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次の日のログイン。
どうしてもボフ爺さんとの勝負をしたくて学校から帰ってすぐにログイン。
でも時間がないからすぐさまウォーリアへ直行です。
「まっちゃ行くよ!ミーア、キララあとよろしくね!」
「ららら~」
「らららー!」
そしてやってきましたウォーリア。
今日は雨の日みたいでちょっと視界が悪い。
こんな日の為にカッパを以前買ってあったので装備する。
カッパってアクセサリーなんだよ。
なんとなく違和感。
お、いたいた。
「ボフ爺さん、今日こそ勝つからね!」
「お?ハナちゃん久しぶりじゃなぁ。よーし!勝負じゃわい!」
両者同時に釣竿を構える。
そして……。
「よいしょっ!」
「くぅぅ……。ハナちゃん腕をあげたな」
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クエスト
『ボフ爺さんと釣り勝負!2R』
クリアしました
報酬:釣り道具
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竿を貰いました。
なんとアクティブウッドで作られたものです。
rankCだけど性能が全然違います。
だってSTR+10だってよ。
今までのは何も効果なしだったもん。
「だが次は負けんからな!」
え?この流れって……。
「じゃ、次の勝負しましょう」
「望むところじゃ!」
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クエスト
『ボフ爺さんと釣り勝負!3R』
クエストを受けました
報酬:釣り道具
クエスト出現条件:2回目のボフ爺さんとの勝負に勝利
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また勝負することになった。
次は何が貰えるかなーっと。
そしてあっさりその勝負に勝利。
勝負内容は一定時間でどれだけ多くの魚が釣れるか、というもの。
でもって4R目もありました。
もちろん勝利。
伊達に釣り師になってませんよ。
勝負内容は先にマグロを釣った方が勝利、というもの。
釣りのアーツに《魚影探知》っていうのがあるんだけど、そのアーツを使うと自分を中心に半径5mくらいの水面に魚影が映るんだよね。その中で一番大きな魚影に向かってルアーをなげて釣りあげました。
……何で湖にマグロが?って、考えたら負けです。うん。
「ふぅ、ハナちゃん。強くなったなぁ。ん?何だ、釣り師になっておったんか。そりゃ勝てない筈じゃ。次はワシも釣り師になってるだろうからまた勝負じゃ!」
「うん、じゃ、またくるね!」
3Rの報酬は堅糸で、4Rではミスリル針をもらった。
あれ?なんか色々揃っちゃったんだけど。
……つまり主を釣れってことですね。
まぁ、rankCなので出来ればrankAで揃えたい。
取りあえず1回主釣りやってみてダメだったら作ってみよう。
塗料と宝石のこともあるし。
んー……せっかくだしこの湖でも船浮かべて釣りしてみようかな?
雨の日って釣りやったことなかったし。
この湖の中央には世界樹図書館があるのでまっちゃに乗って、飛びながらポイントを探る。
水の色が濃ければ濃くなるほど深くなっているらしい。
「ここらへんかな?」
一度陸にもどり、船に乗ってさっきのポイントまでまっちゃに引っ張ってもらう。
「さて、今度は何が釣れるかなー?」
ウォーリア湖で船での釣りは初めてなのでちょっとわくわくする。
ポチャン……
ルアーを投げ込みしばし待つ。
しとしとしと。
雨が静かに降り、気配が薄く感じる。
まっちゃも今日は静かに船の先端にお座りし、じっと湖面を見つめていた。
くんっ
お、きたきたきた!
「くっ!お、重い……」
さっきのマグロの比ではないくらい重い。
これは大物がかかったかな!?
「うーん!このっ!っしょっと!」
左右に振られる竿を引き上げようと必死につかむ。
「《一本釣り》!」
釣り師になって覚えたアーツ《一本釣り》を使う。
これはその一瞬STRが5倍になり獲物を釣り上げるというもの。
ばぁっしゃぁぁぁぁぁん!
「え?」
釣竿の先についていたのは何とも大きな、魚?
出目金をすっごく大きくしたような、魚?
どれくらい大きいっていうと3mくらい、かな?
魚、だよね?
「きゃー!」
ドン!
「うわぁ!」
船のへりのあたりに出目金モドキが落ちてきて、船がぐらぐらと揺れる。
そして何故か久しぶりの浮遊感と共に、体の自由が奪われた。
え?これってボス戦ですか?
ぐらぐら揺れる船から出目金モドキはぴょんっと飛び跳ね湖面へダイブ。
待ってー!せっかく釣り上げたのに!
がしかしすぐに顔を出し、釣り針から逃れようと左右に顔を出しながら泳ぎ回る。
そうはさせまいと必死で釣り上げようとする私。
Gyogyogyogyogyo!
え?魚ってなくんですか?
あ、モンスターだからいいんですね。
というか……。
「まっちゃごめん!釣竿放したらこいつ逃げそうだから私戦えない!」
「キェー!?」
大きくなったまっちゃが驚いたように振り返る。
「魔法陣でなんとか援護するから、まっちゃお願い!」
「キェー!」
わかった、というように出目金モドキに向かっていくまっちゃ。
今もずっと釣り針から逃れようとぐいぐい引っ張られているのだ。
魔法陣は掌から出るので、このまま放ったら掌で爆発するのかな?
「サンダーボール」
結果何も起こりませんでした。
んー……釣竿は装備じゃないから大丈夫だと思ったんだけどな。
やっぱり手が空いてないからかな?
釣竿を使っているから魔法陣は併用できない可能性はある。
「《倍力》」
これも釣りスキルのアーツ。このアーツを使うことによって30分間STRが倍になる。
そしてこのアーツを使うことで片手でも釣竿を持てるようになった。
しっかりと竿を腰に固定して左手で持つ。
「サンダーボール!」
右手を出目金モドキに向け魔法陣を発動。
ドンッ!
よっし!これはいける!
30分でどうにか終わらせないと。
雷特化魔法紙の魔法陣をあるだけ使って攻撃してやった。
水棲のモンスターは樹属性が一番きくんだけど、雷も効き目はいいのでこれしかない。
特化魔結晶とかいう前に特化魔法紙を揃えないと。
でも今は目の前の出目金モドキだ!
頑張れまっちゃ!
Gyogyoooooo……
そしてなんとか倒すことができた。
水鉄砲みたいのはいてきたり、船に体当たりとかしてきてバランス崩して湖に落ちそうになったりしたけど、倒しました。
ポーン
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『主に挑む者』の称号を得ました
STA+10
DEX+5
※湖の主を釣り上げること
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ん?称号?
というか、主?
え?今の、主!?
ドロップを確認すると紅魚の鱗、紅魚の涙、地図の欠片というものがドロップしていた。
紅魚っていうのはあの出目金モドキの名前だろう。
まさか主だったとは……。
地図の欠片というものが気になったので、取り出して見てみる。その名の通り古びた羊皮紙っぽい物の一部が手元に現れた。
んー……想像するにA4サイズの1/3くらいの大きさかな?確かに地図っぽくも見える。
ただ、ちょこっとの線とバツ印だけなので、全くどこなのか想像出来ない。線は千切れたところからまだ繋がっていそうなので、地図の欠片をあと2/3集めれば何処かわかるかもね。
あと2体主を釣り上げるってことなのかなぁ。
地図の欠片の大きさが同じくらいだとすると、完成にはあと2枚必要だということになる。
それにウォーリア湖と同規模の湖?はあと2ヶ所ある。
が、確かめるにはまずルアーを完成させなくちゃね。
「おぉ、お嬢ちゃん主を釣りなさったのか。ふむ。ではわしの助けはいらなかったかな?」
「え?ジローさん?」
後ろから声を掛けられたと思ったら、ボートに乗ったジローさんが居た。
「いやいや、わしはジローじゃなくてイチローじゃ。ジローは3つ子の2番目の弟じゃよ。わしが一番上じゃ」
「あ、お兄さんでしたか」
まったく一緒に見えるんですけど。
「わしはいつも赤のチョッキを着とるんじゃ。ジローは黄色じゃったろ?」
「はぁ……」
うーん、はっきり言ってあまり覚えていない。
そうだった、ような気もする。
ってか3つ子なんだ。
そりゃ似てるわけだわ。
イチロー、ジローそしてシロー。
こりゃサブローもいるかな?
「釣り師になってるお嬢ちゃんにはここの主を釣り上げるのは簡単じゃったかな?この湖の主は雨の日にこの一番深くなっているポイントで釣り上げることが出来る。ジローに出会っているなら次はターニア湖の主じゃな。やつはこの湖の主より手強いから十分注意していくんじゃよ」
「色々教えてくれてありがとうございました。頑張ってみます」
そしてイチローさんに別れを告げ岸にあがる。
ちょっと物陰に入りマイホームへ転移です。
あ、ちゃんと人がいないことは確認しましたよ?
ちょっと時間オーバーしちゃったので急いでログアウトです。
やばい、宿題しないと!
はい、本日2回目のログインです。
今回はレシピの捜索に出かけます。
始まりの街、ウォーリア、ウォルターニア、ギリアート、シアという順に図書館・本屋さんを巡る。今回は細工、木工、ガラス工のレシピを取得したり買ったりした。
そして最後に来たのがアラミアです。
まずは図書館、本屋と巡り次に来たのが宝石商のベルクさんのところ。
そうです結晶のレシピを貰ったところです。
宝石商というからには宝石の作り方を知っているはず。ベルクさん細工のスキル持ってるようなこと言ってたし。
……これで宝石作るスキル細工じゃなかったらヤバイなぁ。
ま、その時はその時で。
カラン、とベルを鳴らし店内へとお邪魔する。
うぅ…やっぱりこの高級感漂う空気が重い。
「こんにちは」
「おや、久しぶりだね。いらっしゃい、ハナさん」
丁度カウンターで作業をしていたベルクさんが、顔を上げ笑顔でむかえてくれた。
やっぱりお客さんはいない。
まぁ、NPCの店にしては高いもんね。
安くても万単位なんですよ。
「今日はどうしました?結晶のレシピは役に立ちましたか?」
「はい!とても役に立っています!今日は宝石の作り方を知らないか聞きに来たのですが……」
するとベルクさんは少し考える素振りをして気まずそうに口を開く。
「申し訳ありませんが……」
「あ、知りませんか……」
はぁ、と思わずため息が出る。
絶対あると思ったんだけどな。
「いえ、宝石のレシピは存じ上げておりますが、ハナさんのレベルだとまだ教えることができません。最低でもランクアップしてからまたお越しください」
「え?あ、はい。またきます」
そしてそのままダッシュでマイホームへと戻る。
まさかランクアップが必須条件だったなんて!
幸いあとレベルを1上げればランクアップだ。
という事で指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット等を作った。引きこもっていた時も気分転換に結構アクセサリーを作っていたので、作るのは慣れたものだ。
1時間くらい作り続けたところでレベルが上がった。結構早くレベルが上がったのでちょっと安心した。
〈細工〉
ーーーーーーーーーー
レベル上限に達しました。SPを使い上位スキルを取得しますか?
→細工師(SP7)
ーーーーーーーーーー
はい、取得。
そして再びダッシュでベルクさんの元へ。
「ベルクさん!細工師にランクアップしました!」
「おや、ハナさん。さっきぶりですね。まさかこんなに早く来てくれるとは。その心意気が嬉しいですね。では、そんなハナさんに宝石のレシピをお教えします。後進の育成も細工師としての役目ですからね。こちらへどうぞ」
「ありがとうございます!」
そしてベルクさんについて店の奥に行くと、なんと工房に繋がっていました。
「ここでrankCのルビーが作れればレシピはハナさんのものになります。道具はここの物を使ってもらって構いません。ですが、材料である紅鉱石はご自分で集めて下さい」
「はい!わかりました!」
ーーーーーーーーーー
クエスト
『宝石を作り出せ』
クエストを受けました
報酬:『宝石』レシピ
クエスト出現条件:細工師にランクアップ済
ーーーーーーーーーー
「ではまずこのレシピをお読みください」
「はい」
そして宝石作りがスタートした。紅鉱石は使い道がなかったので結構な量持っていた。なので材料の心配はない。
まずは材料となる紅鉱石をハンマーで叩く。
そして中にあるルビーの原石を探すようだ。
どこにあるかはわからないので、ひたすら叩く。
ハンマーで叩いた程度じゃ原石は割れないようなので、思いっきり叩く。
……疲れた。
鉱石は手のひら2つ分くらいの大きさだ。
その中から5センチくらいの原石を探すのだ。
結構大変でした。
そして出てきた原石をよく観察してカットの方向、上下を決める。
ココらへんはセンスなのかな?初めて見る原石で上下決めろと言われてもよくわからない。
何やら色々方法が書いてあるがよくわからない。
「すいません、ベルクさん。教えて欲しいのですが、この原石の上下ってどう決めるんですか?」
一人で悩んでいても仕方ないので、ここは先生に尋ねましょう。
「あぁ、初めてだと分かりづらいですよね。まずこの原石をピンセット等でつかみライトに当てます。ほら、よく見てください。このラインが見えますか?」
うーん……、あ、これかな?
「この光の屈折でできた線ですか?」
「そうです。今は綺麗にラインが流れてますが、こうすると……」
そしてベルクさんが光の当てる面を変えると、線は見えなくなってただキラキラ光って見えるだけになってしまった。
「このラインが出て集まる部分が下になります。そしてその反対が上ですね」
「なるほど。ありがとうございます!」
「いえいえ、頑張ってください」
ベルクさんはそのままお店の方へと戻っていく。
よし!
では再開です。
原石の下になる部分に持ちやすくするための棒を取り付けます。
なんと磁石みたいにピタッとくっつくから不思議だよね。
ええと、次は棒を下にして「ドロウ」と唱える。
「ドロウ」
すると目の前にウィンドウが開き『カボションカット』という文字が載っていた。
その文字を選択するようなのでぽちっと押してみる。
すると宝石の中に半円球の線がパッと引かれた。
なになに、指先で広げたり小さくしたり出来るようだ。
最初なのではみ出ないくらいに大きくして作ってみる。
線の場所が決まったら。
「エスタ」
ピカッと光り、線が定着された。
ここからはカッターを使う。
カッターといってもダイヤモンドカッターと呼ばれる道具だ。
丸い円盤を状の刃を縦にしたものが勢いよく回っている。
なんだかドキドキします。
こんなの現実じゃ簡単に使えないもんね。
まずは下の平らな面を作るため、ラインに合わせて原石を2つに切る。
ウィィィィィィィィィィン
ごくり
「いきます!」
そしてしっかりと原石を持ちカッターで切る!
う、うぅ……難しい!
なんて難しんだ。
結構力いるし細かい作業だしDEXも必要なんだろうな。
今度作業に必要なDEX・LUK・STRがあがる装備作ってもらおうかな?
うーん。
あ、とりあえず今はこっちですね。
結構ずれてしまったけど、とりあえず下面はできた。
棒を外し、この下面の真ん中あたりに再度取り付ける。
そして今度はダイヤモンドカッターの刃である円盤が横になっている研磨機で上部の半円球部分を少しずつ削って形作っていく。
根気よく、削った部分と線を見ながらやっと出来上がった。
そして最後に布に研磨パウダーを振ったものでひたすら磨く。
つやつやしてきたら棒を取外して出来上がりです。
時間かかったな。
慣れればもっと早く出来るんだろうけど、これはやりがいがありますね。
RankはもちろんF。
ま、そうですよね。
今日はもう時間がないので明日こそrankC作って見せましょう!
ということで今日はここまで。