ほんとのほんと(3)
「美味しいな~、秀吾くんのカレー」
「煮びたしも絶品だぞ。……お替わりしていいか?」
「もちろんどうぞ。……じゃああたしも、カレーお替わりしようかな」
「お、珍しいな、絵玖がお替わりするなんて」
「えへへ、美味しいからもっと食べたいって体が言ってるので」
「……愛い奴め」
「えへへ、褒めてもらっちゃいました♪」
――そんな感じで、楽しい朝食の時間を過ごした俺たち。
それが終わった後は――。
「今日は、夏休みの宿題を一緒にやってほしいと思って……勉強道具を持ってきました」
「おお、悪くない提案だ。……順調に進んでるのか?」
「まあ、それなりには。ちょっと考えれば解けそうな部分は自力でやってるんですが、それができないと思われる問題は……今日教えてもらおうと思ってすっ飛ばしてました」
ペロっと舌を出しながらそんなことを言う。
「完成度は40%と言ったところでしょうか」
「なかなかのハイペースじゃないか」
「秀吾くんの言っていたことを守ろうと思ってるので……秀吾くんはどんな感じですか?」
「俺は――絵玖よりやや遅れ気味って感じか。30%ってところだな」
「でも、あたしみたいに飛ばさずに進んできてるんですよね? それを考えたら同じくらいのペースかもしれませんよ」
「ああ、確かに。――まあ何にしても、二人とも、今のところは順調なペースでこなしてると言っていいだろう」
「ですね。……今日で半分くらいまで終わらせられないかなーとか思ってるんですが」
「頑張れば可能じゃないか。一人でやるよりも二人でやったほうが作業進度は上がるだろうし。今日の目標に掲げようではないか」
「じゃあ――作業進度50%達成を目指しましょう」
「了解した。……じゃあ、まずは絵玖のすっ飛ばした部分の解説からしていこうか。軽く頭の体操をするような感じで……」
「はい、よろしくお願いします」
……………………。
――お互い黙々と宿題に取り組んでいく。流れとしては、一時間置きくらいに小休止を挟み、やっていた時に分からないところがあったらそれを絵玖が提示、小休止が終わったところでそれを俺が解説する……というような感じだ。
絵玖はやはり呑み込みが早いようで、俺が解説をすると、次からはそれ系統の問題でミスをするということがほとんどない。
絵玖は理解できて嬉しい、俺は自分の説明で理解してもらえて嬉しい……何という一石二鳥っぷりだ。この分なら、思ったよりも早く目標クリアを達成できそうだ。
「――秀吾くんは、最初からこれくらい頭が良かったんですか?」
手は動かしたまま、絵玖がそんな質問をしてくる。