神社掃除体験!(7)
「――ふう、ただいま」
「秀吾、お茶のお替わりはいる?」
「お、いいのか? いいのであれば是非いただきたいところだ」
「分かったわ」
「……何か、二人とも笑顔だな」
「ちょっと女子トークで盛り上がってました」
「おお、噂の女子トークか。田舎者の佑香にそれができたのか?」
「田舎だろうが何だろうが女の子同士がしゃべればそれは女子トークでしょうが。馬鹿にしないでほしいんだけど」
「はっは、ジョークじゃないか。シベリアンジョーク」
「……それは寒いジョークってことでいいんですか?」
「今夏で熱いからな。涼しくなるんじゃないかと思ってシベリアンと言ってみた」
「そんなんで涼しくなるのなら苦労はしないって……」
「うむ、失敗か……」
「はぁ~、全く……」
「ふふ」
二人はアイコンタクトを盛んに交わしていた。俺がいない間に俺のことでも話していた
んだろうか?
……………………。
――休憩を挟み、再び水拭きを再開した俺たち。宣言通り、予想よりも早く終了したので今度は庭の掃き掃除を担当することになった。
内容は至ってシンプル。地面に落ちている葉っぱやら何やらを集めて捨てるだけ。ただ、敷地が広いからこれまた普通の家でやるよりは骨が入る。
でもまあ、死ぬほど大変ってわけではないし、二人でやってるからこれもそこまで時間をかけずに終わすことができるであろう。
「……………………」
「……………………」
竹箒を使ってせっせとゴミを集めていく。これが秋であれば、この落ち葉で焼き芋とかも可能なんだろうが、今は夏だからよく燃える落ち葉が少ない。次の季節の楽しみにしておいたほうがいいな。
「焼き芋……」
どうやら絵玖も同じようなことを考えていたようだ。
「庭で掃除してると、やっぱり想像するよな?」
「え? あたし、今何かしゃべってました?」
「思いっきり零れてたぞ? 焼き芋って」
「ホントですか? ――でも、落ち葉を集めてるとどうしても考えてしまいませんか? それを使って焼き芋とかって」
「気持ちはすごい分かるぞ。最早それワンセットで庭掃除と言っても過言ではないだろうからな」
「ですよね。でも、この青々とした葉っぱでは美味しい焼き芋は焼けませんね」
「だな、もっとカピカピの奴じゃないと……何よりこの日中の半端なく暑い時間帯に焚火はキツ過ぎるな。プラス焼き芋で口の水分が持っていかれる……」
「夏にやるのは自殺行為ですね……」
「逆療法ってあるくらいだから、ひょっとしたらいいのかもしれんけどな。でも、日中ではなく夜のほうがいいだろう」
「そうですね」
「焼き芋は、どうやって食べるのが好きだ?」
「そうですね~、基本はそのままの状態で食べるのが好きですけど、アクセント付けるならバターを塗って食べます」
「なるほど、バターか。まろやかになるんだな?」
「はい、とっても癖になる味です。秀吾くんはプレーン派ですか?」
「いや、どっちでも食べるぞ? ただ焼き芋をすること自体あんまりないからな。今は炊飯器っていう便利なものがあるからな」
「ああ、炊飯器で作れるんですもんね? 確か」