神社掃除体験!(2)
「……聞いてたか?」
「はい、掃除のお手伝いのオファーが来たんですね」
「うむ、やはりあの家の掃除は人手が少ないと辛いんだろうよ。大変なんだな~」
「じゃあ、食べ終わったらすぐに行くんですね」
「そうだな。早く行って手伝ってあげたほうが、向こうも嬉しいだろうし」
「そうですか。……じゃあ、今日はあたしは帰ったほうがいいですね」
「……ん? 何を言ってるんだ? お前も来るんだよ、須貝絵玖くん」
「え? そうなんですか?」
「そうに決まってる。それ以外の選択肢はお前にはないぞ」
「で、でも今の電話の中であたしが行くってことには一切触れてませんでしたよ?」
「もちろん、わざと触れてないからな。俺だけが行くと見せかけて絵玖を呼んできたと言えば、サプライズにもなり、人手も増えて、あいつは喜ぶであろうと予想した。そして、俺に感謝の意を示し、報酬がより良いものになる……そう考えたわけだ」
「……あの短時間でそんな策謀を巡らせていたんですか?」
「まあな、策謀家だからな、俺」
「初めて知りました……」
「まあ、会話に出てないからって来る権利はないはずはないんだから、気にしなくて大丈夫だろ。絵玖だったら佑香も大歓迎だと思うぞ。だから、一緒に行こうぜ」
「――そうですね、連れて行ってください」
「ああ、断っても引きずって連れて行くつもりだったからそう言ってくれてよかった」
「あはは」
「じゃあ、朝ご飯食べたら向かうとしよう。……ご飯、お替わりくれ」
「はい、大盛りですね」
「うん、よろしく」
……………………。
――ピーンポーン。インターホン押すと、すぐに玄関が開けられた。
「はい、いらっしゃい~。……あれ? 絵玖ちゃん? 何でここに?」
「秀吾くんに手伝ってほしいって依頼を受けたので、こうして一緒に参りました」
「ホント!? やるじゃない秀吾、応援を呼んでくれたのね」
「俺は気の回る男だからな、これくらい当然だ」
「助かるわ~。絵玖ちゃんありがとう、人手が欲しいって思ってたところなのよ」
「はい、できる限りの力をお貸ししますよ」
「とりあえず、中に入ってちょうだい。詳しい仕事を教えるから」
「……佑香、今日は私服なのか?」
「ええ、そうよ。……秀吾の大好きな巫女服は、今日は着る予定はありません」
「何故そんなことを申されるのだろうか?」
「……普通に考えれば分かるでしょうが。掃除するのに巫女服なんて、普通着ないでしょう? 動き辛くてしょうがないわ」
「……………………ちっ、手伝わなきゃよかったかな」
「おい、五十沢秀吾」
「冗談に決まってるだろ、俺がそんな烏滸がましい行為をするわけがあるまい。する勇気もないわ」
「じゃあ今の舌打ちは何なのよ」
「ギャグだ、ギャグ。……若干悲しい気持ちはあるが、しょうがないことだ」
「やっぱり悲しいんじゃないの」
「そりゃそうだ。俺の巫女服好きは半端じゃないからな」
「最初から半端だとは思ってないけどね……」
「あはは……」
……………………。