神社掃除体験!(1)
8月6日
……………………。
「ん? 電話だ」
「ふぁい?」
今日も今日とて絵玖の朝ご飯を食べていると、俺の携帯電話が震えた。絵玖はちょうど目玉焼きを食べていたので、もごもごして上手くしゃべれなかった。
「ごくん……誰からでしょうかね?」
「……お、佑香からだ」
「佑香さんからですか? 何かあったんですかね?」
「とりあえず出てみるか」
ピッ。
「はい、もしもし」
「あ、秀吾。寝てて出ないかと思ったけど出たわね。……もう起きたの?」
「起きてるから電話に出てるんだろ? 今朝食タイムを過ごしてたとこよ」
「珍しいこともあるのね~。明日は雪かしら」
「失敬だな、お前は」
「こんな私がいいんでしょ? 秀吾は」
「……まあ、巫女服着てるからな」
「強引につなげたわね。ホントに私ってそれだけの存在なの? あんたにとって」
「いや、そんなことはないよ。お前は純然たる幼なじみだよ」
「……純然の使い方間違ってる気がするけど、まあいいわ。それより、本題に入るわね。世間話をするためにかけたわけじゃないから」
「お、何かあったのか?」
「あったっていうか、ちょっと手伝ってほしいことがあってさ。秀吾に手伝ってもらえないかなって思ったのよ」
「手伝い……詳しく聞こうか?」
「大したことじゃないわ。家の神社の掃除を手伝ってほしいの。そろそろ家の神社が忙しくなる時期だから、汚いままで来賓者をお迎えするわけにはいかないでしょ。ただ、私たち家族だけじゃあの広い敷地を掃除するのはキツいから……ミャンマーは自分の家の野菜の収穫で忙しいだろうし、そうなると秀吾が一番手伝ってくれるんじゃないかと思って」
「俺の家は、良くも悪くも平凡な家庭だからな」
「それに、数年前も何だかんだ掃除手伝ってくれたことあったでしょ? 適任だって思ったわけよ。……どうかしら? 手伝ってもらえないかしら?」
「ああ、構わないぞ。特に何も用事ないから。俺なんかでいいなら手伝ってやろう」
「ホント? 助かるわ。何か気の利いたものを用意させてもらうから」
「任せろ、こっちも予定なかったからちょうどよかったよ」
「サンキュ。……じゃあ、何時くらいから来てもらえるかしら? 急な依頼だから、午後からでも構わないけど」
「いや、朝飯食ったらそっちに向かうよ。特に済ませておくこともないから。夏休みの課題ももう終わってるし」
「あら、早いわね~。いや、いつも早いと思ってたけど今年は特に早いわね」
「ふっふ、面倒なものはさっさと片づけるのが俺のスタンスだからな。それに今年は学校最後の夏休み、思い出をたくさん作るにはこれくらいせんとな」
「秀吾らしいわね、私はまだ半分くらいしか終わってないわ」
「仕方ないだろ、お前の家は今から忙しくなるんだから。むしろそんな忙しいのに半分終わってるってのは逆に恐ろしいわ」
「まあね~、私、しっかり者だから」
「あーあー、自分で言ってやがるよコイツ」
「実際そうなんだからいいでしょう?」
「まあ、そうなんだけどよ……」
「ふふ、まあ話は後でゆっくりしましょ。じゃあ、家で待ってるからね」
「ああ、また後でな」
ピッ。