界旧星668
「なあ、昨日のニュース見たか?」
「ああ。」
高校生の卓也は、携帯で同級生の昭雄に電話をかけた。
昨日の夜、2人はある事件を起こした。
近所の田んぼの稲を引っこ抜いて、ミステリーサークルを作ったのだ。
イタズラのつもりだった。しかし、それはイタズラで終わらなかった。
2人の周囲の抜かれていない稲達が黄金に輝きだすと、遠い山の向こうに、天に向って浮き進む球状の青く輝く物体が現れたのだ。それはまるで、1つの星のようだった。
唖然とする少年達を尻目に、その星らしきものは月に向けてぐんぐんと昇って行く。
時折、閃光を発すると、その度に他の星達はその光を失った。
そして、いつしかその星は暗天に消えて、その存在を隠したのだった。
「あのミステリーサークルが本当に機能しちまったんだもんな。これから、何かとんでもない事が起こるかもしれないぜ?」
「そうかもな、宇宙人でもやってくるかもしれないよ。」
「ありえる……たぶ……」
「おい、どうした?」
急に、携帯の電波が無くなった。
電波受信の表示も、ゼロになっている。
それなのに、携帯から、急に何者かの声がしてきた。
「月への回帰に成功した。感謝する。我らは、界旧星668……」