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リルマについて転移台から出るとなんだかたくさんの視線を感じた。


み、見られてる?


居心地悪かったので早足でマーケットへ向かう。

そしてやっぱりお客さんがいないタゴサクさんのところへたどり着いた。


「こんにちはー」


「おぉ、ハナさんじゃねーか。今日はどうしたかい?」


「精霊石の欠片集まったのでお手伝い精霊さんお願いしようと思いまして」


「おー!んじゃ精霊石の欠片をおらに貸しておくれ」


「はい」


タゴサクさんに精霊石の欠片を10個渡す。

するとそれを地面に円になるように並べるタゴサクさん。そして呪文のようなものを呟き出すと、並べた精霊石の欠片がふわりと浮かびくるくる回りだした。そして中央に集まったと同時に一つの石になった。


「召喚」


最後にタゴサクさんがそう口にすると一つになった精霊石を抱えるように一人の女の子が現れた。


「よし、成功だべ」


精霊石を両手で抱え直した女の子はこちらを見てニコリと笑う。

身長的には100センチないくらい。白いワンピースを着ていてふわふわの青い髪と瞳をもつ女の子。


「ららら~?」


こてんと首を傾げる様は可愛すぎる。

でも何を言ってるかわからない……。


「あー、精霊言語を習得してないと言葉は通じないかもなぁ。まぁ、精霊さんの方は言ってること通じてるから問題ないべ」


「精霊言語か……」


「じゃ、ハナさんこの精霊石に手をかざしてくれるかい?」


「あ、はい」


そして手をかざすとピカリと光り、手の甲に雫のようなマークが浮かび上がる。


「よし、これで契約は完了だべ。精霊さんは対価としてMPを与えてやってくれればお仕事してくれるだ。それと必要のない時にはこの精霊石の中で眠ってることも出来るだ『返還』」


タゴサクさんがそう言うと精霊さんはふわっと光って消えてしまった。


「おおー!」


「じゃぁ、召喚の仕方を説明するだ。この精霊石はもうしまっても大丈夫だよ。んで手の甲に現れたマークを触りながら「召喚」って言うだ」


言われた通り精霊石をインベントリにしまい精霊さんを呼び出す。


「召喚」


すると目の前にさっきの精霊の女の子が現れた。そしてなにやらウィンドウも開きました。


「スキル?」


「んだんだ」


ウィンドウには精霊さんについて書かれていた。精霊さんは元から名前を持っていてこの子の名前はミーアと言うらしい。


タゴサクさんが言ったように対価としてMPを渡すことが契約履行の条件らしい。1日、つまり15時間で100MP。リアルの1日、つまり8日間だと800MP。ミーアを召喚中に手の甲にあるマークをタップすると専用ウィンドウが開くらしい。


んー……リアル1日だとrankAのMPハイポーション3つでちょっと足りないくらい?


そう考えると結構お高い気も……。ま、ベッドで回復しちゃうから全然問題ないけどね。


そして精霊さんはスキルを使うことが出来るらしい。使えるといっても、私が持っているスキルで精霊さんが使えるものを共有するって感じみたいだけど。


精霊さんは受けとるMPとは別に自分のMPを持っている。それを使ってアーツを使うことも出来るらしい。


「精霊さんも農業のスキル持ってないと畑さ耕せないからなぁ」


「あ、なるほど……」


ミーアは2つスキルを覚えることが出来るらしい。そして農業のスキルは固定で既に選択されていた。つまり選べる枠はあと1つ。選択出来るスキルもなんと1つ。


「合成?」


そんなスキルもってたっけ?


「あぁ、ハナさん合成使えたんか」


「合成って……あ、錬金術の?」


「んだんだ。ハナさんそれで肥料さ作っただか。普通は肥料作る技を教えて貰うんだけんどな、ハナさんみたいな錬金術師さんは合成で色々作り出すからすごいだな!」


んー……つまり合成での肥料作りはイレギュラー?正規の作り方じゃないってことか。

ま、作れるからいっか。今度時間あったら本当の作り方調べてみようかな。


「まぁ、そんなわけで精霊さんも合成が使えるんかもしんねぇな。おらのとこで契約する精霊さんは基本的に農業に適正のある子達ばかりだかんな」


「じゃ、他の適性もった子もいるってこと?」


「んだんだ。んだけんども、ハナさんみたいな錬金術とかの適性もった子は珍しいからなかなか出会えないんじゃないか?この子も合成使えるだけでも凄いと思うだよ。まぁ、肥料作りってことで農業の延長線にあるスキルって認識なんだべか?ん〜肥料作り以外には使えないかもしれないかもだなぁ」


「なるほど。他はどんなスキルが共有できるんですか?」


「あとは水魔法や土魔法が便利だなぁ。水をまいたり土耕したりできるべ」


「魔法かぁ」


「ま、畑さ耕すのにしか使えないだろうけんどな」


確かに便利そうだよね。


じゃ、スキルは合成にして決定っと。


精霊さん、ミーアはペコリと頭を下げてにこりと笑った。

腕に抱え直したまっちゃもつられてペコリ。


えらいぞ、まっちゃ!

ちゃんとご挨拶できたね。


「これからよろしくね、ミーア」


「きゅ~!」


「ららら~!」


無事ミーアと契約も出来たし今日は帰ろうかな。まだこの前買った種も植えてないしね。ウォルターニア寄ってちょっと買い物してホーム帰ろうっと。


ミーアはいったん帰って貰ってタゴサクさんに暇を告げる。


「じゃ、また来ます」


「んだんだ。また2人目のお手伝い精霊さんと契約したくなったら寄ってくれなぁ!」


ちょっと待て。


「え?お手伝い精霊さんって何人も契約できるの!?」


「最大5人までは契約できるだ。まぁ、精霊石の欠片も必要だけんどな」


「わかりました!また来ますー」


そっか、確かに畑広げたら精霊さん1人じゃ大変だもんね。まだ欠片も残ってるし、2人目も頑張ってみよう。





「あの、すいません。ハナさんですよね?」


これからのことをニヤニヤ考えながら転移台に向かっていると、見知らぬ男の人に声をかけられた。


「え?あの、どちらさま?」


もしやニヤニヤしてたから呼び止められた!?


「突然すいません。魔法同好会というクランのサクマと言います。少しお話したいのですが……」


そんなに変な顔してた!?

いやいや、そんな馬鹿な。

あ、もしやタクとマリアが言っていた勧誘……とかだったり?


なーんて。


「えっと、どういったお話でしょう?」


「昨日のイベントでの最終戦での活躍を見させて頂いて、是非私たちのクランに入って貰えないかと、そういうお話をさせて頂きたくて」


やっぱりー!?

いや、昨日の今日って早くない!?


「あのー……すいません。私はどこにも所属するつもりはありませんので、残念ですがお話は伺えません」


「いや!こちらとしましても、色々好条件を提示させて戴きたいので是非お話だけでも!」


丁寧な人だったから大丈夫だと思ったけど、意外としつこい!


「ごめんなさい、いくら好条件を提示して頂いても所属はできないです。それじゃあ!」


「あ、待って下さい!」


「すいませーん!」


ここは逃げるが勝ちですよね。

ちゃんと断ったし、逃げよう。


「ハナさん!自分とも是非お話を!」


「おい!ずりーぞ!こっちの方が先に待ってたろ!?ハナさん!うちにこねーか!?」


「あ、ハナさーん!ちょっとお茶でも!」


「見つけた!ハナ様!こっち向いてー!」


「ご、ごめんなさーい!」


何だかいきなり人が押し寄せてきた。

確かにずっと視線は感じていたけれど……。

1人目が声をかけたのを皮切りに、あちこちから声がかけられる。


私よりステータス高い人もいるだろうけど、流石に手は出してこない。よかったー……。集団に追いかけられているうちに転移台まで来てしまった。マーケットからそんなに遠くなくて良かった。


「すいません、私はソロで活動するのでクランやパーティーには所属できせん!では!」


一息に言ってホームへ転移する。


「つ、疲れた……」


本当はウォルターニアで素材仕入れたかったけど、やめておこう。なんか怖いし。


うーん……暫くは引きこもろうかなぁ。


あ、でも畑の拡張はしたいよね。今日の打ち上げの前にちょこっと寄るくらい大丈夫だよね。


そうしよう。



よし、じゃさっそく畑に行きますか!





畑に出てさっそく召喚します。


「召喚!」


すると目の前にミーアが現れた。


「ららら~!」


目の前が畑だからかさっきよりテンションが高い気がする。


まずはミーアにリアル1日分、MPを800譲渡です。

それからミーアと一緒に収穫してまっちゃも加わり種まきしました。

そしていつもの合成練習です。


現在あと10回くらいで6種類の合成が100%成功ってとこですね。

これ6種類ってことは1回の合成でMP60も使うという。

そんでそれを10回ってことはMP600……。


うん、ちょっとベッド行ってくる。


ミーアとまっちゃに雑草取りをお願いして私は回復です。


「ららら~!」


「きゅう~!」


ミーアがまっちゃを追いかけるように外へ出かけて行った。

まっちゃも新しい仲間ができてはしゃいでいるようだ。


なんとなくまっちゃは、僕のほうがお兄さんなんだからついてきて、ってミーアに言ってるような気がした。

まっちゃが先に出て行ったのはミーアを案内するつもりなんだろう。


まっちゃ偉いぞ!後でケーキ焼いてあげるからね!


私はさっさと回復して2人に合流しましょう。



そしてベッドからでて2人の元に行った時には雑草が山のように取れていた。


おぉ、はりきったね。


姿を見せたらミーアとまっちゃがとことこやってきてぎゅって足元に抱き付いてきた。まっちゃは亜成体の大きさで、ミーアとは反対側に擦りついてきた。そしてつぶらな瞳をこちらに向け、2人そろってこてんと傾げる。


いっぱいとれたよ、偉い?


その瞳はそう語っていた。


偉い!偉いに決まってます!


「まっちゃもミーアもありがとう!いっぱい取れたねー!」


そしてしゃがんで2人まとめてぎゅっとしました。


「ららら~」


「くぅ~」


うちの子達はなんてお利口で可愛いんでしょ!

完全な親ばか……マスターバカですね。


でもいいんです。可愛いは正義です。



2人が集めてくれた雑草を持って再び畑に戻ります。

そこで合成布を広げ早速合成の練習です。

どうやらミーアも合成布がないと合成はできないようなので、ぱぱっと終わらせたらミーアに貸し出しましょう。





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