奇襲
謎の集団は少しずつ魔皇城との距離を縮めていた。
「こちらファイ。現在C地点にて魔皇城周辺の警備状況の確認中。人数を把握次第また連絡する。」
「了解。警戒を厳に。」
謎の集団が近づきつつある魔皇城では宴が続いており、城内にいる者たちはみな既にできあがっていた。
無論、警備兵たちも例外ではなく頬をを真っ赤に染め気分良く酔っていた。
「こんな時に敵が襲ってきたらまともに警備なんてできねーな。」
「だな。まぁ、この程度の酔いで敵にやられる俺様じゃないけどな。ハッハッハ。」
各持ち場にいる警備兵たちも、まともに仕事ができる状態ではなかった。
それに、こんな時に敵などやって来る筈が無いという考えが更に警備に対する意識を低下させていた。
その頃、現魔皇ゼノンと妻アイラは我が息子ヤマトのことについて話をしていた。
「まさかこれほどまでに強大な力を持って生まれてくるとは、さすが我が息子。将来はこの私をも超える大魔皇になるだろう。」
「本当になんて禍々しい力なのかしら。どんな魔皇になるのか今から楽しみだわ。」
二人ともヤマトに物凄く期待を寄せていた。ヤマトが魔皇になればこの国は益々繁栄すると考えていたからである。
しかし、そんなヤマトに近づきつつある謎の集団に誰一人として気づいていなかった。
「こちらファイ。魔皇城周辺の警備兵の人数を伝える。数は全部で30人。15ヶ所の持ち場に2人ずつで警備している模様。しかも、全員酒に酔っているらしく奇襲を掛けるなら今がチャンスだぜ。」
「了解。現時刻を持って予定通り作戦を開始する。各々準備ができ次第行動を開始せよ。では各人の健闘を祈る。」
「よっしゃ。それじゃあ一丁やりますか。行くぜセラ。」
「これで長かった争いの歴史に終止符を打てることを願いたいものだなバルハート。」
「終わりにしてやるさ今日で。でなけりゃ殺されていったあいつらが浮かばれねぇよ。」
セラとバルハート組と時を同じくして、各地点で待機していたメンバーたちも魔皇城侵攻を開始した。
「な、何者だ貴様ら!!くそっ。敵襲だー!!」
「へっ、反応が遅いぜ敵さん方。こっちは楽勝だなロゼ。」
「油断するなよシズク。中心部はこんなものではないはずだ。」
「分かってるつーの。相変わらず慎重だな。」