須貝絵玖登場! 転校生は元アイドル!?(9)
「――って、何知った風に説明してるのよあんたは。――ていっ!」
「あだっ!」
いきなり佑香に頭を叩かれた。なかなかに痛かったぞ……。
「佑香さん、もうちょい手加減をしてくれても良いのではないんですか? ちょっと脳が揺れましたよ」
「そお? 揺れるくらいしか脳みそ入ってないからじゃない?」
「失敬な! 亮よりは入ってるって!」
「おい! お前の発言の方が失敬だっつの!」
「あれ? 亮、いつの間に……」
「さっきから居たわ、ずっと話してたじゃねぇかよ……」
「そうか、それはすまん。……にしても佑香さん、随分ご立腹のようですね」
「ええ、ご立腹だけど何か?」
「どうしてそんなにまでご立腹なんでしょうか? お弁当の中にごっきーでも混入していたんですか?」
「その状況に出くわしたら出くわしたで相当ご立腹にはなるでしょうけど……そういうのじゃないわよ、ていうか、原因はあんたよ、ヘイ、ユーお前よ」
英語まで絡めて言われてしまった……。
「約束したでしょう? ちゃんと一回は話をするようにって。なのに何? あの体たらくは」
「ちゃ、ちゃんと一回は話したじゃないか」
「あんなの話したって言わないわよ。『あ、よろしく……』が会話成立してるんだと思ってるわけ? どんだけ世の中が自分の思い通りに行くと思ってるの? バカなの? 死ぬの?」
ものすごい勢いで怒られてる、しかも結構ガチトーンだ。
「基本お前の味方にはなってやりたいが、今回はちょっと佑香の意見に賛成だな。さすがにお前の肩を持てそうにない」
「……………………」
ちなみに、話題の本人は既に帰宅しており、教室に残ってるのは俺たちと数人だけだ。
「確かに、無理やり秀吾に話を振って困らせたかもしれないわよ? にしたって、もうちょっと返し方があるでしょう。あなたの好きなかわい子ちゃんと話す機会を作ったのに、それを捨てるってどうなのよ」
「……理想と現実は結構ギャップがありましてですね」
「そんなの当然よ、理想と現実にギャップがないわけないじゃない」
「……………………すいませんでした」
返す言葉もなくなり、俺は素直に謝ることにした。
「はあ、この子がここまで人見知りだったとは……お姉さんがっかりだわ」
「でも、須貝絵玖だって相当の――」
「言い訳無用、人のことを言える資格が自分にあるとでも?」
「……ないです」
言いたいことを言わせてもらえなかった。
……まあ、言われても仕方ない、実際俺はこいつとの約束を破ったわけだからな。
「――でも、秀吾の言おうとしてることは、俺も感じたな。あの子、秀吾に負けず劣らず相当の人見知りだ。俺は察した」
「ちょっと、ミャンマー」
「佑香だって、感じなかったわけじゃあるまい? 神社の娘なんだし」
「……………………」
どうやら、俺が感じ取ったことは、決して間違いではなかったようだ。




