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短編集  作者: るむるむる
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最強の召喚獣


 彼はこの世界において最高峰の実力を持っていた。

 彼の姿を現すと人はこういうだろう……ドラゴンと。しかしこの世界には、人はいない。いるのは皆、人から見たら化け物と呼ばれる存在ばかりだ。ゆえに彼自身も自分がドラゴンなどという名前があるのも知らない。


 彼が知っているのは、自分には強大な牙があり、あらゆるものを噛み砕く顎の力。そしてあらゆるものを切り裂く強大な爪。さらに体内で精製出来る、灼熱の火の玉と、絶対零度の凍気のブレス。さらに自身の力で呼び寄せることの出来る雷。

 そしてそれらで敵を倒す。これが彼の知っていることだ。


 ならば敵とは一体誰か?簡単だ、自分以外の目に移る全ての生き物だ。

 なぜそれらを、敵として認識しなければならないのかは分からない。生まれたときからの本能かもしれない。親はいなく、気がついたらこの姿でこの世界にいた。


 そして彼はその翼を使い、この世界を飛び回り、敵を探した。

 中には自分と似た姿を持った敵もいて、命がけの戦いになったこともあったが、彼はそれらをすべて駆逐していった。

 逃げるものもおり、自身がダメージを食らい過ぎて、追うことが出来ないときもあった。

 それでも彼はこの世界において、敵を倒し、生き延びていた。


 時間の概念がないこの世界でどれだけの時が立っただろう。どれだけの敵を倒してきただろう。もはやそれすらわからない。


 少し飽きてきて、自らの巣の場所を決め、ここを縄張りにしようと彼は決めた。

 その場所には鉄の巨人がいた。高さは9mほどあり、それらに合わせて手足も太くそして長いが、この世界においては普通だ。

 4本足の彼が鎌首をもたげて、高さはやや低いといったところか。

 鉄巨人がうなりをあげて、手に持った、自身より大きいと思われる大剣を、音速の壁を突破したスピードで振るう。


 凄まじい音があたり一帯を包む。 

 彼はその剣を微動だにせず、その鎌首で受け止める。

 そして彼の口から、凍気のブレスが放たれ、鉄巨人は一瞬もかからず凍結する。そして止めだと、いわんばかりに、自身の爪を振るう。

 鉄巨人はその爪を受けてあっさりと砕け散る。


 自らの縄張りを勝ち取った彼は、満足し、近くの山に向けて今度は灼熱のブレスの塊をぶつける。山に穴があき、彼はその穴に潜り込む。そして一時の休息を得る


 彼が巣穴でまどろんでいると、何か声が聞こえる。いや声という概念がない彼にとって、それはただの音である。が、その音はなぜか心地よく聞こえる。

 だんだんと、その音が大きくなり、彼自身もその音に引かれる。

 そして彼の体がまばゆい光に包まれた。


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