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「まっちゃー!そっちの奴らこっちよこしていいぞー」


「キェー!」


「あ、これも食材なんだ。風起草?何これ野菜?」


「……食べるの?」


「よっしゃ!まっちゃナイスだ!ほらほらお前らまだまだいくぞー!」


「え?私?……うーん……物は試し、えい!」


「おおー」


「苦っ!」


生産三昧初めて4週間くらい経ちました。

ほぼ一か月ですね。

現在私はヤトとクオと一緒にお出かけ中です。


最近神樹の1本目レイドボスが銀の翼と聖騎士団との合同チームにより倒されて攻略組は2本目のエリアへと移動したらしい。2本目は獣族のエリアにあるらしい。獣族はいくつかの集落が連合しているらしく、レイドボスにたどり着くまでにも色々あるらしい。現にまだボスの居場所までたどり着いたクランやパーティーはいない、とのこと。


そして私達が現在いるのは風の丘というところだ。

今回はヤトのレベルあげと私達の採取とかが目的。

ヤトはもっとレベル高いとこでも良さそうだけど、やっぱりソロで行くにはパーティーで臨むより高いレベルがないときついらしい。ということで、比較的レベルの高いこのエリアで3人分の敵を相手にするというレベル上げ。

今回はパーティーを組んでいないので経験値は戦闘をしているヤトにしか入らない。まっちゃは私とパーティーなので、もし倒したらこちらにも経験値は入ると思うけどね。

まっちゃはヤトのお手伝い。基本的に戦闘では共闘ということができない。しかし支援効果を与えることは出来る。回復してあげたりなんだりね。ということでまっちゃは私やクオに向いた敵をうまくヤトへ誘導する役割だ。


つまりいつもと一緒ですね。


星降宮のイベントが終わってからはたまにこうやって一緒に出掛けたりしている。


いつもはパーティー組んだりしているのだが、最近告知された次回のイベントに向けてヤトはレベル上げをしないと、ということで今回のような形になったのです。


そう、ギリアートにあった大きな丸い建物、正式名称は『武のコロッセオ』。そこをあるクランが解放したことにより武闘会が開催されるのだ。


大会は今月最終日、あと1日という日程だ。


開催と日時はコロッセオが解放されると同時に発表された。

詳しいルールの提示とエントリーは6日前、丁度大会1週間前に開始された。


勿論私とクオは応援だ。


いや、出ないですよ?

予選すら通らないと思います。


武闘会では使い魔の使用が禁止なんですよ。

ま、かなり抗議がいっているらしいので次回からはルールが追加されるかもしれないけど。


なんとこの武闘会、このコロッセオで定期的に開催されるそうです。


今回は解放祝い?というのもあってきちんとしたイベントになっているけど、次からはNPCも参加したり大会の中でも色んなクラスが出来るらしい。今開示されている情報だと、誰でも参加可能の無差別クラス、レベル制限有りの各クラス、魔法のみで戦うマジッククラスだ。景品とかそういうのも今回は豪華だが、通常の大会はランクがおちるよう。


ま、経験値も入るし景品も毎回変わるらしいからいつか参加してみてもいいかな?


今回は無差別クラスのみ、さらにプレイヤーオンリーの大会なので出ませんが。


ということでヤトはレベル上げ中なのです。


「おーい!終わったぞー。まっちゃ助かった!最近穴場の美味い店見つけたから大会終わったら連れてってやるな!」


「きゅきゅぅ~!」


ひと段落ついたヤトが小さくなったまっちゃを頭に乗せて歩いてくる。


それを迎えるクオと私。


「……ってか、ハナそれどうしたんだ?」


そうなんとも微妙な顔で聞いてくるヤト。まっちゃも不思議そうに首を傾げている。


「いや、そのうちおさまるから……たぶん」


現在私には結構な勢いの風が吹き付けている。

何故か苦しくはないんだけど、髪や服が凄い勢いではためいています。

おそらく、いや絶対さっき食べた風起草のせいだとは思うんだけどね。


あ、風がやんだ。


また変な食材を見つけてしまった。


「お、本当だ。じゃハナも落ち着いたみたいだし帰るか」


「そうだね、じゃぁ私はこのまま飛んで帰ろうかな?スキルのレベル上がるし」


まっちゃをこちらに呼び寄せ再び大きくさせる。


「……ハナまだ勧誘酷いのか?」


ヤトが心配そうに聞いてくる。


「うーん、最近街に行ってないからわからないけど、ちょっと前に行った時は声かけられたんだよね。初日にソロ宣言してるから、ほとんどの人がダメ元でって感じだから嫌な感じはしないんだけど……。ただ、ちょっとしつこい人もいてさ」


「大丈夫?」


クオにも心配かけてしまった。


「このままじゃ良くないのはわかってるんだけどね。ま、今までは生産で籠ってたからよかったけど、そろそろ街に行かないと色々進めないしね」


タクやマリアからも心配されてるし。

マリアなんか勧誘してくるプレイヤーに殴り込みかけるとか言ってて抑えるの大変だったんだよね。まぁ、まだクランに誘われてるだけだからね。しつこいけど。


それでマリアが変に言われるのは嫌だし。


「うーん、もういっそどっかのクランに入っちゃおうかなぁ……」


でも行動制限されたくないし。

知り合いのところは融通してくれるかもしれないけど迷惑かけるからそれだけはやりたくないんだよね。


やっぱり無理だな。


「いや、それはどうなんだ?」


クオもこくこく頷いている。


「だよねー。もうちょっと考えてみる」


「ハナ、明日一緒」


明日はクオと一緒にヤトの応援に行くことになっている。

人ごみは不安だが、みんな興味はイベントに集まるだろうしヤトの応援はしたいし。

それにこれだけ期間が空いたからそろそろみなさん諦めただろう。


「うん、久しぶりの人ごみだからお願いします。クオには迷惑かけるかもだけど……」


「無問題」


「ありがとう!」


本当にいい人達に巡り合えて私は幸せだ。

明日はクオがホームまで迎えに来てくれることになっている。


どうやら転移台で私が許可した人には私のホームが設定できるようなのだ。

もちろんヤトとクオ、それにタク、マリア、ニーナさんは許可している。

ぶっちゃけ一度家に呼んだ人は許可しているんです。許可できない人は入れないしね。


「じゃ、また明日ね!」


「おう!応援きたいしてるぞ!」


「じゃ」


まっちゃの背に跨る。

そして2人に手を振り一気に高度を上げた。




まっちゃに現在の最高高度である35Mまで飛んでもらう。


んー風が気持ちいい。


「キェー!」


が、油断はしていられない。

前から緑色をした鳥が襲ってくる。

烏みたいな大きさの鳥だけど目が1つしかないウイングクロウというモンスター。


弱点は雷属性なのでサンダートルネードで吹き飛ばす。

そしてまっちゃに頑張って貰って逃げる。


なんというかまっちゃに乗りながら魔法陣使うのは問題ないのだけど、刀が使いにくいんだよね。なんか羽根まで一緒に切りつけそうで。


補正が働いてくれるから実際にはそんなことにはならないんだけど、一度試してみてすんごく動きにくかった。さらにリーチが短くて敵にかなり接近しないと駄目だからちょっと使いどころが難しいんだよね。


そんなこんなで逃げ切ってやりましたよ。

まっちゃ最高です。


一度地面に降りて周囲を警戒。

出来るだけ木々に隠れるように転移を発動。


やっとホームに帰ってこれました。


「らららー!」


「ららら~」


リビングに入ると可愛い2人のお出迎えです。


「ただいま。じゃ、皆でお茶にしよっか?」


「きゅっ!」


「らららー!」


「ららら~!」


3人ともお菓子が大好きでお茶の時間は欠かせない。

喜んでくるくるまわる3人を可愛いなぁと思いながらキッチンに向かう。


すると待ちきれないようでふとシンクから顔をあげたらカウンターの向こうには3人の顔が並んでた。


思わずスクショ。


なんて可愛いんでしょ、うちの子は!


今日はプリンにしましょう。

最近の自信作です。

まっちゃはお皿に盛り付け、後の2人には瓶入りのプリンです。


瓶に入ってるプリンって何故か美味しそうだよね?


フルーツティーと更にハートフルーツのロールケーキも切り分けお皿に盛り付ける。ピンク色のスポンジに、生クリームの中心にはハート型のハートフルーツ。


今日は大盤振る舞いです。


「では、いただきます」


「きゅっきゅきゅ~!」


「らららら~!」


「ららららー!」


明日も学校があるし、食べ終わったらログアウトかな?

新たなエリアでの採取にちょっと疲れも感じ、ぼーっとここ最近のことを思い出す。





引きこもって畑のお世話をしたり空中散歩したり釣りしたりしながら生産三昧したここ4週間程。


1週間くらいは材料のストックもあったし色々やりたいこともあったのであっという間にすぎてしまった。ま、学校が始まってログイン時間が減ったからあっという間、と感じたのかもしれないけど。特に攻略とか急ぐこともないのでまったりすすめました。


そしてそろそろ勧誘も皆諦めただろうと街に行ってみたのだけど、まだまだ皆さん諦めていなかったようです。やはり錬金系の生産職は貴重らしい。それに特化したクランも出来たらしいけど、地味な作業に耐え切れずリタイヤした人もいるとか。材料確保とかもしなくちゃいけないしね。その件でもひと悶着あったらしいけど、今は落ち着いてスキルのレベル上げに勤しんでいるらしい。他の優秀な錬金系の職人は既にクランに入っていたり、スキルを公にはしないので目立つ他の人がいなかったりと錬金術スキルの需要はまだまだ高いらしい。

こんな勧誘あったら錬金系のスキル持ってるなんて名乗り出たくないよね。


あとは最近ラピスでお店も開いてないし薬の値段がまた高騰しそうだ。

店売りのポーションは買える店舗が増えたことで流通量が増えたのか、買えないということはなくなったようだ。でも店売りの物は基本rankCなのでプレイヤー的には物足りないようだ。


そんなわけで勧誘はまだまだ続きそうだと思った私はまた引きこもったのです。


それにヤトとクオにもちょっと話したけどしつこい人達もいるんだよね。

大抵の人はすぐ諦めてくれるんだけど、1回街に行っただけで5回も勧誘してきた人がいた。というか同じクランの人が人を変え話しかけてきたのだ。


『ゴースト』というクランで、感じ悪かったし絶対あそこのクランにだけは入らないけどね。


そんなこともあってそれから街にはいってません。

街でしか手に入らない食材なんかは一度マリアに無理言って必要量買い出しを頼んだ。

殴り込みを留めるのは骨が折れたが、お使い自体は進んでやってくれた。


そして引き続き引きこもり生活が始まったのです。


とはいっても材料を買いに街へ行けなくなったので自分で採取なんかやモンスターのドロップなんかを集める為外にはでたけどね。


途中マリアに誘われタクと3人でリルマ近くの穴場な海水浴出来るエリアに行ったり、ヤトとクオと種採取行ったりもしたし、やっぱり引きこもりじゃないかな?


そうそう、それから転移石のこと。


ニーナさんに相談してやっぱり情報公開した方がいいってことになったので掲示板にあげてみた。

ただ、ニーナさんに代わりでお願いするのも迷惑だと思ったので、思いきって運営に問い合わせて掲示板に載せる名前を変えられないかを聞いてみた。そしたらプレイヤーとしての名前と商人として登録している名前以外は使えません、という回答だった。


え?商人名って使えるの?


ヘルプにある掲示板に関してのページを確認すると、説明の注26というところにちっさくのっていた。


わかるかこんなの!


え?皆これ読むの?

こんなとこまで読まないよね?


タクに確認したけどやっぱり知らなかった。


ですよね。


ということでラピスで書き込みしてみました。

これで正体がバレたとしても、もうしょうがないかなって思う。

親しくない人にはバレないだろうし。


そんなこんなで情報公開しました。

後が怖くて屋台は出してない、というか材料足りなくて出せませんでした……。


今色々試しているのでそのうちまた再開したいけど、またトラブルきそうで怖いし。


転移石はなんと他の場所のNPCのお店でも売りに出されていた。各種族の里で売りに出されてるようだ。どれもrankCだけどね。リルマでクエストをクリアしてちょっと経った頃だったかな?実は病気で倒れてたのは何人もいて、それが治ったことによってまた全国供給?出来るようになったらしい。


1日に限りはあるけど、供給量は比較的多めらしい。これでプレイヤーの手にも渡るようになったので良かった良かった。


今度お店再開した時には並べてみようかなぁ……。

置いてなかったら無かったで何か言われそうだし。


あとニーナさんにハンマー改も無事渡せました。

かなり驚いてたけど喜んでくれたので満足です。

本当いつもお世話になりっぱなしだもんね。

これで少しは恩返しが出来たら良いんだけど……。



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― 新着の感想 ―
[一言] ハンマー改がでてからようやく渡せたようでほっとしました。次はルルに針改を渡さないとですね。
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