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次のフロアへと降りてきた。

今度は狼さんじゃなくて半人半馬のモンスター、これってケンタウルスってやつ?手には斧やら剣やら何かしら武器を持っている。


こわっ!


だ、大丈夫だよね?


恐る恐る通路へと降り立つと、近くをケンタウルスが歩いていく。


「だ、大丈夫そうだね?」


「お、おけ」


変身が解けない限り大丈夫そうだとわかった私達は走りだす。少しでも早くこのフロアを抜けたい。


大丈夫だってわかっても怖いものは怖いんだよー!


今度もかなり迷走したものの、前フロアよりも狭かったからか2時間半くらいで回り終えた。

ま、必死で走ったってのもあるけどね!


そして下への階段を降りてます。

階段を下りる途中で丁度時間がきたので薬を飲みたす。

そしてまっちゃを召還。

今まではタイミングが悪くて召還出来なかったんだよね。


フロアで召還して襲われたら大変だもの。


さて次は何がいるのやら……。





「無理!」


「ハナ、がんば」


「きゅっきゅー!」


「いやー!」


やめて服を引っ張って行かないで!

ひっ!いるっ!いるよー!


「きゃー!」


「まっちゃ、行こ」


「きゅきゅぅー!」


何で次のフロアは巨大なヘビなんですか!?

ヌルヌルしてるよー、鱗がテカテカしてるよー!

もう嫌だー!


小さな蛇ならまだ我慢できたけど、この大きさは無理!

体長5メートルって、やめて、こっち見ないで!


たーすーけーてー!




必死に走った。

時たまクオに道を修正されながら、戻りたくなくても引っ張られながら……。


このフロアがそんなに広く無くて本当良かった。


1時間ちょっとで駆け抜けました。

途中鉢合わせしたときは気が気じゃなかったよ。

蛇の舌がふしゅるるって舌なめずりしてるようで泣きそうでした。


あー、終わって良かった。

下への階段へ駆け込みました。


「つ、疲れた……」


そしてガックリ膝をつく。


「おつ」


「きゅきゅ~?」


クオに肩をぽん、とされ、まっちゃは下から心配そうに覗きこむ。

不甲斐なくてごめんよー。


落ち着いて今いる部屋を見てみる。


そう、部屋です。

と言っても目に入るのは大きな扉だけで他には何もないんだけどね。


しかもこの扉がボス部屋のような雰囲気を醸しだしてます。


「ボスかな?」


「多分」


HPもMPも減ってないので、とりあえずご飯を食べてETの回復です。


「よし、じゃいこうか」


「おー」


「きゅー!」


まだかぼちゃのままなので、まっちゃは大きさが変えられない。変身解けるまで待っても良かったけど、今までのことを考えるとかぼちゃのままのがいいと思って。

変身解けるまでまだ30分以上もあるしね。


ゆっくりと扉を開け中に入る。


すると足を踏み入れた瞬間浮遊感を感じ身動きがとれなくなった。


『んんー?お客さんかな?』


ゆっくりと振り向いたのは巨大なかぼちゃさんだった。

通常の10倍くらいの大きさ。


『まさかここまでたどり着く人がいるとはね!ほいっ!』


かぼちゃさんが腕をひとふりすると、私達に掛かっていた変身が解けてしまった。


『やっぱり君たちは僕らの仲間じゃなかったんだね!まぁ、それはいいんだよ!本当にここまでよく来たと言いたい!でもだからといってこの宝は渡せないな!』


かぼちゃさんの手には宝箱が。

あれを手に入れればこのダンジョンはクリアなんだろう。


『ふっふっふ!この宝が欲しかったら僕を倒すことだねー!』


そして急にテンポの早いいかにもボス戦といった音楽がどこからか聞こえてきた。


え?

こんな演出いままであったっけ?


そんなのはお構いなしと私の体もクオも巨大かぼちゃさんに飛びかかる!


が。


『ざーんねーんでーした!』


ぽんっという効果音と共に巨大かぼちゃさんは通常の大きさのかぼちゃさんに変わりました。

当然私達は空振りして反対側に着地。


『戦うと思った!?思ったよねー!残念でした!今回戦闘はありませーん!』


何が面白いのやらきゃっきゃと笑うかぼちゃさん。

戦闘が無いなんてご褒美でしか無いのですが?

というかいつの間にか自分で体を動かせられるようになっている。


『いやー!やっぱりハロウィンだったら1回くらいい悪戯しないとね!ふふふ。これぞ僕が開発した《でっかくなっちゃうぞ!?ポーション》すごいでしょ?そうそう、戦闘無しにどうやってこの宝を手に入れるかと言うと……じゃじゃーん!』


そこにはさっき持っていた宝箱が、いつの間にか現れた台座の上に乗せられていた。しかも宝箱は透明の半円状の膜に守られ触れないようになっている。

台座の縁には円を描くように6個の星が描かれていた。


そして側面には何かを入れるであろう入り口が。


『ここにこれから言うアイテムを入れてくれればこの宝箱は君たちのものだ!ふっふっふ!簡単だろ?ここに入れるのはかぼちゃのスープ、かぼちゃの変化薬、かぼちゃのステッキ、かぼちゃの剣、かぼちゃのローブ、かぼちゃボックス、かぼちゃの石像、かぼちゃの飾りのうちどれか6種類だよ!でもどれもrankAじゃなきゃ受け付けないよ?どう?簡単でしょ!?』


「ま、簡単だね」


確かにそれくらいだったら今も持ってるしすぐ終れるかな?


『だよねー!?簡単なわけないよね!だって君たちは戦うと思ってたんだから必要以上のアイテムなんて持ってないよね!』


ちょっと待って。

私の話聞いてた?


「いや、持ってるよ?」


『じゃぁ、残念だけど1度街に戻って……え?持ってるの?』


「まぁ、一応」


『何で!?』


「いや、何でと言われても……」


持ってたっていいじゃないか。


『だってさっきまで2種類しか使って無かったじゃないか!』


え?見てたの?

見て楽しんでたんですか?


「だって2種類で事足りたし……ねえ?」


クオも隣でコクリと頷いている。

クオには全部rankAで作ってある事は言ってあったけど、複数作って無かったのでお薬で我慢してもらっていたのだ。


『そ、そんな……ここは絶望を味わって、街へ戻り必死にアイテムを作って集め、めげずにもう1度ダンジョンを抜けてくるところでしょ!?』


がっくりとうなだれるかぼちゃさん。

なんか、ごめん。


『じゃぁ、その穴が開いてるとこに全部アイテム入れちゃって』


「あ、うん」


なんだか急に対応が雑になったな。

ま、いいけど。


言われた通り全アイテムを入れると星がキラキラ光り出し、宝箱を覆っていた膜が消えた。

カチャリと宝箱を開けると中からは1冊の本が出てきた。


真理の書


そうタイトルが書かれている。

そっと手にとった瞬間、ピコンとメールマークが点滅した。とりあえず気にせず本を開く。


するとそこには今現在の攻略状況が書かれていた。


「なにこれ!?」


「ハナ、メール!」


いつになくクオが興奮して言ってくるので、メールを開く。宛先はかぼちゃから。


タイトルは真理の書開放。


え?

ちょっ、えぇ!?


【皆楽しく攻略を進めてくれているかな!?今回は素晴らしいお知らせだよ!たった今隠しダンジョンであるかぼちゃの迷宮がクランセルフのハナとクオによってクリアされましたー!パチパチパチパチ!やったね!クリアされたので真理の書が開放されたよ!皆メニューから真理の書が見れるようになったから確認してね?リミットまでもうちょっと!完全攻略に向けて頑張ってー! かぼちゃより】


「…………」


「ハ、ハナ?大丈夫?」


はっ!?

ヤバイ。

あまりの出来事に一瞬意識が何処かへ行っていた。

あぁ……また名前が出てしまった。

恥ずかしい……。


『おおーい!僕を無視しないでよ!』


「あ、忘れてた」


『え!?今忘れてたって言わなかった!?』


「そ、そんなことないよー。ねぇ?クオ」


「ソンナコトナイヨー」


クオさん棒すぎる……わざとだよね?


『もういいよ!街に帰るにはそこの転移陣に乗れば帰れるからね!もう知らない!』


ごめんごめん、とかぼちゃさんをなだめて、そういえばさっきの巨大化の薬凄かったねー、とおだてまくって気の良くなったかぼちゃさんにレシピを貰いホクホク顔で街へと帰ってきました。


かぼちゃ姿の時しか巨大化できないらしいけど、これは面白そう。これを使えばヤトに勝てるのでは……昨日勝負に負けたことは忘れてませんよ?


と、突然コールが。


あ、ジーンだ。


「はい、ハナで……」


『ハナ!?今何処だ!?何処にいる!?』


「え?今広場の噴水の前だけど……」


『ちょっと待ってろ!』


「は?ちょ、ジーン!?……って切れてるし」


一方的に切られてしまった。

待ってた方が良いのかな?


「ヤトここ来る」


「なんかジーンもここ来るって言ってるの」


「あ、きた」


え?

と思った時にはジーンが抱きついていた。


ちょっと!


と思った瞬間、マイクとリリーのダブルキックで吹っ飛んでいった。


え、えーと。


「ハナちゃん大丈夫!?あのケダモノに襲われて変なとこ触られてない!?」


「あ、はい。大丈夫、多分……」


がしっと肩を捕まれ上から下へと確認される。


「二人がすぐ助けてくれたから大丈夫だよ?」


それに接触NGなので触られた感触もなかったし。


「よかったー!」


「こらこら、リリー落ち着いて」


今度はリリーにホールドされそのままジーンの謝罪を受けた。


「わりぃわりぃ!つい興奮しちまってさ。いや、ハナ達のお陰で攻略がかなり楽になったから礼を言いたくてな。これで1位間違い無しだぜ!」


「役にたてたなら良かったよ」


「よっし!これから前祝いだ!俺のおごりで飲み行くぞー!」


そしてヤトも合流して飲みに行った。

ま、私は未成年なのでご飯とジュースだけどね。

ゲームだから飲んでもいいかもしれないけど、特に飲みたいとも思わなかったのでジュースです。


話を聞くと街中にあるあの小さな扉は皆気になっていたらしい。

他にもイベントが始まる前に変身アイテムを買っていた人が試して入ったんだけど、rankCだったからすぐ元に戻って進むのは諦めてたんだって。しかもあの狭い通路で元の大きさに戻ると死に戻り扱いになるらしい。気づくと広場で立ってたんだってさ。


レシピは今日倒したレイドボスから見つかったので量産して明日にでも向かおうと考えていたらしい。


1日日程が早まっただけだけど、あの迷宮を踏破するのは時間がかかったから明日じゃ間に合わなかったかもね。役に立てて本当良かった。


途中ヤトと一緒にレイドボスを倒したメンバーなんかも加わりどんちゃん騒ぎは3時間に及んだ。

まだまだ続きそうな雰囲気ではあったが、急いで寝ないとペナルティを受けてしまうということで、全員走って宿屋へ向かった。


途中フラフラして壁に突っ込んだり道端で寝始める人もいたが同じパーティーの人が担いで宿屋へと向かっていた。


お酒はリアルのように酔うこともあるらしい。

実際のアルコールを飲んでいるわけでは無いので体に異常があるわけではないが、飲まなくて良かったと思いました。


ではおやすみなさい。







イベント3日目。


ついに最終日です。

現在の攻略度は84%。

攻略項目はマップ、ボス、ダンジョン、討伐数、採集・採掘数、クエストの6項目だ。


マップ、ダンジョンは100%。クエストも96%でもうすぐ終わる。ボスは各10回倒さなければならないようで16%。こう見ると低いけど、回数はそんなに多くないしね。まぁ、2回目からのボスはレイドじゃなくなっているみたいだから大丈夫だろう。討伐数は68%で、これも頑張れば行けそう。が、採集・採掘数が43%とかなり低い。


街の南は海、東は草原、北は雪山、西は火山。


このうち南と東は結構人が集まったようで両方とも80%を超えている。

不人気は北と西ですね。

やっぱり耐寒、耐熱がないときついのだろう。


そして北は一番不人気。

火山は鉱石が多く取れるからそっちの方が人が集まりやすいのだろう。


ということで今日は北を徹底的にやることが決まりました。

同じように考えている人がいて早く終われば違うエリアへ行けばいいしね。


まだアイスドロップも在庫があったし。


街の北門から出ると最初は草原が広がっていた。

暫く歩くとちらちら雪が降り出したので皆でアイスドロップを服用。


よおっし!

頑張るぞ!





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