クラスメイトたちとの戯れ(8)
――そして、いよいよ準備も終わりメインのバーベキューへ。
「――じゃあ、三学年の固い友情を祝して、かんぱぁ~い!」
「かんぱーい!」
亮の音頭で、バーベキューはスタートした。もちろん飲み物はアルコールではなく、オレンジジュースとかコーラといった清涼飲料水である。
「ごくごく……はぁ~、おーいしーいね~」
「先生、お酌しますよ」
「ありがと~佑香ちゃん」
「いえいえ、これくらいならいくらでもやりますよ。……もうちょっとしたらお肉とかが焼けてきますから、たくさん食べてくださいね」
「うん、お相撲さんくらい食べる予定だよ~」
……言っていなかったが、あんな小さいなりをしているが、意外と先生は大食漢である。何故栄養をモリモリとっているはずなのに一つも大きくならなかったのだろうか……またここで思う、人間というのは不思議な生き物だと。
「ほら、こっちの野菜はもう食べれるぞ。みんな、食っちまえ」
「おお、サンキューな亮」(高橋)
亮は手際よく野菜や肉をクラスメイトにサーブしていく。すっかりバーベキューの焼く係に任命されたようだ。本人曰く、焼きながら摘み食いしていくのが楽しいとのこと。だから大変そうでも苦ではないんだろう。
「秀吾、肉焼けたぞ。ほれ」
「おお、サンキュー」
亮が皿に肉を乗せてくれる。……なかなか大きな肉だな。
「これは、誰の家の肉だ?」
「多分中谷のところだと思うぞ。脂の乗り具合があいつの家の豚っぽいし」
「よくそんなところまで分かるな」
「よく物々交換をするからよ、あいつの家とは」
「なるほどな。…………うん、美味いな。肉厚でジューシーだ」
「余るくらいあるから、遠慮せずにバクバク食えよ?」
「ああ、そうするよ」
「――秀吾くん、ジュース、注ぎましょうか?」
「ん? おお、絵玖。やっと帰ってきたか」
「はい、ただいまです」
「今までずっと野菜の仕込みをしてたのか?」
「そうですね。ひたすら食べやすい大きさにカットを続けていました」
「それはお疲れ様だったな。疲れただろ? おでこに汗かいてるし」
「あ、ホントですか?」
「ほれ、これで拭け」
「ありがとうございます」
「……お前のおかげで、たくさん野菜が食べれてるみたいだぞ、みんな」
「あはは、頑張った甲斐がありました」
「たまには、こういうのも悪くないだろう?」
「はい、大人数でワイワイするのも、とっても楽しいです。野菜を切ってる時は、クラスメイトの女の子とたくさん話をしてました」
「そうか。誰が野菜班だったんだ?」
「えっと、佑香さんの他に木原さんと野島さんとあたしで4人でやってました。あまり話したことはなかったので、お話できてよかったです」
「あの二人は基本来るもの拒まずだからな。前々からお前と話したいって思っていたんじゃないか?」
「そうなんでしょうか? でも、とっても親しくしてくれて、嬉しかったです」
「バーベキューは始まったばかりなんだ。また女子の輪に入ってたくさんしゃべってこいよ。せっかくの機会だしさ」
「いいんですか?」
「いいに決まってるさ。そのためのこういう場なんだぜ? 理想はクラスメイト全員と話すことだな。別にできなくはないと思うぞ」
「そうですね、ちょっと頑張ってみます」
「おーい、絵玖ちゃーん。こっちで一緒に食べましょうよ~」
「お、早速お誘いが来たぞ。俺に構わず行ってこい」
「秀吾くんは?」
「俺はここでちびちび食べてるから。俺と話したくなったらこっちに戻ってくるといい」
「分かりました。じゃあ、行ってきます」
絵玖はジュースを片手に木原たちの方へと向かった。とは言っても10m離れたくらいのところだけど。