プロローグ~忘れられない日々の始まり~(6)
「もうちょっと余裕持って学校来なさいよ。いくら家から近いって言っても」
「いいじゃねぇかよ、間に合ってるんだから。お前が早起き過ぎるんだよ。今日だって、どうせ夜明けくらいに起きてるんだろ」
「もちろん。お宮掃除は一日を気持ち良く始めるための大切な仕事ですから。これをサボるなんて言語道断よ」
「でもよ、今真夏だろ? 巫女服とかメチャクチャ暑いんじゃねぇのか? 汗ダラダラかくだろ」
「最近の巫女服はよ~く出来てるのよ。熱くならないように体感温度を下げる素材で作られてるし、それにプラスして薄く作られてるから。夏の暑い日でもヘッチャラよ」
「――でも、そんなに良い素材で作られてるんだとしたら、お値段はお高いんでしょう?」
「いえ、こちらの素材、決してお高い素材を使っているわけではありませんので、お客様が想像しているお値段よりも大幅に安い価格で提供することが可能です。更に、お家が神社さんの場合は、さらにお値段を引かせていただいております」
「え? 一体どれくらいの値段で?」
「本来、普通に購入されますと3万円前後のお値段になってしまうのですが、サマーセールとお家が神社であることをサービスに加えますと――1万5千円でご提供することができます」
「1万5千円だって~!?」
「……それって安いほうなのか? イマイチ相場が分からんからピンとこんのだが」(亮)
「まあ、一般市場には出回らないし、仕方ないわよね。値段はピンキリで、安いものは1万いかずに買えるのもあるけど、良いものだと10万とかするらしいわよ」
「じゃあ、佑香が着てる巫女服はそこまで高いものじゃないってことか」
「そうね、でもまあ機能性にさして違いもないし、別に不満はないわ。そこまで裕福なわけじゃないからね」
「まあ、似合ってればそれでいいさ」
「……さすが巫女服フェチの秀吾は言うことが違うな」
「そこそこ好青年な顔してるのに、趣味が変態っぽいからもったいないわよね~」
「人間誰しもそういう一面を持っていて当然じゃないか。亮、お前だってそういうのあるだろうが……大っぴらでは言わんが、人のことをとやかく言える立場ではないだろ」
「俺は別に何も言ってないぞ。言ったのは佑香だ。俺も巫女服は嫌いじゃないから気持ちはすごく分かる」
「うん、ならよろしい」
「何がよろしいのかは分からないけど、朝っぱらから変態趣味の話題はどうかと思うわよ」
「お前が巫女服の話をするからだろうが」
「何よ、人のせいにするの? 私は別にそういう意味でそういう話をしたんじゃないわよ」
「あんな感じで言われたら、話したくなってしまうのが分かるだろ? 察してくれよ、幼馴染だろ」
「幼馴染そんなところで使ってこないで。何て返したらいいか分からないでしょう」
「つまり要約すると――今度また巫女服見せてくれ。金払うから」
「うわ、ストレート……」
「今の秀吾は主人公と言えるキャラでないな……」
「心配ない。やる時はやるのが主人公だ」
キーンコーンカーンコーン。
――校内に始業の鐘が鳴った。