夏休みスタート! まずは農家のお手伝い(5)
お腹もいっぱいになったところで、農作業するための服装にフォームチェンジする。俺は既に着替え終えていて、絵玖を待っている状態だ。
ちなみに絵玖は両親の寝室で着替えている。さすがに同じ部屋で着替えるわけにはいかないからな。……残念だけど。
……数分後。
「秀吾くん、着替え終わりました」
「ああ、じゃあちょっと見せてみな」
「はい、入りますね」
絵玖が俺の部屋に入ってくる。
「ど、どうでしょう?」
「おお、思ったよりもでかくないみたいだな。ちょっとズボンは大きいようだが」
「はい、ちょっとゆったり着てると思えば全然平気です」
「ならよかった。……セクハラと思われてしまうような至極真面目な質問をするが、胸とかキツくはないか? その部分だけ窮屈で苦しいとか」
「はい、大丈夫ですよ。ちょうどいい感じです」
「それならいい。……じゃあ、後は首にタオルを巻いて、最後に麦わら帽子をかぶって完成だな」
「帽子はかぶらないといけないものなんですか?」
「日光を直に浴びて農作業すると、熱中症にかかりやすくなってしまうからな。ちょっと邪魔かと思うが、かぶっていたほうがいいだろう」
「分かりました」
「じゃあこれかぶってみろ。サイズが合うかチェックするから」
「はい。……ほっと」
「…………ふっふっふ」
「な、何で笑うんですか?」
「いや、絵玖は何を着てもそれなりに似合うんだなって思ったからさ。それに普段の絵玖には似ても似つかないような格好だから。……ちょっとおかしくなってしまった」
「笑っちゃう程ですか?」
「今の格好だけなら、確実にアイドルとは思えない。完璧田舎出身の純朴少女だ」
「う、嬉しいようなそうでもないような……」
「まあ似合ってることは確かだよ。心配すんな」
「そ、そうですか?」
「サイズはどうだ? ぶかぶかじゃないか?」
「うーん……はい、大丈夫そうです」
「それじゃあ、準備完了だな。では、亮の家に向かうとしよう。……亮の家に行くのは初めてなんだよな?」
「はい、初めてです」
「佑香の家に行った時にも驚いただろうが、亮の家も亮の家で、結構びっくりすると思うぞ。家というか、畑のほうだけど」
「そんなに広いんですか?」
「結構な。……到着を心待ちにしているといい」
「はい、楽しみにしてます」
俺たちは農夫婦のような身だしなみで亮の家へと向かった。
……………………。
「よし、ここだ。ここが亮の家だ」
「ここですか? やっぱりこの辺のお家はみんな大きいんですね。秀吾くんの家もそうですけど……」
「田舎だから、立地条件がそこまで良くないから多少大きくても安く手に入れることができるんだよ」
「ああ、なるほど~」
「じゃあ、今度は亮の家の畑だな。こっちのほうにあるから、着いてきて」
「あ、はい」
…………。