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「あ、ハナちゃんこっちだよ~」


既にニーナさんは来ていたようなのでかけよる。


「おまたせしました」


「まだ時間前だし大丈夫だよ~。じゃ、いこっか?」


「はい。……でも他の方は居ないんですね?」


「試験を受ける人だけ連れて行く事になってるからね。大勢で行くと怒られちゃうんだよ~」


なるほど、確かにぞろぞろ行ったら迷惑だよね。

そして向かったのは鍛冶の工房。


あれ?

と思いながらもニーナさんに続き中へ入る。


「親方~!最後の試験者連れて来ましたよ~」


「おう!ん?ハナじゃねーか。お前が最後の試験者か?」


そこにいたのはやっぱり鍛冶屋の親方、ジョーイさんだった。


「……なるほどな。良いだろう、じゃぁ試験するやつを教えてやる。錬金術屋のルートって奴に声掛けな!そうすりゃ試験が始まる」


「わかりました~」


「ありがとうございます」


そして鍛冶屋の工房を出る。


「じゃ、ここからはハナちゃん一人だけでお願いすることになるけど大丈夫?」


「はい!では行ってきますね」


「頑張ってね~!」


ニーナさんに見送られて錬金術屋に向かう。

ココらへんは鍛冶屋しか来たことなかったな。ちょっと路地が複雑だったので行ってなかったのだ。


試験を受ける事を伝えられた為か、マップには赤く×印が付いている。ここへ向かえば良いのだろう。


そうしてやって来たのはリルマの錬金術屋さんと似たような建物。


ん?


そう言えばルートさんってルーマさんが会いに行けって言ってた人じゃなかっただろうか?ヤバイ、忘れてた。


まぁ、入ってみますか。


「こんにちはー」


中は普通のお店だった。

色々な商品が売っている。


「いらっしゃい、何が入用かな?」


「えーと、私試験を受けに来た者で、ルートさんに会いに来たのですが……ルートさんですか?」


「そうだよ。いらっしゃい。僕はルート、最終試験だから頑張ってね」


やっぱりルートさん。

ルーマさんによく似ている綺麗なお兄さんです。兄妹かな?


「ハナです。よろしくお願いします」


「ハナさん?……あぁ、ルーマが言ってた」


「えっと、多分……」


「その件はまた、この試験が終わった後かな?」


「はい、また来ます」


忘れてたなんて言えない。

濁してスルーです。


「ではまず第1の試験です」


え、試験って1つじゃなかったんですね。


「といっても既に合格かな?1次試験は全部の工房が同じだからね。内容は錬金術スキルの免許皆伝。ということで早速だけど第2の試験にうつるよ?」


「お願いします」


だからニーナさんは免許皆伝になったらって言ってたんですね。

時間短縮、助かります。


「次の試験は僕の目の前でポーションのrankAを作って貰う事」


「え?それでいいんですか?」


「といっても制限時間は1分以内です」


おおぅ……それは結構辛いかも。


「出来るようになったらまた声をかけて。試験の期限はないからしっかり作れるようになってから来てね」


「わかりました。また来ます」




そして私はホームへ戻りました。

ニーナさんには第2の試験で躓いたのでクリアするまで時間がかかることをメールしておく。


うーん、1分以内ってことは工程を全て最小限の秒数で仕上げなければならない、ということか。


材料は沢山あるし、それでは実験スタートです。


まずは薬草を《乾燥》《粉砕》からのゴリゴリせずに魔力水を作り鍋へ投入。

そして鍋を混ぜる。スピードは一定に出来るだけ同じ大きさの円を描くようにゆっくり混ぜる。そしてピカリと光って出来上がったポーションを瓶に移して完成。


ここまでで1分45秒。


ゴリゴリする時間がないからかいつもより時間は短め。

ま、1分余裕で超えてるんですけど。


rankはまぁAが出来た。

ゆうてもポーションだからね。

少し手を抜いたくらいではrank下がらないだろう。

アーツを使わなかったらまた別だけど。


前に一度rank下げる作成方法を試したことがあった。

アーツを使わなく適当にすり潰したり、適当に混ぜたりするとやっぱりrankは落ちるのです。


うーん、ちゃんとすり潰した方がいいのかな?

混ぜるスピードは速くしてみる?

それとも遅く?

なんだったらだんだんスピードを上げる?

秒数はどれだけ違う?


キッチンからタイマーを持ってきて計りながら様々なパターンを記録していく。


1分以内というのは難しいけど、実験するにはその数字はありがたい。

時間がかからないから次々と試すことができ、さくさく進む。


紙にペンで書き留めながらあーでもないこーでもないと悩みながらも次の実験へ。


そして……。





「ふっふっふ!できました」


思わずニヤリ。


「きゅっきゅっきゅ~!」


まっちゃも真似してニヤリ?

目がヤバいからそれ止めた方が……え?私の真似?


うそ、私そんな顔してた?


地味にショック……。


「ららら~?」


「らららー」


ミーアとキララに慰められました。

うっ。なんだか更に悲しく……これ以上考えるのは精神衛生上良くない。

はい、ここらへんにしましょう。


さーて、実験の結果です。


まず水を入れた器を魔法陣の上に置き、その隣に薬草を入れたすり鉢を置きます。そして《乾燥》《粉砕》そして魔力水を作ります。


ここまで5秒。


そして粉々になった薬草を素早く一定のスピードで30回すり潰します。


ここまで20秒。


魔力水と粉になった薬草を鍋に投入しゆっくり大きめに円を3回、少し早めに中くらいの円を5回、素早く小さめの円を10回描くように混ぜる。

この時点でピカリと光る。


ここまで50秒。


それをキッチンから持ってきたヤカンに入れてヤカンから瓶にそそぐ。


これで60秒。


1分でポーションrankAの完成です。


最後の瓶に詰める作業が結構時間かかるんだよね。

今まではお玉みたいな片側がとがって瓶に入れやすくする道具を使ってすくっていたんだけど、それだとどうしても15秒はかかっていた。


で、考えた結果ヤカンを持ってきたわけです。

ポットでもよかったんだけど、鍋を傾けて入れるのに入り口が小さくてこぼしちゃうことがあったのでヤカンになりました。


STRもある程度あるので大きな錬金鍋でも軽々持ち上げられますよ?


時間を見るとゲーム内時間で3時。

おお……いつの間にか朝になってる。


1分内に作れる感覚を叩き込もうと1度作れてから何度も作る練習をしていたらなんとこんな時間。


現実では1時くらいか……。


もうちょっと、いいよね?


ルートさんところで試験終わりにしたらすぐ寝ます。






「おはよう、ハナさん。もしかして試験かな?」


「はい、お願いします」


「わかった。じゃぁこちらへどうぞ」


そしてお店から続く工房へ入っていく。

そこには今使っているのと同じ道具が揃っていた。


これは普通の錬金鍋なのでこの上があるのだろう。


「試験だからこの道具を使ってもらうよ」


ま、今も同じものを使っているので問題ない。

というか同じでないと混ぜる回数とか違う可能性もあるのでちょっとまずい。


「わかりました」


ルートさんは私の方をさっきからじっと観察している。


「うん、大丈夫そうだね。配置を変えたりあったら今のうちにやってもらっていいかい?」


「はい、あと道具を足していいですか?」


「どういったものかな?」


「これなんですけど」


そしてヤカンを取り出す。


ルートさんはそれを手に取り暫し眺める。


「うん、これなら大丈夫だよ」


「ありがとうございます」


了承をもらったので道具や材料をベストの位置に配置する。


「できました」


「じゃぁ、いくよ?よーい、スタート!」


ここからは時間の勝負。

余計なことは考えず、体に叩き込んだ感覚に従ってポーションを作る。


「……3、2、1、そこまで!」


私の目の前にはきちんと瓶に入ったポーションが5つ。

鑑定する時間はなかったのでそこは少し不安だが、大丈夫、の、はず。


なんだか自信なくなってきた。

固唾を飲んでルートさんがポーションを鑑定するのを待つ。


コトリとルートさんが持っていたポーションをテーブルに置く。


「……はい、きちんとrankA作れてるね。合格です!」


「やったー!」


「お疲れ様。まさかこんなに早く出来るとは思ってなかったので驚いたよ」


「えっと、熱中しちゃって」


「錬金術師としてはいいことだけどね。ただ、ほどほどに」


「はい」


気を付けます。


「では第3の試験です」


「お願いします!」


するとルートさんは本棚から1冊の冊子を持ってきた。

そしてそのまま開いた冊子の文を読み上げる。


「『古より伝わりしモノ、大輪の花。夜空に咲く力ある花々達。無の花、火の花、水の花、風の花、土の花、雷の花、氷の花、樹の花、光の花、闇の花。全てが揃うとき虹の華が咲き誇る。まずは無の花を夜空に咲かせよ』と、ここに書いてあります。どんなものかイメージつくかな?」


「えっと、まぁ、はい」


夜空に咲く花って言ったらあれしかないよね?他には思いつかないし。


「ではズバリそのイメージは?」


「花火、ですか?」


「その通り」


ルートさんはよく出来ましたとニコリと笑う。

見当違いの事を言わなくて良かった。


「まずは第一関門突破ですかね?」


「ここで違う答えを言ったら進めなかったってことですか?」


「そうだね、その場合は宿題です」


良かったー。

考えるだけってもんもんとするもんね。


「では次」


「はい」


「最後の試験は今読み上げたものに相当するアイテムを僕の前っ作って貰う事。でもノーヒントは可哀想なので、材料だけ教えよう。使うのは『大オーブ、火打金、無花薬』です」


材料まで教えてくれるの?

それって試験になるのかな?


「大オーブと火打金と無火薬」


「無花薬です」


「無火薬?」


するとルートさんは冊子をくれた。


「そちらは差し上げます。この試験を合格出来ればクリアだからで頑張ってね」


「わかりました!また来ます」


そしてルートさんのところをお暇する。


あ、無花薬ね。

花火っていうからてっきり火薬だと思ったよ。


冊子にはさっきルートさんが読み上げた文章の下に無の花の材料がのっていた。


正確にはこう。


大オーブ、火打金、無花薬×8


え?8個?


これってつまり合成しろってことですか?

いや、まだ普通に錬金で作るって可能性も……でも材料10個って。やっぱ10個の合成ですか?その可能性が頭から離れないー。

ん?だからレベル50超えてないと受けれないってこと?

……やっぱり合成?


わかんなくなってきたー。

うーん……眠い。

今日はここまでで明日考えよう。


うん。


おやすみなさい。

ログアウト。






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