表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生きる  作者: 維月十夜
2/7

出逢い

軍部に属することになったセツナは、ある日、ライゾという青年に出逢う。

初めてできた友に、彼女の心は弾んでいた。

そうして、季節は廻りゆき。

「セツナ殿……でありますか。主上から、国命を預かって参りました」

寒空の元、寒風が吹き荒ぶ頃に、セツナは兵士として召集を承けた。

棠国の公主が、帰還したらしいのだ。


軍部に属することとなり、暮らしは他の兵卒と同じ、定められた兵舎での暮らし。

女ばかりで暮らしていたセツナにとって、あまり暮らしよいとは言えない環境だった。

なにせ、まわりには当然の如くに男しかいないのである。

初めのうちは、部屋の片隅で獣のように丸くなって休むことが多かった。


刺さる視線。


刺さる陰口。


(男共……視線がウザイぞ。女が、そんなに珍しいか)

女だからと、いらない諍いを幾つも買った。

だがその度に、セツナは勝利し、男達を屈服させていた。

朱髪のセツナ‐‐―‐‐それは、その時に付けられた異名のような物だったが、いつの間にかに定着してしまっていた。


 そんなある日のこと……。

セツナは、ある男と出会った。

「おい、お前か……朱髪のセツナとやらは」

厳しい訓練の後、やっとの事で得た安息を破った男を、彼女は思いきり恨めしげに睨みつける。

「なんだ……あんたは。用がないなら去れ、今のあたしは機嫌が悪いんでねっ」

寝転がったまま、セツナは男を突っぱねる。

「噂通りだな、ホントに女だ。女の身で…なぜこんなむさ苦しい処に来た?」

藪から棒に、もっと悪く言えば無遠慮に尋ねてきたこの男を、始めセツナは『絶対、後でシメてやる』と内心でひどくなじっていた。

「あんた…無遠慮すぎ。それに、こっちはあんたの名前を知らない」

「お。そうか? 名乗ってなかったか。俺はライゾ、あんた…女らしくないな」

「一言余計だぞ……」(怒)

悪びれず笑う青年・ライゾ。

「まあ、その後で言うのもなんだが…同じ戦友同士、よろしく?」


彼が、セツナの人生を変える者であることを、彼女自身、ライゾさえも知る由のないことだった。

「……ああ」

それから徐々に、二人は溝を埋めていくことになる。

互いに技を競い合ったり、思いやり合う姿は、良くも悪くも周囲の目を惹いた。


どうも、維月です。

新シリーズ『生きる』のお届けです。

セツナの性格……描いていて面白かったですね。

初登場のライゾ、まだ顔見せ程度ですが、よろしくです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ