須貝絵玖登場! 転校生は元アイドル!?(2)
「はぁい、今開けます~」
俺は玄関に行き、鍵をかけたまのドアをガチャリと開けた。
「はぁ~い、おはよう秀吾」
「あれ? 佑香? なして俺の家に? モーニングコールでも頼んだっけか?」
「ううん、頼まれてないわよ。私が勝手に思い立ってやってきただけ」
「だよな。にしても何で急に思い立ったりしたんだ? ……エロいことでもしにきたのか?」
「みんなが秀吾や亮みたいにエロいこと考えてると思わないほうがいいわよ? 考えていたとしても、表に出さないものだし」
「…………ちぇ」
「ちぇ、言うな」
「そういう目的じゃないとしたら、何で俺の家に? ラジオ体操ならやらないぞ」
「そんなお誘いするためにわざわざ家まで来ないって。ほら、これよ、これ」
「ん?」
よく見れば、佑香の右手にはタオルで包まれた鍋のようなものがぶら下がっていた。
「ああ、昨日言ってた煮物か? わざわざこんな朝早くに持ってこなくてもよかったのに」
「母さんが早いほうがいいでしょって言ってたからさ。学校で受け取らせて日に晒すよりも、朝に届けて冷蔵庫に保存すれば、そこそこ日持ちもするし。それに、朝ご飯のお供にだってできるでしょ」
「なるほど。やっぱり頭良いな、佑香の母さんは」
「誰でも思いつきそうだけどね。――ちょうどいいわ、私が朝ご飯作ったげる。これから作る予定だったんでしょ? その格好を見る限り」
「格好? ……やん、変態」
「それ、私の台詞だから」
風呂上り、パンツ一丁だということをすっかり忘れていた。というか、そんな格好の俺とよく普通に会話をしていたな佑香よ。
「ホントに、見た目と裏腹に残念な感じよね、秀吾って」
「世の中に完璧な人間ばかりじゃつまらないだろ」
「ただだらしないだけでしょ? 秀吾のは。人間としての配慮が欠けてる」
「いいじゃねぇか。今さら気にする関係じゃなし」
「親しき仲にもって言葉があるでしょ? 次は気を付けなさい。次同じ格好で出迎えたら、金的するから」
「痛い、考えただけでも痛い……」
「それが嫌なら、ズボン履いて出てきなさい。……じゃあ、適当に作っておくから、その間に着替えと学校行く準備済ませてきて」
「了解」
俺は自室に戻り、言われるがままに着替えと学校に行く準備を済ませた。
…………。