クラスメイトたちとの戯れ(2)
「――お、いたいた。おーい、絵玖」
「あ、えへへ……」
絵玖は俺の姿を見つけると、嬉しそうにこちらに走ってきた。
「おはようございます、秀吾くん」
「おはよう、絵玖。今日も元気そうだな?」
「はい、とっても元気ですよ。それより、楽しそうなイベントが企てられてたんですね」
「みたいだな。俺も昨日の夜聞いてな、まあせっかくだから出ようかとは思ったんだ。食材はほとんど亮とかクラスメイトが持ってくれるらしいから。多分売り物にならない野菜とかが沢山余ったんだろう」
「訳アリ商品ってものですか?」
「そうそう、そんな感じ。腐らせるのももったいないだろうからな。俺たちが美味しく食べればそれで解決するし、一石二鳥ってやつだ」
「そうですね。――クラスメイト全員が集結するんですか」
「一応その予定だな、後成木先生も来るみたいだ。クラスメイトというか一クラス丸ごと集合って感じだ。やっぱりみんな、やることがないから暇だったんだろう」
「でも、この団結力はすごいと思います。全員が揃うってなかなかないことだと思いますよ」
「その辺は人数が少ないから可能だったんだろう。……せっかくの機会だ、思いっきり楽しもうぞ」
「はい、今から楽しみで仕方ないです」
「多分、絵玖には野菜の下ごしらえを頼むかもしれないから、その心づもりをしておいてくれ。着いたら佑香あたりが指示を出すと思うから」
「秀吾くんは?」
「俺は、亮たちが釣り上げた魚の下ごしらえだな。セットして焼けば大丈夫な状態にしておく仕事がある」
「なるほど、みんなそれぞれ分担されてるんですね」
「そういうことになるな。お前の力を存分に発揮してくれ」
「はい、頑張ります」
「うむ。それじゃあ向かおうか、会場のほうへ」
…………。
「――どうやら、全員揃ってるみたいだな」
1、2、3、4……うん、俺たちを含めれば全員いる。日数にして10日ぶりくらいにクラスメイト全員が集結したことになるな。当たり前だが、誰一人変わった奴はいないようだ。
「お、来たわね絵玖ちゃん」
「こんにちは、佑香さん」
「こんにちは、急に誘ったのに来てくれてありがとうね」
「いえ、むしろ誘ってもらえて嬉しかったです」
「今日は、存分に楽しんでいって。……秀吾から話しは聞いたかしら?」
「はい。野菜の下ごしらえを手伝えばいいんですよね? 任せてください、腕を振るう準備はできてます」
「お、それは期待できるわね。じゃあ、向こうにそのスペースがあるから一緒にやりましょう。……秀吾、しばらく絵玖ちゃんを借りるわね」
「おう、粗相のないようにな」
「分かってるわよ。じゃあ絵玖ちゃん、こっちに」
「はぁい。……また後で」
「ああ」
――さて、俺は亮のほうに戻るか。
…………。