君のために……全てを賭けてでも……(20)
「…………ん、んん……」
「あ、絵玖ちゃんが目を開けたみたいだよ」
「え、絵玖、大丈夫か? 絵玖」
「……秀吾、くん? 帰って、来たんですか?」
「ああ、もちろんだ。言っただろ? 絵玖のことは助けるって。それを証明しただけだよ」
「……ありがとうございます。大好きですよ」
「お、おお……」
まさかこの状態でそれを言われるとは、予想していなかったな……。
「お~お~、相変わらずラブラブみたいだな」
「妬けちゃうわね~」
「い、言わないでくれよ。恥ずかしいだろ……」
「あひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「先生、笑いすぎですよ。つうか何で笑ったんですか?」
「言っちゃダメらしいから、笑ってみたんだけど?」
「そういう問題じゃないですよ……」
よかった、無事、間に合うことができて……それもこれも……。
「――お、この音は。救急車がようやく到着したみたいだね」
「これで、本当に安心できるな」
「そうね、全ては秀吾が頑張ったおかげね」
「いや、俺だけが頑張ったわけじゃないよ。みんなが頑張ったからさ、それに……あの人も……」
「ん?」
「いや、何でもない。とにかく、絵玖を救急車に乗せなくちゃ」
「言っておくけど、絵玖ちゃんだけじゃないよ。秀吾くんももちろん病院に行ってもらうよ」
「え? 俺もですか?」
「当然じゃないか。そんな足をしているんだ。医者として見逃しておくわけにはいかない」
「ま、マジですか……」
「いいじゃないか、秀吾。絵玖ちゃんの隣に寄り添っててあげなよ」
「そうそう。絵玖ちゃんもそっちの方がいいはずよ」
「……分かりました、行きます」
――程なくして、救急車が到着し、俺と絵玖は二人で病院に向かった。
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…………。
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