あの子って、実は意外と……(11)
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「――で、あっちの畑ではキャベツとトマトを栽培してるんだ。都会のように排気ガスとか有害なものを吸ってないし、おまけに低農薬を心がけてるからキャベツもトマトも甘みがすごいあるんだ。生でかじっても食べれるからな」
「生でですか?」
「そう、生。採れたては最高に美味いからな。俺たちのクラスに三山ってのがいるだろ? あいつの家は農家だから、時々新鮮野菜を譲ってくれるんだ。おねだりしたら余るくらい譲ってくれるぞ」
「そうなんですか?」
「ああ、遠慮せずに言ってみるといい。――あ、向こうに川があるの見えるか?」
「川ですか? ……あ、あれですか?」
「そう、あの川。俺たちの学校にはプールなんてものがないから、今みたいな時期はロングホームルームで水浴びしたりする時もある。夜はホタルを見ることもできるぞ。見たことある?」
「いえ、まだ見たことないです」
「夜、8時過ぎた頃に来るといっぱい見れるから、見たくなったら足を運ぶといい。綺麗だから」
「はい、今度行ってみます」
「…………」
「ああ、ごめんな。さっきから一気にしゃべりすぎてるな」
「いえ、大丈夫です。たくさん教えてくれて、嬉しいですよ」
「そうか?」
「はい、聞いてるだけでもとっても楽しいです。五十沢くんはこの村の知識をたくさん持ってるんですね」
「ずっと住んでるからだよ。20年近く住んでいれば、嫌でも身に付くもんだ。須貝だって、生まれ育った街のことは覚えてるだろ? それと同じだよ」
「でも、あたし他のお家の畑の情報とかまでは分からないです。それだけ村の人たちとのつながりが強いってことじゃないですか?」
「うーん、そうか?」
「そうです。都会では、そこまで他人の家のことに干渉しませんから。村の人と深い関わりを持ってるっていうのはすごいことだと思います」
「もともと小さい村だからな。何だろう……みんな家族みたいなもんなのかもしれない」
「家族ですか?」
「うん、そう。確かにそれぞれ生まれは違うけど、村で育ったことは一緒だから。村が親だとしたら、俺たちは村の子供。そう考えたら、それぞれのつながりが強いのも分かる気がしないか?」
「……その考え方、すごく素敵ですね」




