クラスメイトたちとの戯れ(12)
「どうですか? 裏がありそうでしたか?」
「うーん……どうだろう。絵玖の前で俺の悪口を言うのは憚られただけかもしれないな」
「それで納得しちゃっていいんですか?」
「ああ、いいんだ。十年以上一緒にいるんだ。お互いに悪いことだって簡単に言えてしまう仲だからな」
「そうですよね。十年以上一緒にいるのは佑香さんたちだけではないですもんね」
「ああ。クラスメイト大半がそういう関係なんだ」
「それは、家族っていうのも頷けますね」
「分かってると思うが、絵玖も家族の一員に入ってるからな、今は」
「あはは、ありがとうございます。つい最近入ってきたばかりですけど」
「それでも、溶け込んでるんだから家族だ。引け目を感じることはない」
「――はい」
「おーい秀吾。肉焼けたからこっち来て食えよ~、じゃないと先生に全部食われちまうぞ」
「ああ、今行くよ。――だとよ、肉は食ったか? 絵玖」
「はい、少しずつ摘んでいます」
「今日くらいガッツリ食えよ。いっぱい食べる女の子が俺は好きだぞ」
「……分かりました、いっぱい食べます」
……………………。
…………。
……。
「――で、そこに入った祈祷師は、二日後に謎の死を遂げてしまったんだってよ」
「うわ、こわ~……」
「ちょっと亮、あんまり怖い話しないでよ~」
「はぁ? おいおい待てよ。そういう感じの雰囲気にしたのは佑香じゃないのかよ」
「別にしてないじゃない。ただ、そういうのって実際にあるものなのよね~って言っただけよ」
「いや、それは十分なネタふりじゃないかよ」
「そんな思いで言ったんじゃないのよ私は。私がそう思ってるんだからフリではないの」
「そんなご無体な……」
「いいからそろそろやめましょうよ怖い話は。もうそろそろ暗くなってくる時間だし、本
当に怖くて帰り道を歩けなくなっちゃうわよ」
「……それ、単なるお前の本音じゃないのか」
「そんなわけないわよ! ――ていっ!」
ドげし!
「イッタ! おい、神の使いが人を足蹴にしていいのかよ」
「お黙りなさい!」
「……今、一瞬佑香が有名な双子のオカマの片方に見えたな」
「あはは、確かにちょっと似てたかも」
「そこ、笑ってるんじゃないの~!」
「……でも、そろそろお開きにするか? 時間も時間だし、残りたい奴だけ残る形にするか」
「そうね、そうしたほうがいいかも。先生もすっかり大人しくなったからね」
「グー……スー……ピー……」
「食べたら寝るって、本当に子供かよ……」
「うーん……亮くん、そんなこと言ってると~……留年させるぞ~……永久に~……むにゃむにゃ……」
「寝言のはずなのに、なんつう危ない台詞を発するんだこの先生は……」
「何だ、職員室じゃなくてよかったな」
「はあ、この先生を送っていかなきゃいけないのかね~」
「――じゃあとりあえず、ここらで帰るって人は帰っていいわよ。あ、ゴミは各自お持ち帰りしていただけるとすごい助かるわ。そうすると、片付けがとっても楽になるから」
……各々がそれに返事をし、何人かのクラスメイトが川原を後にしたのだった。