110
「出来た!」
「おや、出来ましたか?」
「あ、ベルクさん!はい、今丁度rankCのルビーが出来ました!」
はい、あれから2日経ちました。
昨日rankCを作れるかと思ってたけど、なかなか難しくて2回ログインしてベルクさんのところで作業を続けたけど最後までrankCは作れなかった。
そして今日、ログインして3個目の作成でやっと念願のrankCが作れたのです。
今日のログインは1回だけなので、3個目で達成できたのは僥倖です。
「では、このレシピはハナさんのものです。これからも更に上を目指して頑張ってくださいね」
ーーーーーーーーーー
クエスト
『宝石を作り出せ』
クリアしました
報酬:『宝石』レシピ
ーーーーーーーーーー
「ありがとうござました!」
やっとレシピを手に入れました。
これrankAまでにするのは骨が折れそうですが、またそれも良しです。
今日はリルマのルーマさんのところに行ってみようかな。
塗料のレシピどこで手に入れられるか知ってるかもしれないし。
「こんにちは」
「あら、ハナじゃない。久しぶりね」
「お久しぶりです、ルーマさん」
あのままリルマに直行して錬金術屋さんまで来ました。
因みにまっちゃは今日はお留守番です。
宝石作る作業は退屈だろうとマイホームに置いてきました。ミーアとキララと遊んでるはず。
店内をぐるりと見渡すと怪しい塗料は今日も並んでいてやっぱりrankCだった。
とりあえず2色買っておく。
青と赤です。瞳がアメジストの紫ならこの2色のグラデーションなら合うかなって思って。
「これください。あと、この怪しい塗料ってルーマさんが作ってるんですか?」
「そうよ。何?興味ある?」
「はい!」
「でも秘匿するほどのものでもないわよ?塗料と惚れ薬を合成しただけのものだから錬金術師なら大抵作れるわ」
「そうなんですか」
作り方が簡単にわかってしまった。
でも、問題は塗料なんだよね。
「ちなみに塗料の作り方って知ってますか?」
「私は買ってるから作り方まではわからないわ。……そうだ!私が買ってるのはこの町にいる道具師のドルクっていう人なんだけど、その人なら知っているかもしれないわ。私からの紹介っていえば話を聞いてくれるはずよ。道具屋に行ってみなさい」
「色々ありがとうございます!行ってみますね」
「いいのよ。ハナは魔女の見習いなんだから。そういえばシアのルートのとこには行ってみた?」
「あ、まだ行ってませんでした。今度行ってみます」
「そうするといいわ」
忘れてました。
何があるんだろうな?
それに“魔女の見習い”って称号のことだよね?
これがあると錬金系のNPC好感度でも上がるのだろうか?
ま、今は塗料です。
シアには落ち着いたら行きましょう、って道具屋に着きましたね。
「こんにちは」
「はい、いらっしゃい」
「ルーマさんから聞いて伺ったのですがドルクさんですか?」
「そうだよ。ルーマからの紹介かい?何か用かな?」
ドルクさんはニコニコしている眼鏡をかけた優しそうなおじさんでした。
「実は塗料のレシピを探していて、ご存知なら教えて貰いないかと思って」
「そうだったのかい。私も塗料のレシピは持っているから譲ってあげることもできるが……」
「ただとはいいません!出来ることならやりますのでお願いします!」
ドルクさんはうーんと腕を組んで考えていたが、よし、と何か思いついたようでこちらを見た。
「じゃぁ、今在庫を切らしている素材を補充してくれたらレシピを譲ろう」
「ありがとうございます!」
ーーーーーーーーーー
クエスト
『素材の補充をお願い』
クエストを受けました
報酬:『塗料』レシピ
クエスト出現条件:道具師にランクアップ済
ーーーーーーーーーー
そして補充素材のリストを貰って一度マイホームに戻る。
「まっちゃ!お出かけだよー!」
「きゅっきゅ?」
「ニーナ、キララごめんね。まっちゃとお出かけしてくるね?」
「ららら~」
「らららー」
ちょっと寂しそうにしていた2人に、お詫びにクッキーと紅茶を出してあげてまっちゃをつれてウォルターニアへ。まっちゃはクッキー欲しそうにしてたので歩きながら食べさせてあげました。
そして町をでたら火山地帯へレッツゴー!
まっちゃに乗ってひとっとびです。
「やっぱりここは暑いねー」
ホットドロップを飲んでいるのでいるのでHPは減ることはないけど、やっぱり暑い。
襲い掛かってくる鳥系のモンスターをあしらいながら目的の場所に進む。
「ここ、かな?」
「キェー?」
この溶岩地帯のある岩壁にぽっかりあいた洞窟。
ここを抜ければドワーフの里へと行ける。
ランクアップクエストを受けて種族が上がると他の種族の里へと繋がる道が解放されるそうだ。以前ヤトやクオと一緒にいった風の丘を進むと人族の隠れ里へと行くことが出来る。そして神樹はその里を超え広がっているエリアを攻略して最奥にあるらしい。そのエリアは最初魔気で満たされており奥まで進むことが出来ないそうだ。神樹を解放することによって、次の神樹エリアが解放されるらしい。
里へ行く道はだいたいどこもレベルは一緒で上位種族のレベル10くらいあればなんとか進めるとヤトに聞いた。
今の私でもなんとかなるだろう。……多分。
「じゃ、ここからは歩いて進もうか?」
「キェー!」
大きなまっちゃでも翼をたためば問題なく動ける広さだ。
今回の依頼にあったのは塗料の材料でもあるという赤い土と青い土、紅鉱石と蒼鉱石、そしてスライムゼリー。
スライムは結構いろんなエリアにいる。
エリアによっては多少強くなったりするけれども、スライムはスライムだ。
問題なく倒せるのでスライムゼリーはとりあえず何とかなるだろう。
50個くらいすぐ集まる、よね?
そしてその他は各20個ずつ。
紅鉱石と蒼鉱石は20個そろっていたのでいいのだが、赤い土と青い土はまだ持っていないのです。赤い土はここドワーフの里へと繋がる洞窟で、青い土は海の道の海中にあるとのこと。
ドキドキしながら洞窟を進む。
そこかしこに松明がたかれ視界は良好、これはありがたい。
「まっちゃ!きたよ!」
「キェ!」
現れたのは土に目と口がついたお化けみたいなモンスター。
「はぁ!」
勢いよく切りつけてみるもあまりダメージは与えられていない。
「アイスボール!」
次は魔法陣だ。
うーん、やっぱり魔法の方がきくみたい。
「まっちゃ!魔法の方がいいかも!」
「キェッ!」
今回2体同時に戦闘になったのでまっちゃとは別々に戦っていたのです。
「やぁ!」
そして刀で牽制しつつ魔法陣で戦うを繰り返して何とか勝利した。
「よし、まっちゃどんどん行こうか!」
赤い土は採掘で取れるのでポイントを片っ端から採掘する。
途中欲張りすぎてモンスターに強襲されるという事があったけど、無事赤い土20個をゲットしました。
ドワーフの里に行くにはボスを倒して行かないといけないので今日はここらへんで戻ります。
そろそろ終わりにして寝ないと明日寝坊しそうだし。
転移でマイホームへ戻り今日はここまで。
次の日。
今日は青い土を取りに行きましょう。
「ハナ、おつ」
「あ、クオいらっしゃい!」
今日はクオと一緒にお出かけです。
実はリアルでもフレンド登録した人とはメッセージの交換が出来るんですよ。
専用のアプリがあってそれを落とせば自分のスマホのアプリを通してやり取りが出来る。
今までタクやマリアはリアルでも会えるしやり取りできたので、その機能を使うことがなかったのだが、ヤトとクオとはこの機能を使ってやり取りをしている。
ゲームやってる時間がずれると連絡とれなくなっちゃうもんね。
今日の昼間クオとやり取りしていて、海に潜るって伝えたら一緒に行きたいとのことだったので2人で遊ぶことになったのだ。なんでも海藻類とか魚が欲しいらしい。
「じゃ、いこっか!」
「いこ」
「きゅ~」
そしてやってきましたリルマの街。
一度ギルドに寄り依頼書を取ってさっと街の外まで出る。
そして取り出しましたのは久々登場コロンです。
これ、自分よりレベルの低いエリアじゃないときかないので、最近あまり出番がなかったのです。
「はい、クオ。まずは採取中心で基本戦闘はなしでしょ?」
「そう。ありがとハナ」
「どういたしまして」
そして水着にチェンジです。
今日はクオがいるから抵抗も少ない。
クオの目的は海藻の採取と巨鯖の討伐です。
レアモンスターでギルドで討伐依頼が出てるそうなので取ってきたのだ。
この次の料理は鯖の味噌煮らしい。
この巨鯖の肉は支援効果がつくそうでそれが目当てだという。
まずは適当に水中散歩をしながら採取・採掘と行きますかね。
「じゃ、いこっか?」
「了解」
「キェ!」
まっちゃに大きくなってもらって海へ飛び込む。
まずはまっちゃのレベル上げもかねて浅瀬を泳ぎ回る。
まっちゃの〈水空〉をあまりあげていなかったので、あまり深いところにはいけないのだ。
ここはそこそこレベル高いエリアなのでまっちゃのスキルレベルもすぐあがるだろう。
海面から光がふりそそぎ海底の砂地には波の形がゆらゆら揺れる。
カラフルな魚たちがサンゴ礁に出ては入ってを繰り返し、楽しそうに遊んでいた。
水中でゴーグル等何もつけなくても視界はクリア。
とても綺麗な世界を映し出していた。
その中をクオとまっちゃと一緒に泳ぐ。
採取ポイントで掘って、取ってを繰り返す。
クオと一緒に同じポイントを採取していると違うものが取れたりもする。
クオの方がレアっぽいアイテムなのは採取師の力なのか。
喋ると空気が無くなるので、両頬をぷくっと膨らませ態度に表すと、思わず吹いてしまったようでクオが空気を求め海面へと上がっていく。
後を追って海面に出るとちょっとすねたような顔のクオがいた。
「その顔はずるい」
「だってクオのがいいアイテム取れるんだもん」
「食材はハナの方がいい」
ま、それは確かに。
「じゃ、あとで交換しよ?」
「おけ」
「キェー?」
遅れてきたまっちゃが顔を出した時には再び潜った後だった。
「キェー……」
ごめん、まっちゃ。
タイミングが……。
そしてあらかたポイントも取りつくし、まっちゃに乗った私がクオと手を繋ぎ水中を飛ぶように泳ぎまくるという遊びも終わり、ついに巨鯖との対決の時がきた。
一度陸へと戻り一息つく。
砂浜へ座りサンドイッチを食べながらクオから話を聞く。
「鯖の群れの中に1匹だけ大きな鯖がいる。それに一度攻撃を与えると群れから外れて戦闘になる。群れの鯖は普通の魚だから戦闘は無い」
「そっか。その一撃ってどうやって入れるの?」
「タイミングみて魔法使う」
「弱点属性わかる?」
「雷系。それと刃物の攻撃は普通に効くけど打撃はダメ」
ということは、クオの昆はあまり効かないのかな。
まっちゃの攻撃もあんまりって感じかも?
「じゃ、今回前衛は私でクオとまっちゃは後衛の方がいいかもね。まっちゃは回復もお願いね」
「キェ!」
「ハナ、まっちゃよろしく」
「頑張るよ!じゃ、先にこれ渡しておくね」
クオにタブレットとハイポーション、MPハイポーションを渡しておく。
「やばそうだったらクオ使って」
「ありがと」
今回私はお薬使う余裕なさそうだもんね。
まっちゃと一緒にタブレットでドーピングして、いざ巨鯖へ!
ざぶんと海へ入り群れ目指してクオの後を泳ぐ。
暫く泳ぐと魚たちが群れをなして泳いでいるのに出くわした。
クオが止まったことからもこの群れらしい。
一度海面に戻って空気を補充。
私のレベルだと25分くらいしか潜ってられないのでその間に決着をつけなくてはならない。〈水泳〉からランクアップすると〈潜水〉になるんだけど、マックスまでレベルあげると1時間くらい潜ってられるらしいよ?そのくらい潜れたら、戦闘も採取なんかも楽なんだけどね。
「いこ」
「うん、頑張ろうね!」
「キェッ!」
そしてクオが呪文を唱えだす。
唱え終わったのかこくりと頷き潜っていった。
それにまっちゃと続く。
群れは海面に近い場所でくるくる泳いでいるようで、もし息が切れてしまっても行って戻ってが出来る距離だ。
クオは魔法が主な攻撃手段なので呪文を唱えなくてはならない。
水中で呪文を唱えることは出来る。
しかし、それにより空気を失うからか潜っていられる時間が短くなってしまうのだ。
水中に入ると空気を現すメーターが表示されるので、それが0にならないように気を付けなくてはならない。
なのでクオは何度か海上とを行き来しなくてはならなくなるだろう。
『サンダーアロー』
クオが巨鯖に対して魔法を放つ。
タイミングはばっちり。
巨鯖はこちらを敵とみなし向かってきた。
クオは次の詠唱に入っている。
私は前へ出て巨鯖と対峙する。
なんだかこうやって前に出るのは初めてなので緊張するな。
時間はかけられない。
一気にいくぞ!
『《一閃》!』
アーツを使いまずは一発。
『サンダーボム!』
そして魔導陣になって新しく覚えたアーツで作った魔法陣をぶつける。
魔導陣Lv.25で覚えたボム系魔法陣。
イベント前には使えたんだけど、いつもの如く見落としていました。
イベント終わってから気づいた私のむなしさと言ったら……。
ま、まぁそれはおいといて。
みた感じボム系はボール系の上位魔法のように思う。大爆発って感じです。
うん、効いてるきがする。
よーしどんどんいくよ!
いつもの装備が良すぎて忘れていましたが、装備のおかげで今まで私は戦えていたのです。
……今度水着も新調しなきゃな。
巨鯖から受けたダメージが思っていた以上に効いてしまい、まっちゃは回復に専念することになってしまいました。水着もルルさん作だけど、やっぱり初期のものだからステータス的には足りなかったみたいです。
出来るだけ避けようと思ったけど後ろの2人にターゲットが移るのはまずいので、ターゲットが外れないように避けました。
ま、攻撃受けるよね。
巨鯖もその巨体を生かして突撃してきたり、巨鯖が作った渦に巻き込まれたりと結構やっかい。
レアMOBだけあってしぶとい。
だけどあとちょっと!
『《瞬斬》!』
すぱっと3枚にはおろせなかったが、なんとか倒したみたいです。
巨鯖が光となって消えていく。
倒せて良かった。
言葉少なとはいえ、多少言葉を発してるのでそろそろ息もやばい。とりあえず海上へ。
「おつ」
「お疲れさま。倒してほっとしてるよ」
「キェ!」
終わったと思ったらどっと疲れが……。
「あった」
どうやらクオは目当ての食材もドロップしたらしい。
よし。じゃ、帰りますか。
「じゃ、クオ転移で飛ぶよ?」
「お願い」
「転移!」
周りに人の目はなさそうなのでこのまま帰っちゃいました。
そしてそのままお風呂へ直行。
「きゅきゅきゅきゅ~」
「きもちいい」
「本当生き返るね」
3人お風呂で疲れを癒す。
「はい、ハナ、まっちゃ」
クオが取り出したのはコップに入ったジュースみたいなもの。
まっちゃには飲みやすいようにお皿だ。
「ありがとう!」
くぅー、キンキンに冷えたさっぱりとしたジュースが染み渡る。
「美味しい!」
「きゅっきゅ!」
「よかった」
嬉しそうにクオがはにかむ。
うん、可愛いなぁ。
これはお店開いたら間違いなく繁盛するね。
最近はちょっとは掲示板で世の流れ?をチェックするようにしてるんだけど、露店でも既にクオの屋台は有名になりつつあるそうだ。
もともとファンもいたみたいだしね。味もいいなんてきたら確実に有名になるだろう。
お風呂にまったり入った後は今日の収穫の交換会をして別れた。
今日はここまでですね。
あ、ギルドの報告忘れちゃった。
明日行こう。