クラスメイトたちとの戯れ(6)
「留年の話は置いといて~。私、秀吾くんに一つ聞きたいことがあるんだ~」
聞きたいことと言われ、俺はさっき亮と話していたことが頭に思い浮かんだ。先んじてこちらでそうなのか尋ねてみることにする。
「ひょっとして、絵玖とのことですか?」
「おお!? まだ何も言っていないのにどうしてそれを……まさか、秀吾くんはエスパー?」
どうやら当たったようだ。
「何で分かったの~?」
「ついさっき、亮にも同じようなことを聞かれたばかりだったから……切り出し方が一緒だからひょっとしたらと思ったので」
「なるほど~、さすがシルバーコレクター、推理力がありますね」
「先生、俺はその呼び名は全く気に入ってないのでできれば言わないでくれませんか?」
「私はすごくカッコいいと思うんだけどな~」
「どの辺がですか?」
「シルバーってところ。響きがすごく素敵じゃない?」
「ただ単に横文字が好きなだけじゃないんですか?」
「ぎく……でも、好きなものは好きなんだからいいじゃない」
慌てて取り繕っていた。
「普通に名前で呼んでくださいよ、頼みますから」
「しょうがないな~」
「追求したいのはそこじゃないんでしょう? 絵玖と俺のことで、何を聞きたいんですか?」
「ああ、そうだった。亮くんがしたであろう質問を私もさせてもらうんだけど~、秀吾く
んは、今現在絵玖ちゃんと付き合ってるんだよね?」
「ええ、そのような関係を結ばせてもらってます」
「ひゅ~、おめでとう~♪」
「ありがとうございます」
「何となく私、二人はそんな風になるんじゃないかって思ってたんだよね~」
「本当ですか?」
「うん。本当、本当。絵玖ちゃんには、秀吾くんと同じような感じの匂いを感じたからね」
「……感じって言葉を二回使いましたね、今」
「いいじゃーん、そこはさほど問題ではないでしょ~?」
教師たるもの、まともな日本語を話すことは重要なことではないんだろうか……まあ、成木先生だからそれもすっ飛ばしていいのか。