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クランを立ち上げた日から4日経ちました。
そして何とかお金を集めた私達はクランホーム前に来ています。
クオは結構手持ちがあったようで少し露店を開いて売ったら貯まったらしい。因みに一番だった。ヤトも鉱石やモンスターのドロップ売りまくったりクエストこなして集めたそうだ。
私は久しぶりのラピスさんでした。
お薬系を中心に、料理も売った。
この前アップデードがあり新たに実装された機能によって、現在プレイヤーが売り出しているアイテムの平均価格と最安価格が分かるようになった。主に商売をしているプレイヤーからの要望が強くて、今回実装されたらしい。それを見て価格を再設定した。
1ヶ月のブランクあるしね。
あと転移石ね。
一人2個という制限付きで売った。そんなに作れなかったんだよね。これMP結構使うから量産は無理かなぁ。rankCの物を売りました。他の人が売っているのと同じ2000Gです。もう作れる人が出てきたのか、お店で買ったのを転売してるのか。そこら辺はよくわからなかったけど、そんな感じで売りました。
そんなこんなで集めたお金で建築屋さんに払いに行って今に至ります。
「よし、やるぞ?」
「お願いします、リーダー!」
「リーダーよろ」
「だからリーダーやめろって!」
そしてヤトが建築屋さんで貰ったスノードームモドキをホーム扉にかざす。
するとピカっと光って建物がガラッと変わった。
見た目もそうだし大きさもだ。
そして中に入ってみる。
「「「おおー」」」
思わず感嘆の声。
リビングは木の温もりが感じられる明るい雰囲気になっている。
「ちょっと転移陣使ってみるね!」
陣に乗ってマイホームへ帰ってすぐ戻ってくる。
「うん、問題ないみたい」
クオは隣の店舗スペースを覗いていた。
私もひょこっと顔を出すが、そこはガランとして何もない。更に窓も扉も無いので薄暗い。
「クオがどんなお店作るか楽しみにしてるね」
「頑張る」
2階にも上がってみた。廊下はちゃんとしてるがやはり部屋の中は何もなかった。
「あたしは訓練スペース作るつもり」
流石ヤト、ここでも戦うのね。
「まずは畑」
クオは畑を借りているらしいので自分の畑をまずは作るらしい。それにいつの間にかお手伝い精霊さんとも契約してるし、行動が早いよ。
「よーし!じゃ、今からクラン『セルフ』本格始動だ!基本はソロだけど、必要になったらいつでも呼んでいいからな!」
「私もいつでも呼んでね?あまり役に立たないかもしれないけど……。あとお薬とか必要なら言ってくれれば作るからね」
「あ、そうそう。その事なんだけどさ、お互い必要な物があるだろうからそれはちゃんと買い取ることにしないか?」
「確かにルールはあった方がいいかも。無料でもいいけど気を使いそうだしね。クラン内でもちゃんと売買することにしようか?まぁ、クランメンバーだから多少融通聞かせてもいいし」
私はヤトには鉱石、クオには種を売ってもらいたい。
ヤトは私に薬とか売ってもらいたいし、クオは私から種を買いたいだろう。もしかしたら瓶とか道具系を売ることになる可能性もあるしね。
「同意」
「そだな。じゃ、メンバーから依頼あったら無理ない程度で優先的にってことで。あと価格だけど、その時の最安価格でいいんじゃないか?」
「了解」
「わかった!」
「よっし!じゃぁこっからはいつも通りだな。じゃ、解散!」
「うん、またね!」
「じゃ」
そして各々自分の活動の場へと戻っていく。
私はせっかくウォルターニアにいるのでバザーに寄って行こうとクランホームを出る。
「きゅ?」
「あ、起きた?お買い物行くよー?」
「きゅっきゅ〜」
寝ぼけ眼だったけど、パタパタと頭の上に飛んでいき、まっちゃはペタンと頭に乗っかった。
落ちないかな?
クランに所属してからこうやって1人で歩いているけど、もう声をかける人もいなくなった。
最初はそんなに多くは無かったけど、やっぱり声をかけてくる人はいた。けど、クランに所属したことを伝えると段々その数も無くなっていった。
まぁ、1ヶ月も引きこもってたし声かけた人も物珍しさからって感じがしたけどね。
そしてバザーで必要な物を買ってマイホームへと戻る。
今日は釣りをしようと思います。
あとレベル1上がればランクアップなんですよ!
「じゃ、まっちゃよろしく!今日は湖の真ん中行ってみようか?」
「キェー!」
バサリ
まっちゃが大きな姿になって船を引っ張る。
「んー気持ちいい」
今日は天気も良いのでとても気持ちがいい。
日によっては曇りや雨もあるのでこんな日はお外で過ごすのがいいよね。
「ここらへんでいいかな?ありがとう、まっちゃ」
「きゅっきゅ〜」
まっちゃはポンッと小さくなって船の上でゴロゴロする。まっちゃのお布団とお菓子を出して上げて私は釣りを始めましょうかね。
「やったー!大物!……あ、レベルも上がった。じゃ、早速ランクアップして、っと」
〈釣り〉
ーーーーーーーーーー
レベル上限に達しました。SPを使い上位スキルを取得しますか?
→釣り師(SP6)
ーーーーーーーーーー
勿論取得です。
よし、これでボフ爺さんに負ける事は無いだろう。
明日は丁度月曜日だし釣り勝負行ってこよう。
んー……最後に1回釣りして終わりにしようかな?
今日は日曜で特に用事もないのでゲーム三昧なのです。夜もう1回ログインしようっと。
「お?掛かったかな?くぅぅ、大物っぽい引き!……ってわっ!?なんか急に軽くなったんだけど……」
強く引っ張られていたと思ったら、何故か急に手応えがなくなった。カラカラとリールを巻いてみるが、んーまだ食いついてはいそうなんだよね。
すると真っ赤な魚影が水面にうつる。
「よっと!」
ばしゃん
ばぁっしゃぁぁぁぁぁん!
「は?」
「ぎゅっ!?」
最後は力入れて釣り上げた、と思ったら、その魚を追うようにでぇぇぇぇぇっかい黄色い魚が水面から飛び出した。
ばっしゃぁぁぁぁぁん……。
そして私の頭上をアーチを描くように飛び越え、湖へと戻っていった。
…………。
さわさわ
びちびち
あぁ、風が気持ちいい。
釣り上げた魚も元気よく跳ねまわっている。
「ってちがーう!今の何!?」
「ほっほっほ。そんなに大きな声出してどうした、お嬢さん」
いや、誰?
いつからそこに居たんですか?
いきなり後ろから声をかけられたと思ったら、同じようにボートに乗って釣りをしているおじさんがいた。
さっきまでいなかったよね?
「え、今、とっても大きな魚?が……」
「ふむ。お嬢さん、この湖の主に会ったな」
「主!?」
まさか、さっきのがこの湖の主?
主
なんだかいい響き。
そんなの聞いたら釣り上げたくなっちゃうよね。
「主は今日みたいなよく晴れた日、この湖の中心で釣りをした時に時たま出会える。だがやつは用心深くてな、釣り師くらいの腕が無いと引っかからんのじゃ。それに普通のルアーじゃぁなくて生き餌のが食い付く可能性が高い。まぁ、あるルアーなら必ず食い付く可能性のあるものはあるんじゃが……」
「そのルアー教えてください!」
生き餌はちょっと、ねぇ。
だってさっきの大きさ釣るとなったら大きな生き餌にしないと。だって主の大きさ5mくらいはあったよ?……生き餌ってムシとかが多いでしょ?
無理!
「ふむ。じゃぁ、ギリアートの街にいるシローと言う者を尋ねなさい。ワシの名前を出せば協力してくれるじゃろう。ワシはジローじゃよ」
「ありがとうございます!私はハナです。絶対主を釣り上げてみせます!」
「そのいきじゃ。頑張りなさい」
そしてジローさんと別れてマイホームへと戻ってきた。もうログアウトしないとだからギリアートは次回ですね。
夜になりログインして現在ギリアートへやって来ました。
さて、シローさんを探しましょうかね。
取り敢えず本屋さんで聞いてみたけど、知らないらしい。
市場で聞いても、知らない。
うーん……釣り道具に関する事だから、道具屋さん?
「ん?あぁ、シローさんか。それなら井戸のある路地を入って直ぐの家だよ」
おおー、ビンゴです。
でも井戸ってどこにあったかな?
地図を開いてみると赤く×印が付いていた。確かに近くに井戸のマークがある。
「ありがとうございます。訪ねてみますね」
そして地図とにらめっこしながらようやく着きました。ここギリアートってやたら入り組んでるからすぐ道に迷いそうになるんだよね。
何度も地図と目の前の家の位置を確認して、間違いがないことを確認。
トントン
「こんにちはー」
「……何だ?」
中から男の人の声が聞こえてきて、ガラリと戸が開く。
「誰だ?」
「あ、私ハナと言います。湖の主を釣るためのルアーを教えて貰いたくて、ジローさんから紹介されて伺ったのですが……」
「兄貴の知り合いか。……しょうが無いな、上がっていきな」
「し、失礼します」
ジローさんの弟さん?
50代くらいのおじさまですが、ちょっと強面でためらってしまう。
けど、ルアーの為頑張れ私!
「さて、ルアーだったか。今急ぎの仕事が入ってるから、いくら兄貴の紹介とあってもあんたの依頼は受けられない」
「え?そ、そうですか……」
ルアー手に入らないのか。
レシピ貰えれば自分で作るんだけどなぁ。
「だからあんたにはレシピをやるから作れるやつを探すんだな。まぁ、タダというわけじゃないが……」
「本当ですか!?レシピ欲しいです!」
「お、おぅ。オレの依頼がこなせればレシピはやるよ」
そしてじぃーっと見られる。
え、何でしょう?
「な、何か?」
「あぁ、いや、すまんな。あんた生産職の人だったんか。スキル良い組み合わせじゃないか。特に道具と錬金術の組み合わせは最高だ。それがあればわざわざスキル持ってる奴を探さなくても自分でルアーが作れるぞ」
おぉー!
なんか知らないけどラッキーかも?
ってか私のスキル構成わかるんですね。
「それに鍛冶、細工、裁縫ねぇ。もうついでに木工やガラス工もスキル取得しちまえよ。その2つはさっき言ったスキルと相性良いからなぁ。取って損は無いと思うぞ?」
木工はわかるけど、ガラス工?
そんなスキルあったっけ?
とりあえずスキル取得画面を見てみると、あった。今までは無かったから出現条件が必要なスキルなのかな?
「木工にガラス工ですか……。何ができるんですか?」
「木工は木製品を作るんだが、そのスキルが高いと他のスキルの木製品作りにも効果がプラスされるんだ。低くても持ってるだけで精度はあがる。それに特殊な彫り方で効果を付与する事も出来る。その刀、自分で作ったんだろ?その柄や鞘をもっとしっかりした作りに出来るってことさ」
それは凄い!
これは取得ですかね?
「ガラス工はそんなにレシピがあるわけじゃない。だが、色硝子が作れたり色んな形状のガラス製品が作れる。ま、置物とかが多いかもな。まぁ、あんたが興味ありそうなのはビーズとかかな。裁縫に使えて便利だぞ?」
「取得します!」
「お、おぅ」
凄い!
木工はあったらもっと凄い船とか作れそうだし、刀の柄が貧相なのはちょっと気になっていたので取得する価値はあると即決。
そしてガラス工ですよ!
これを取得することによってピンクのハート型瓶とか作れたりするんじゃない!?面白そう!
ビーズも作って刺繍とかしてみたいし!
夢が広がります。
ポーン
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『クラフター』の称号を得ました
DEX+5
LUK+5
※生産スキル10個取得
※生産時に補正あり
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「おぉ!?」
「お?もしかしてクラフターになったか?」
「え?あ、はい。ええ?」
木工、ガラス工と順番にスキル取得したらいきなり称号取得の画面が現れた。
生産スキル10個って……魔導陣も生産スキルってことかな?まぁ、世界樹図書館に試練あるくらいだし、そうなのかもね。
うーん。
それにしてもDEXが上がるのは分かるけど、LUKも上がるんだ。つまり生産にはLUKの値も関係あるということなのかな?
ちょっと今後のステ振り考えなきゃ。
「そりゃ良かったな。ま、ランクアップ目指して頑張れよ。という事で依頼だが……」
そしてシローさんの依頼をこなしてレシピゲットです!
依頼は材料集めでした。
ホワイトベアーが落とす毛皮を10枚、アイスフォッグが落とすアイスドロップを10個、そしてサンドロックが落とす土塊を10個納品する事、というもの。
ホワイトベアーとアイスフォッグは雪原から雪の森にかけて出現、サンドロックはギリアートからシアへ行く砂漠で出現するので走り回りました。幸いレベル的には無理ない敵ばかりで助かった。ただ、アイスドロップのドロップ率が低くてちょっと時間がかかってしまった。
でも無事レシピは手に入ったのでこれでルアーが作れるぞ!
何々……アクティブウッドからルアーを切り出し、怪しい塗料で色を付ける。この時2色以上使う。出来上がったものに紫鉱石を削った物を目の位置に埋め込み(アメジストだとなお良いらしい)、針を取り付けて出来上がり。
あと、シローさんが言うには釣竿もアクティブウッドで作り直した方がいいとのこと。
糸は堅糸というものがいいと教えて貰った。
アクティブウッドはアクティブツリーというモンスターがドロップする。堅糸はハードスパイダーというモンスターのドロップだ。
アクティブウッドは風の丘にいるので頑張れば手に入れられそうだ。ハードスパイダーは獣族の里近くのエリアに出現するらしい。マリアが気持ち悪いって言ってた。
問題は怪しい塗料、かな。
針はレシピを持っているので、何とかなると思う。
レシピは縫い針だけど応用できるだろう。
まずは塗料のレシピを探さないと。
本屋さんとかでも見たことなかったのでリルマのルーマさんに聞いてみようかな。
あとはアメジストか。
紫鉱石はもってるけど、宝石類ってまだレシピ持ってないんだよね。
そうそう、宝石といえば特化魔結晶の材料にも宝石が必要になってくるんです。
星降宮のイベントでもらったレシピには闇特化魔結晶の作り方が記されていた。
作り方は何と合成で作るようなんです。
魔結晶・オニキス・黒羽
この3つを合成することによって闇特化魔結晶が出来上がるらしい。
オニキスは黒鉱石を加工して宝石にしたものらしい。
黒羽はまだ聞いたことないので何なのかわからない。
掲示板とかで調べてみたけど載ってなかったのでまだまだ先のエリアで見つかるのかも。
でも宝石は必要になるなら、一石二鳥だし次回は宝石レシピを手に入れましょう。
今日はもう時間がないのでこれでログアウトです。