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ついに決着! 期末テスト結果発表!(6)

「――改めて、面白い奴らだろ?」

「はい、三人の息がすごくピッタリで、ずっと見ていても飽きないです」


「それ、クラスメイトにも言われたことがあるな。お前らは漫才師とかになったら良いところまでいくんじゃないかって」

「確かに、なくはないかもしれませんね」


「うん、正直俺たちもそこそこ笑いは取れるんじゃないかと密かに思っている。……もちろん目指さないけどな。お笑い程不安定な職業はないと言っていいはずだから」

「……あたしは、あまり人のことを言えませんね」


「絵玖は言う許可があるだろ。だって、実際有名になったわけだから」

「でも、初戦は一発屋でしたから」


「一発でもヒットはヒットだ。一度でもネームが知られれば、それだけでアイドルとしての役割は果たしてるはずだ」

「……と言ってくれる秀吾くんですけど、あたしのこと知りませんでしたよね?」


「うん。俺、あんまりテレビ見ないから」

「今となっては、一番知っていてほしかった人物なのにな~」


「申し訳ない。……言い訳をすると、ここ地方だからそっちの番組があまり映らないんだよ」

「あたし、これでも全国ネットに出たこともあるんですよ?」


「……もう言い逃れはできないな。許してくれ」

「ふふ、冗談です。前にも言ったかもしれないけど、知ってない方が嬉しいですから」


「そういえば、それは何でなんだ?」

「だって、知らなかったら、アイドルとしてのあたしじゃなく、一人の女の子としてあたしを見てもらえるでしょう? だからです」


「……何となく、分かる気がするよ」

 それが絵玖の、細やかな望みでもあるんだもんな。


 …………。


「じゃあ、今日もお疲れ様でした」

「おう。……今日は、気持ち悪くならなかったか?」


「え? あ、はい。おかげさまで何ともありませんでしたよ。……昨日はびっくりさせちゃってごめんなさいでした」

「いいんだ。絵玖が笑顔でいてくれることが、一番嬉しいからさ」


「……正面からそんなこと言われると、照れちゃいますよ」

「うむ、俺もちょっとガラでもないことを言ってしまったと思う」


「あはは。でも、嬉しいです、そう言ってもらえて。……また明日会いましょう」

「ああ、じゃあな」


「バイバイ」


 ――ふう、どうやら違和感を持たれることなく、いつも通りに接することができたようだな。本当は演じてる、みたいな意識をしたくはないんだが、どうしても考えたくないことを考えてしまうのが人間だ。


 でも、絵玖といつも通りの楽しい日々を送りたいという想いは嘘じゃないから、だからこそできたことだとも思う。


 明日が終われば夏休みだ。今までよりも、自由な時間が増えるだろう。その間に、たくさん絵玖のことを楽しませてあげれればと思う。


まだしたことのない遊び、体験……俺の知り得る限りのことを一緒にしよう。そうすれば、絵玖は喜ぶし、俺も嬉しい。そう考えると、これからの日々はとても魅力的じゃないか。


「そういうプランを立てるのもいいかもしれないな」


 早速、家に帰ったら少し考えてみよう。善は急げだ。


 ――俺の足は自然と早足になっていたのだった。


 ……………………。

 …………。

 ……。


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