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2日目。


起きてテントを出ると、丁度2人も出てきたところだった。まっちゃを召喚してヤトにボスの情報を教えて貰う。


ボスはファイヤーシールと言って体長5メートルくらいの大きな炎を纏ったアザラシらしい。レイドの時は小アザラシもわらわら出てきたが、今回はわからないといっていた。


因みにこのダンジョンでチームを組んでボスに辿り着くとレイドボスになるらしい。そこは挑戦する人数に対して強さが変わっていくようだ。


「ちっさいアザラシは出てくるかわからないけど、出てきたらハナとクオに任せるな。まっちゃはファイヤーシールの注意をひいて、あたしがメインで戦う、と。ま、さっきの猪と同じだな」


「わかった」


「了解」


「単体だったら2人は左右別れて、あたしが真ん中やるからよろしく」


一応タブレットを飲んでドーピングしておく。まだ在庫はあるので皆に配った。

……ヤトには必要ないかもしれないけど、一応ね?


「よし!じゃ、開けるぞ?」


ヤトが先頭になり扉を開く。

するとそこは岩壁に囲まれた円形の広場だった。

その1/3程をマグマの池が占めている。

ヤトに続き勝手に体か動いてその池に近づく。すると地震のように足元が揺れだした。思わず膝をついてしまう。顔を上げ目に入ったのは、マグマから飛び出した炎を纏ったアザラシだった。


Gyuuuuuuuuuuu!


小アザラシはいないようなので3人で総攻撃です。まっちゃは既に飛び立っている。真ん中をヤト、右側をクオ、そして左側が私の担当だ。


ヤトは走ってアザラシに近づくと高くジャンプしてアザラシの眉間を殴り付けた。


「おらっ!」


クリティカルが入ったようでアザラシが怯んでいる。

クオの様子はわからないが、戦闘音は聞こえるので攻撃を始めたのだろう。


よーし!

私も頑張るぞ!


体に纏った炎に気を付けながら刀で切りつける。アーツも使っちゃえ!


「《桜咲》」


ヤトが強くてすぐ戦闘が終わってしまいそうなので強めのアーツを叩き込む。

桜が枚散る中、くるくると切りつける。


うん、いい感じ!


やっぱりこのアーツ好きです。

今の格好になってより様になった気がする。〈舞踏〉のお陰で足さばきが更に良くなった気もするしね。気のせいかもしれないけど。


「ウォータートルネード!」


そして魔法陣で炎を飛ばして切りつける。

水系の魔法で纏っている炎を数秒消すことが出来るとヤトが教えてくれてたんです。さっきはついアーツを使ってしまったけど、次からは気を付けないと。


だって火傷の状態異常ついてるし、微妙にヒリヒリして気になるし。


トルネードを放って直ぐにバーンポーションを飲んだので今は治ったけど、2人は大丈夫かな?


その後も炎を消しながら刀で切りつけ、クールタイムを消化して刀のアーツを叩き込む。


3人の中ではやはりヤトが一番ダメージを与えているようで、アザラシの注意はヤトに絶えず向いている。


こっちは好きにやれるから助かるけど、ヤト大丈夫かな?


「あー!?そんなもんか!?もっと打ち込んでこいよー!」


うん、大丈夫。

むしろ足りない?

ここは楽しそうなヤトに任せましょう。


なーんてちょっと油断してたら太い腕に押し潰された。や、ヤバい回復ー!


距離をとりハイポーションで回復。

まっちゃは遠くて回復を頼めなかったんです。


その後も炎を飛ばしてきたり腕を降り下ろしてきたりと攻撃してくるアザラシさん。一番危なかったのはマグマの池に飛び込んで、跳び跳ねたマグマが降ってきた時。あれは焦った。クオがバリアみたいな魔法で守ってくれたから何とかなったけど、一人だったら危なかった。



Gyuoooooooooo!



最後はヤトにタコ殴りにされてアザラシさんは消えて行きました。

ヤトの戦闘スタイルは幅広くて、武器を使ったと思ったら格闘戦になってたりと凄いのです。よく使いこなせるよね。


「お疲れさん」


「おつかれー」


「おつ」


宝箱からはブラッドルビーという赤い宝石が出てきた。武器とか加工する時に使う素材みたい。これを使うと強力なものが作れるんだって。


そしてそのまま、全員HPMPを全快にして21階層へ。

2人はたくさんハイポーションを使うことに抵抗があるようだったけど、まだまだ在庫はあるので飲ませちゃいました。


そして21階層。


「おぉー……本当に海だ」


そこは水平線が見えるほど何もない海が広がっていた。海の道と同じように浅瀬が網目状に続いている。


すると目の前で2人が装備の変更をしだした。


ピカリと光ったかと思うと、そこには水着姿の2人がいた。


「え?水着?」


「あ、もしかしてハナって水中用の装備持ってなかったか?」


「い、いやー、一応あるけど……」


「なんだ、じゃ早く着替えろよ」


「え?あ、うん」


ヤトに急かされお風呂に入るように買っておいた水着を着る。VITはかなり下がるけど、ヤトがいるし大丈夫だろう。


「よーし!じゃ、いくか!」


ヤトは真っ赤な三角ビキニ。種族がドワーフなので、その特徴である日焼けした肌にとても似合っている。髪の毛も現実にはいないような真っ赤なウルフカット、にかっと笑った口元からは八重歯が覗いて可愛らしさをプラスしている。


一方クオは腰回りにフリルのついた白いワンピース水着。黒髪ショートボブの前髪ぱっつんなクオ。その色の対比がいい感じです。クオは獣族のネコらしい。黒い耳と毛並みの良い黒く長いしっぽが可愛らしい。


2人も水着だし、3人だけだし問題ないかな?


「ハナ、スタイルいい」


「あ、ありがと。クオも可愛らしいよ!」


「……」


クオは自分の胸と私の胸を交互に見つめてため息。いや、大丈夫だよ!まだまだ成長期だよね?……のはず。同い年だけど、ね。


「おら!もういくぞ!最初は海の上を回って、次は海ん中行くからな!」


「おけ」


「わかっ……え?海の中?」


「そりゃ、パーフェクト狙うなら中行かないとダメだろ?」


「そ、そっか……。私〈水泳〉のスキル持ってない」


「「え?」」


……。


ざざーん、ざざーん……。

風が気持ちいいですね。


じゃなくて!


「ま、まぁ〈水泳〉は条件もなく取れたはずだから今からでも大丈夫だろう」


SPもあるし取ることはいいんだけど、スキルレベル低いのが不安です。

それにまっちゃはスキルないので、海の中に行くときは送還しなきゃだし。


ま、考えてもしょうがないので〈水泳〉をとりましょう。


SPは5だけだったので助かった。

〈鍛冶師〉と交換して〈水泳〉をセット!


「とったよ!」


「海の中ではハナは水泳の特訓な?クオはその護衛。このエリアはレベル高めだから直ぐにスキルレベルも上がると思うよ?目指せランクアップだな」


「は、はい!クオ宜しくね?」


「任せて」


胸を張って頷くクオが頼もしい。

素早く海上エリアを廻っていざ海の中へ!


まっちゃはついていけなくて悲しそうだったけど、お留守番してもらいました。


ごめんね、機会があったら〈水泳〉とろうね?



海に入ると別世界でした。


色々なお魚が群れを作って泳いでる。南国を思わせるカラフルな魚達。


でも〈水泳〉のスキルが1の私は潜りたくても潜れない。

レベルが上がるごとにより深く潜れるようになるらしい。

採取のポイントも見えてるけど取りに行けない、もどかしい!


いい具合に湾になってる場所を見つけたので私はそこで水泳の練習。入り口でヤトが戦っている。最初はクオもいたのだけど、奥まで敵が来ないことがわかったので採取に行ってもらった。


私も岩壁にあるポイントを採取したり採掘したり。海だからかワカメとか取れたよ。昆布とかあればいい出汁が取れそう。


この階層は2人のおかげで、何とかパーフェクトを取れたので次の階層へ。


そこでも私は〈水泳〉の練習。

どうやらただ泳ぐだけでなく一緒に戦闘をすることをでレベルが上がりやすくなるらしいので、ヤトの後ろから魔法陣で攻撃した。


レベルもぐんぐん上がって今では10メートルくらいまでは潜れるようになった。


レベルは25。イベント中は全員のレベル上昇速度が2倍になってるらしいのでそのおかげもあるみたい。しかもここのフィールド自体がレベル高いから低レベルのスキルはレベルが上がりやすいらしいよ。知らなかった。


この階層はそこまで深いところはなく、問題なく採取や採掘が出来た。海ブドウもどきも手に入ったよ。食べるの楽しみ!


そんなこんなで25階層へ来た時には、〈水泳〉レベル33。

潜れる深さも20メートルを越した。これでほとんどの場所を潜ることが出来そうだ。


ここまでずっと海フィールドだった。


いやー、泳ぎまくった。

体がふやけちゃうんじゃないかと思ったくらい。ま、ゲームだからそんなことにはならないけどね。


水中の戦闘もやっとコツが掴めてきた。

やっぱり雷系の魔法陣がよく効くよね。パーティーメンバーにはダメージ無しなので水中でも思う存分使えるのです。


2人とも魔法陣に驚いていた。

ま、他に使ってる人もなかなかいないだろうし、珍しいよね。


ヤトの目が怪しく光った気がしたが、気にしない。獲物を見るような目で見られたからって、気にしない!


いやー!私は気づいてないから狙わないでー!


それと刀も最初はふりにくかったけど、〈水泳〉のスキルのお蔭でだんだん陸と近い感覚で振れるようになってきてる。あとは水の流れに抵抗せずに振り切ると上手くいった。〈舞踏〉のスキルと合わさって本当に舞っているようだとクオに言われた。


嬉しいけど、ちょっぴり恥ずかしい。



「またモンスター1種類足りないのか?」


「うん、他の採取と採掘、採師で取れるのはコンプリートって出てるんだけどね」


「隠しボス?」


「多分ね」


でも今回撃破数50を越えてるモンスターもいるけど数字の色は変化なし。


50じゃないなら……100?

まさか、ね?


「とりあえずモンスター倒してくるか?」


「そうだね」


「じゃぁ、あたしが1人で行くからハナとクオは2人で回ってくれ」


「わかった」


「了解」


良かった、一人だとここのレベルの敵は心配だったんだよね。


ヤトは水中を担当して、私達は海上の担当。終わったら水中へいく予定だ。


海上ならまっちゃもいけるな。


召喚っと!


「くぅ~!」


やっと出れたとばかりに、体をうーんと伸ばしている。


「クオ、まっちゃ宜しくね?」


「頑張る」


「くぅっ!」


クオの武器は棍のようだ。

棍を振り回しながら魔法の呪文を唱えるのだ。器用だよね。

その棍の中心部に大きな宝石が埋めてあり、杖と同じような効果が得られるらしい。効果としては威力増幅だとか。


クオも基本はソロなので、自分で戦えないと困るからこういった戦闘スタイルになったんだって。最初はパーティーに所属して人見知りを治そうと思ったらしいんだけど……やっぱり踏み出せず現状に落ち着いた、と。


それでもヤトを通して色んな人と出会えたからこのゲームやって良かったと言っていた。


そんな話をしながら結構な数モンスターを倒してきた。この辺りのモンスターは結構強いので油断は出来ない。シアの周りよりはるかに強いもんね。


私今VITいつもより低くなってるし。攻撃は出来るだけ避ける!


クオがいるのと、ヤトにレベル上げてもらったお陰で何とかなってる。あと、碧魔刀の力も大きい。魔法陣はまだかろうじてダメージを与えられているが、もっとレベルが上がったら特化が必要になってきそうだ。


「変わった」


「え?」


唐突にメニューを見ていたクオが声を上げた。


「もしかして数字の色変わった?」


「100」


コクンと頷いた後に続いた数字にびっくり。


え?本当ですか?


つまり各モンスター100体倒さないとダメってこと?


私もメニューを開いてみたが、結構な数倒していることがわかった。あと20体ずつ倒せば行けそう。


マップを見ると中央には丸く穴が空いたように海上の道が無くなっている。

そこに現れるの予感。


「クオ、もうちょっとだし頑張ろっか」


「おけ」


「くぅぅぅ~……」


「勿論まっちゃも宜しくね?」


「くぅっ!」






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