうしたらこちらなんかおすすめですよ」
アリシアさんは手元のメモ用紙にさらさらと何かを書いて渡してくれた。
そこには『ルビリア植物辞典〈花〉Ⅰ~Ⅴ』というものと『E-38-1355』という文字。
最初のものは本のタイトルで、後は本のある場所だという。
Eブロックの38列目の1355段目にあるということらしい。
この本にはアイテムの名前と生息地、採取方法が簡単に載っているらしい。
これはまさに今私に必要なもの。
でも、1355段目ってどうやってとるの?
行ってみればわかるとのことなので出発しましょう。
「Eの35、36、37、38列目で、下から1355段って……」
列までは順調にたどり着いたが1355段目は遥か彼方すぎて見えもしない。
いや、見えてるのかもしれないがわからない。
アリシアさんは列の目の前に立って暫く待てと言っていた。
ので言われた通り待ってみる。
するとウィンドウが開かれた。
そこには段数を入力するようだったので、1355段と入力。
『上がります』
「え?……え、えぇぇぇぇっぇぇっぇぇっぇぇぇっぇ!?」
電子音声と共に猛スピードで上へと上がる床。
そしてその上に乗る私。
『着きました』
そして1355段目に着いたらしい。
下は……み、見えない。
いや、見れない。
考えただけで足がすくむ。
無心で目の前のルビリア植物辞典〈花〉Ⅰ~Ⅴを手に取る。
これって、落下するんですか?
目の前にはウィンドウが開かれていて『降りる』というボタンがあった。
これをクリックしなくてはここから降りれないが、あのスピードで降りるのは、無理。というか普通に死ぬよね!?
でも押さないわけにもいかないのでぐっと奥歯を噛みしめ震える指先でボタンを押す。
シュン
ん?
くる、と思っていた落下感はなく、気づくと一番下に戻っていた。
な、ぜ?
出来るなら行きも同じようにすればいいのに!
アリシアさんに本の貸し出しが出来るか確認する。
聞くとレシピ本以外は1冊1000ギルで貸し出し可能とのこと。
期間はゲーム内時間で1か月。
現実世界では5日だ。
その期間を過ぎる前に返さなくてはならない。
もしこの期限を過ぎても返さなく、更に1日経った場合、本は自動的に世界樹図書館の本棚に戻されるらしい。さらに延滞料として1冊につき1万ギル自動で引かれる。もしギルがなかった場合は相当分のアイテムがランダムでなくなる。まぁ、どうしても返して欲しいアイテムがあった場合は倍の延滞料金を払うことで取り戻すことは可能とのこと。そしてギルもアイテムもなかった場合は借金という形で、ギルやアイテムが手に入った瞬間自動で引かれるらしい。しかも金利が発生して早く返さないと借金は増えていくばかり。
忘れずに返しましょう。
今日は中途半端になりそうだから明日から調べようかな。
ではログアウト。
次の日。
1回目のログイン。
今日は用事もないので夕方ログイン。
といっても2時間くらいしかできないので早速図鑑を調べましょう。
図鑑は50音順とかにはなっていないようなのでⅠから一通り見ていく。
なんだか面白そうなものもあったので、そういったものはメモで残していく。
なーんてことをしていたらすぐログアウトの時間に。
2回目のログインも図鑑を調べて終わり、次の日は土曜だったけど昼間予定があったので朝と夜2回のログインで、それぞれ調べもので終わる。
そして更に次の日。
「あった」
やっと見つけました。
面白そうだと思ったアイテム書き留めながらだったからここまでたどり着くまでかなり時間がかかってしまった。ちょっと反省。
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無花
月の光を受けて咲く花無き花。
生息地:清錬洞の月の間
採取方:月夜の晩に採集可能
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清錬洞ってギリアート方面から行けるドワーフの里に続く洞窟の名前だったはず。
そこの月の間ってところにあるのかぁ。
ということは月夜の晩ってあるし夜に行かなければいけないってこと?
今のゲーム内時間は3時。
まだ朝の時間だけど、初めて行く場所だから下見で行ってみようかな?
で、月の間の位置を確認してこよう。
そうと決まれば準備です。
ま、アイテムの確認だけだけどね。
魔法陣もお薬も結構ストックあるので大丈夫だろう。特化魔法陣もバッチリです。
では参りましょう。
「まっちゃー、お出かけだよー」
「きゅっ!」
まずはギリアートかな?
では行きましょう。