夏休みスタート! まずは農家のお手伝い(7)
「それじゃあ――」
「いただきます。あむ……」
二人一斉にトマトに齧り付く。絵玖の反応は――。
「お、美味しい! すっごく甘いですね~」
予想通りのものだった。
「お砂糖かけて食べてるような感じがするくらい甘くて、ジューシーで、美味しいです」
「はは、そんなに褒めてくれてありがとう」
「うむ。……これを食うと、もぐ……市販のトマトでは……物足りなくなってしまうから……困る所だな……もぐ……」
「おいおい秀吾、口にスペースがなくなってるぞ」
「つい……咀嚼するのも……待ってられなくなってしまうんだよ……あまりの美味しさに……自分でも……入れ過ぎたと思ってる……もぐ……」
「これじゃあ、物足りなくなっても仕方がないですね。あたしも、こんな美味しいトマト初めて食べました」
「何度もありがとよ。普通に食っても美味しいけど、サラダとかにしてもすげぇ美味いから、よかったら試してみてくれ」
「はい。今日の夕食に作ってもらいます」
「うん、美味いな……もぐ、もぐ……」
「早いな、もうなくなってるじゃないか秀吾」
「このトマトが、美味すぎるのが原因だな……もぐ」
「あむ……美味しい……」
俺たちは夢中になってトマトを頬張った。
…………。
「――ごちそうさまでした」
「おかげで、さらにやる気がアップしたぞ」
「それは助かる。結構重労働になると思うが、よろしく頼むぜ」
「おう、任せろ」
「頑張ります」
「作業は至って簡単だ。ハサミを使って実がなってる茎の先っちょのところを切って籠に入れるだけだ。とりあえず、一人一列ずつやってってもらえるか?」
「了解した」
「向こうまでは、何メートルくらいあるんですか?」
「そうだな。……大体80mってところか。ずっと腰が曲がってる体勢になると思うから、時々背筋を伸ばしたりして痛めないように注意してくれ。疲れたら、いつでも休んでくれていいから」
「分かりました」
「じゃあ、早速やっていこうぜ」
――収穫ミッション、スタート。
…………。