愛するための決意(3)
一先ず、伝えたいことはこれで終了だ。次が……とっても重要なことだ。聞くのであれば、覚悟して聞かなくてはならない。
……一度、大きく深呼吸をする。その間に、お母さんは俺の注いだお茶を一口口に含んだ。
「――あの、お母さん、一つ、絵玖のことについて聞きたいことがあるんです。よかったら、教えていただけないでしょうか?」
「……声のトーンを聞く限り、とっても重要なことみたいね」
「はい。――しばらく絵玖と一緒にいて、自分で思ったんです。絵玖にとって、本当に大事な存在になるには、嫌なことから目を背けてはいけないんだって……だから、前は怖くて聞くことができなかったけど、今回は教えてほしいんです。――絵玖の寿命について」
そう、俺はやっぱり知っていなくてはいけないんだ。もちろんそれは、絵玖の寿命についても。本当は聞きたいことではない。
ずっと知らないままでもよかった……そう言う人もいるかもしれない。だけど、それではいけないと、俺は思った。最後の最後まで、絵玖を幸せにするためには、全てを絵玖と共有するためには、絵玖と同じくらい絵玖のことを知っていなくてはいけないんだ。
本人も重い病気と言っていた、その事実に偽りはない。病気に関して疎い俺でも確実に分かることだ。突然発作が起きて血を吐いてしまうのだから。恐らく絵玖の病気は、数ある病気の中でも、かなり重い部類に入るものだろうと、俺は予想している。
「いいですか? お聞きしても」
「……後悔は、しないかしら? 多分……いや、聞いても絶対に面白くない話だと思うわよ? それでも、いい」
「……お願いします。俺は絵玖の大事な人になる資格として、その事実は聞いていなくてはならないから」
「……うん、分かったわ。話しましょう、絵玖の寿命について」
「…………」
お母さんは一拍間を置いた後、口を開いた。