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イベントからまる1日経って今日はニーナさんとの約束の日です。


昨日は1度目のログインでかぼちゃさんから教えて貰った《でっかくなっちゃうぞ!?ポーション》のrankを上げ、夜ログインした時行ったイベント打ち上げの時ヤトにリベンジを申し立てたのだ。


ま、負けましたけどね。


よくよく考えたらただ大きくなるだけでステータスなんかはアップしないんですよ。

的が大きくなっただけでむしろ元の姿の方が粘れたんじゃない?って程です。


うん、ヤトに勝とうとした私がバカでした。


昨日のことは忘れましょう。


あ、あとイベントで勝利したご褒美はくじ引きでした。

掴んだくじに書いてあるものがアイテム化して貰えるというもの。


私が引いたのは鉱石セットというもの。

なんと採掘師でしかとれない鉱石が10種類×10個、合計100個も貰えたんです。

ヤバイ、めっちゃ嬉しい!

これで少しは節約できるかな……。


ま、そんなこんなはありましたが、それよりニーナさんですよ!


マリアとかに聞いた話だと、銀の翼は最近攻略最前線ではなく何かやってるらしいんだけど、それに関係する話かな?


まぁ、ニーナさんが来るまで日課の畑のお世話と合成練習しちゃいましょうかね。





合成がひと段落ついたところでニーナさんから連絡があった。

すぐ来るとのことだったので、リビングに戻っておもてなしの準備です。


「お邪魔します~」


「ニーナさんいらっしゃい!」


ミーアとキララは初めてだったので紹介をしていっしょに席に着く。


「ハナちゃんの作ったお菓子美味しい~!このプリンなんて本当ほっぺた落ちそうだよ~」


「ありがとうございます。……それでお話しって?」


気になりすぎて聞いてしまった。


「あ、ごめんね~。実はちょっと協力してほしいことがあって」


「協力?」


「あのね~……」


ニーナさんの話によると、現在シアにある職人街の開放クエストを行っているということだった。以前ニーナさんに渡したハンマー改と工房の職人さん達が使っているものが同じだということに気づいて色々調べていたらクエストが発生したそう。

そしてそのクエストを達成すると職人街が解放され職人さん達が使っているようなワンランク上の道具が使える工房が使用可能になるらしい。お金はかかるそうだが、生産職の人にとってこれはかなり魅力的なことだ。


「ということでハナちゃんに錬金術の担当をお願いしたいの~。クエストは全部で6ヶ所の工房で試験をクリアするものなんだけど、1ヶ所クリアするごとに次の試験工房が発表される仕組みになっているの。そして最後の1つが……」


「錬金術ってわけですか」


「そうなの~」


なるほど。

銀の翼には錬金術系の職人はいないそうだ。

うちから買ってる分で必要数は揃うし、やっぱりやりたいって人がいないらしい。


錬金術やりたい人は魔術倶楽部というクランに入る人が多いという。

魔術倶楽部は錬金術に特化したクランだ。

他にもそういったクランはあるらしいが、一番大きいのはそこだろう。

なにせクランは1人からでも作れるので知らないクランはたくさんある。


ということで銀の翼との関係も深い私のところに依頼がきた、というわけ。


「でもクランでクエスト受けてるなら、私が依頼参加しても大丈夫ですか?」


「大丈夫だよ~。ハナちゃんには一時的に銀の翼としての所属になってもらうことになるんだけどね。仮のクラン員でお試しみたいなのが出来るシステムがあって、他のクランに所属してても可能だからそこら辺は大丈夫。……銀の翼とハナちゃんとの共同クエストにも出来るんだけど、多分今回のクエストは開放クエストに当たると思うの。だから全プレイヤーに通知されて、その時名前が出ちゃうはずなんだよね~。ハナちゃん、そういうの苦手でしょ?」


「はい、名前が出るのはちょっと……」


「だから今回は仮クラン員で参加って形でお願いしたいんだけど、どうかな~?」


銀の翼にはお世話になってるし、特にニーナさんには本当にお世話になっているのだ。

名前も出ないということなのでここは断る選択肢はないよね。


「はい、それなら大丈夫です。よろしくお願いします」


「ありがとう~!よかった~。断られたら他当てなかったからほっとしたよ~」


「でも、他にも錬金術系のクラン出来てますよね?」


「ん~。確かにいくつか出来てるし一番大きいところはそこそこのレベルだと思うんだけど、ちょっと変わっているというか~。私ちょっと苦手で……」


「そ、そうなんですね」


どんな人達なんだ?


「あ、そう言えばハナちゃんって錬金術のスキルレベルいくつ~?試験受けるなら免許皆伝になってると嬉しいんだけど~」


免許皆伝?


「えっと〈錬金術〉が〈錬金術師〉にランクアップして今はLv.49です」


「なるほどね~。じゃ、あとちょっとだね~。ランクアップしたスキルをLv.50まであげると更にランクアップ出来て免許皆伝になるんだ~。といってもその後はレベルも上がらないしアーツも覚えることはないんだけどね」


え?レベル上がらないの?

それでカンストってことなのかな?


「でもここからが本当の生産の始まりだよ~!なんと自分でレシピを作ることが出来るようになるの~。既存のレシピが無くても自分の想像力でいろんなものが作れるから本当このゲームは奥が深いんだよね~。例えば剣1本にしても装飾とか効果なんかは加えられても形自体はそこまで逸脱した変形はさせることはできないんだよ~?まぁ、レシピによっては派生になる範囲が広いものもあるけどね。刀とかだといつも同じ長さの物しか出来ないんだよ?それが脇差サイズや太刀とか自分の好きに作ることが出来るの~!」


「凄いですね……」


これは本当に驚いた。

実は一度刀の長さを変えようと色々やってみたのだ。

まっちゃの上で戦うのに長さが足りなかったので全体的に大きくしてみようかと思ったのだ。でも結局全て失敗。これはレシピがないと無理なのかな、と諦めていたのです。


派生の範囲が広いっていうのは料理とかはそうだよね。あれはレシピというより調理法って感じもするけども。道具のレシピもそういうの多い、かも?


「勿論探せばいろんなところでレシピを見つけることもできてそのアレンジを作ることも出来るけど、免許皆伝になれば想像力次第でレシピなしで作ることができるの~!ないかもしれないレシピを探すのは大変だからね~」


確かにレシピの有無なんてわからないから、自分の欲しているものがもしかしたらないかもしれない。それが想像力しだいでどうにかなるなんて……。


素敵すぎる!


「ニーナさん!すぐに免許皆伝とってきますから!待っててください!」


「わかったよ~。レベル制限の高レベルレシピを使った方がレベル上がりやすいからそういうの作ったらいいかもよ~?もし材料足りなかったら言ってね。こちらが頼んでるだから最大限協力するから~!」


「アドバイスありがとうございます!素材も、もしかしたらお願いするかもしれません。頑張ります!」


そして善は急げということで、これからとりかかる旨を伝えるとニーナさんは笑顔で帰って行った。よし、まずは世界樹図書館にいこう。最近いってなかったからもしかしたら新しいレシピ手に入るかもしれないしね。




ということでやってまいりました。


「いらっしゃいハナさん。では合成7つの成功10回連続いってみましょうか?」


「お願いします」


錬金術師の試練は現在第3層目。

担当はユミルさんというニコニコしている優しそうなお兄さんです。


ユミルさんに草×6と土×1を1セットで出してもらい肥料を合成です。

問題なく7個は合成できるので、あっという間に終わりました。


「はい、間違いなく全て成功ですね。ではこちらのレシピをお渡しします」


「ありがとうございます!」


貰ったレシピはリカバリートップポーション。そうトップポーションとMPトップポーションの合成によって出来るお薬です。HPとMPが同時にたくさん回復するお薬です。


うん、この合成だけはわかっていてもレシピを手に入れないと成功しないから嬉しいんだけどね。


でも私が求めているのはレベルが上がる作れるレシピ!


「次の試練へ臨みますか?」


「お願いします!」


次こそは!



「よく来た!俺の名前はカストル。ここの試練は9つの合成を10回連続成功だ!どうだ!やれるか!?」


やたら暑苦しいおっさんが出てきた。

なんでそんな筋肉ムキムキなんですか?

そのローブ肌蹴てる意味、ありますか?


「えーと、ハナと言います。また来ます……」


「そうか、残念だ!次回来るのを待っているぞ!」


そして視界は暗転。

入り口まで戻されてしまった。


「収穫、ゼロ……」


いや、次の試練は合成9つ。

合成に使う材料は在庫がたくさんある。

それに今ある中で一番レベル制限が高いレシピはMPトップポーション。

こちらも材料の在庫はばっちりだ。

これはお薬で回復しながら合成するしかないでしょう!


錬金術師のレベルはまだ49にあがったばかりだが次の試練をクリアする頃には50に上がると信じたい。


よし、やるか!


そしてホームに帰ってログアウトまでひたすらMPトップポーションを作り続けた。

これはまだまだ作るのに気を使うのでrankAを1回5本作るのに1時間程かかる。ポーションとかは3分くらいで作れるのだが、回復量が多くなるにつれて作るのが難しくなるのか作成時間は延び延びだ。しかもずっと鍋の前から離れられないので神経を使う。そして暑い。


でも最初作るのに3時間以上もかかっていたからかなり早くなったと思うんだよね。


まぁ、ここら辺がこのスキルの不人気なところなんだろうけど。でも鍛冶とかも結構時間掛かるし暑いと思うんだけどね。


お店で売るのは全て《時間短縮》を使っているので、MPがあればそこまで時間はかからない。rankAの材料と秘薬も使ってるからちょっとずるいけど一瞬でrankCの材料を使った時に出来るrankAのお薬が揃ってしまうのです。


じゃないとお店なんてやってられません。


そのうちやりたいことが落ち着いたらお店を開こうと思ってるけど、その時は時間をかけて作る効果の高い物も数個置こうと思っている。


せっかく作ったからには使ってもらいたいし。


作りたい商品は色々考えているけど、それはもうちょっと先かな?

今回のニーナさんからの依頼が落ち着いてからですね。


ということで2回目、3回目のログインも畑のお世話をしてからMPトップポーションを作り続けました。そして3回目の最後1時間まっちゃとミーア、キララに手伝ってもらって合成の練習!合成が終わると3人が新しい材料を置いてくれます。その間に私は屑となった物体をゴミ箱へポイ。

ベッドは1回しか使えなかったが、最後の最後でどうにか9つの合成100%成功にたどり着いた。


「やったー!」


「きゅっきゅ~!」


「ららら~!」


「らっららー!」


そして3人まとめてぎゅっとしてなでなで。

まだちょこっと時間があったのでみんなでお風呂に入りました。

今日は丁度満月だったのでお月見しながらジュースをのんでまったり。


ミーアとキララは水着がないのでそのままワンピースで入浴。

装備欄はないけど、聞くとぱっとワンピースが水着に変わった。


え?

今のは一体……?


聞いても良く分からないし、謎は謎のまま。


今日はここまで。







次の日。

学校から帰ってきてすぐにログイン。

今日は宿題がたくさん出たので世界樹図書館だけ行ってすぐログアウトです。

じゃないと夜がっつりログインできないもんね。



ということでさっそく試練にきましたよー。


「よく来た!さあ、合成は何を使う!?」


カストルさんはやっぱり暑苦しい。

早いとこ終わりにしようと高級肥料rankAの材料を出してもらった。


そしてささっと合成。


「よくやった!試練を乗り越えた者にはこのレシピを授けよう!さあ!受け取るがよい!」


ずずい、と差し出されたレシピをびくびく受け取る。


「あ、ありがとうございます」


「さて、次の試練に向かうか!?」


「お、お願いします」


「よろしい!さあ!行くがよい!」


そして視界が暗転する間際。

ちらっと目に入ったレシピはリバースポーションだった。


やったー!

新レシピゲットです!

しかもリバースポーションって……これは荒れそうだな。



「よくここまできました。私の名前はカロン、ここがこの試練の最終層となります。……ふむ、見たところまだあなたにはここは早いと思うのですが、試練の内容は告げておきましょう」


「ハナです。よろしくお願いします」


いままでの経験則からいうと、ここの試練はLv.50を超えないとクリアできないのだと思う。そして最後に相応しいなんだか神々しいお方です。

美人さんといっていいお兄様なカロンさん。

背景に薔薇が見えそうです。


「最後の試練はリバースポーションrankAを5時間以内に50個連続成功と、更に10個の合成10回連続成功です。今回のみ時間制限があるので気を付けてくださいね?」


「時間制限ですか……またきます」


5時間……結構きついな。

トップMPポーションでさえやっと1時間で作れるようになったんだけど。

それよりレベル高いレシピだからかなり難しいはず。


最後の試練はまだまだ先になりそうだ。


「ハナ、あなたがここへ戻ってくる日を楽しみにしていますよ」


そして私の視界は暗転した。






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