これが俗に言うバカップル(9)
「じゃあ、また明日な」
「はい、同じくらいに伺いますね」
「できることなら、明日に課題を終わらせてしまおうじゃないか。華々しい来週を迎えるためにも」
「そうですね。じゃあその心づもりで明日は秀吾くんの家に行きます」
「ああ、来い。そしてまた、手料理をご馳走してくれ」
「はい♪ 美味しいレシピを用意していきます」
「じゃあ――チューして今日はお別れだな」
「はい、お休みなさい。――ちゅ」
唇を一瞬だけ触れ合わせるソフトなキス。
「えへへ、じゃあね、バイバイ」
絵玖は大きく手を振って家へと帰っていった。
――心も体も、絵玖と一つになることができた。今、胸がすごくいっぱいです。
幸せすぎて不安ってのが、今ならよく分かる気がする。だとしたら、その不安が拭い去れるくらい目一杯幸せな日々を過ごそうじゃないか。まだ夏休みは始まったばかりだ。
この生活を一日一日振り返れるくらい、自分の心にしっかり焼き付けるとしよう。そのためにもまず、夏休みの課題をクリアしよう。勝負は明日だ。
「お休み、絵玖」
家に入った絵玖に向かって、俺はそうつぶやき、家路へと向かった。その時、足は何故か自然と早足となっていたのだった。
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