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ぼくらの天使  作者: 半導体
三章
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49話 開演

 リメールが同じ宿にやって来てから数日が過ぎた。

 リダとリオナは本の解読作業のために外出する頻度が減り、ガルドも独りでギルドの依頼と情報収集に専念するようになったため、違和感を覚える場面が目に見えて少なくなっている。

 もちろん根本的な解決にはなっていないものの、今の彼らにとってはそれが最善手であった。フリギスからの連絡もなく、植物族らしき人物とも接触を図れない現状では、無策のまま動き回っても事態は好転しない。誰もがそれを理解していたため、各々の本来の作業に集中することにしたのだ。


「う、ん……」

 ペンを走らせていた手を休め、リメールが大きく伸びをした。それを合図として、資料の整理をしていたリダとリオナも作業の手を止める。

「少し休憩しましょうか」

「そうですね」

 休憩という単語にリダも破顔して頷く。時刻は正午を回っており、三人とも程よく空腹を覚え始めた頃合いだ。

 ギルドのスタッフに頼めば簡単な食事も用意してもらうことはできる。だがリメールは自分で作らなければ落ち着かないらしく、ガルドたちと合流してからは調理場を借りて自炊している状態だ。

「すぐ作りますから、ちょっと待っててくださいね」

「私も手伝うわ」

「僕も!」

 黙って待っているつもりのない二人も立ち上がり、リメールとともに調理場へ向かう支度を始める。こうして三人で食事を用意するのもすっかり恒例のこととなっていた。

「……あ」

 茶葉の缶を覗き見たリメールが声を上げる。

「もうあとちょっとしかありませんね……」

 どうやら茶葉のストックが少なくなってきたらしい。缶を振って残量を確認しているが、音を聞く限りではもう一食分がせいぜいといったところだろう。

「うーん、私の家に戻ればたくさんあるんですよね」

「じゃあ取りに戻るの?」

「んー、そうですね。でもリダさんがおなかペコペコみたいなんで、先にお昼にしましょう。お茶が用意できないのは残念ですけど」

「それでいいですよ。僕は早くご飯が食べたいです」

 食欲に正直なリダがリメールの決定を後押しする。彼にとって空腹は、先延ばしにすることのできない重要な問題なのだろう。

「そうと決まればパパッと食べちゃいましょ。そういうのは早い方がいいと思うし」

 ここまでの旅路でそれを理解しているリオナも反対はせず、早く調理場へ向かおうとドアを開いて促す。ガルドからは「あんまりリダを空腹にすると色々面倒になるぞ」と聞いており、彼にそこまで言わせるほどの事態を避けたかったというのもある。

「じゃあ、行きましょうか。ちなみにメニューは何がいいですか?」

「今日は雑炊の気分ですね。海産物の味付けだったら最高です」

 リダの一存で献立が決定するのもいつものことだ。自分に訊かれたら「何でもいい」としか返せないリオナに文句を言うつもりはないのだが。

「分かりました。ストックがあるかギルドの方に確認してみますね」

 具体的なメニューを注文されて何を感じたのか、リメールは嬉しそうに微笑んで見せた。




 情報というものは、バラバラに散らばっていることが多い。ひとつひとつは価値の見いだせない破片にしかならず、繋ぎ合わせていくことで初めて有益な情報を形作っていくのだ。

 無論、ひと塊で必要な情報が手に入ることもあるが――少なくともガルドは今回、そうした簡単な情報を拾うことはできなかった。

「ま、こういう手間を惜しんじゃいけねーよな」

 情報をまとめたメモを眺め、ガルドは達成感を込めて小さく息を吐く。何度も似たような経験をしているガルドにとっては、数日という時間がかかったこともそれほど苦痛ではなかった。

 情報収集に奔走した結果、『奇妙な女性が滞在していた』『何人かの不気味な集団が北へ向かっていった』『街を去った集団の何人かが今も街にいるようだ』『見慣れない男性と女性が談笑しながら街中を歩いていた』などの話が聞けた。

 これらを統合するに、どうやら少し前までこの街にエディカらしき女性がいたことは間違いないようだ。それが本当にエディカ本人なのかは確かめようもないが、その女性の特徴はこれまで集めたエディカの特徴とも一致する。少なくとも、今後の進路を決めるには十分な根拠だ。

「不気味な集団ってのが気になるが……今悩んでも仕方ないか」

 マルトーリより北に存在する集落は少ない。具体的な地名は分からなくとも、エディカに大きく近づいたのは間違いないだろう。

 行き先のメドが立ったので、荷物さえまとめれば明日にも出発は可能だ。しかし、実際に翌日に出発はできないだろうというのがガルドのつけた見当だ。

 ――リメールには世話になったからなあ。そう簡単に出発はできんわな。

 マルトーリに到着してから色々と力を貸してくれた女性。その恩返しと言えるほどのことでもないが、現在はリダとリオナが彼女の調査に協力している。こちらの都合でそれを無理やり断ち切るというのはあまりに手前勝手ではないだろうか。

 ありのままを話せば彼女もこちらを引き留めはしないだろう。なので、出発の予定はしばらく伏せておかなければならない。彼女の調査に一区切りがつくまでは待つべきだろう。

「その義理は通さないとな」

 ガルドは苦笑を浮かべると、メモをポケットにねじ込んで歩き出した。

 時刻は昼食時。リダ不在で食事に赴くのも、ガルドには久々のことだった。






 決して隠された場所ではないが、誰もが見つけることのできない街のとある一角、小さな部屋。

 全身に真っ黒なマントを羽織った三つの影が、丸テーブルを囲む形で佇んでいた。

 分厚いカーテンで窓という窓を塞いでいるため、昼だというのに室内は暗闇に閉ざされている。テーブルに置かれた一本の蝋燭が唯一の照明として影たちの輪郭を浮かび上がらせていた。

「……いくら確認したって、何か変わってる訳じゃないけども」

「いやいや、そうでもないぜ? そうやって見直す度に、自分の中じゃ新しいプランだの観点だの決意だのが生まれちゃ消えていくのさ。それがプラスになるかマイナスになるかはお前次第だけどな。ハハッ」

「確認は大事……」

 各々の言葉を呟き、三人は中心のテーブルに視線を落とす。

 テーブルの上に広げられているのはマルトーリの地図。それも『門』より北側の地域だけに絞られた特異的な地図だ。

 さらにその地図には特異な点がもう一つあり――

 地図上には、彼らが書き加えたいくつもの『印』が並んでいた。

 まず淡い青色で、街中の道を太い線が走っている。街全体を覆うほどの範囲ではなく、ごく一部分の区画を囲いこむ歪な多角形だ。

 加えて、赤色のペンでいくつかの建物に小さなマルが描かれている。これは街全体にまんべんなくまき散らされており、それでいて『とある場所』の近くには一つも描かれていない。

 そしてその『とある場所』、街中のとある一角には――まるでその場所を塗りつぶすように、真っ黒なバツが書き殴られていた。

 たった一つの目印。そして、彼らにとっての目的地。

「もうすぐだね……気を抜かないようにしよう」

 一人がそう呟くのに合わせ、残りの二人も静かに頷いた。






 リメールの作った昼食を終えて、しばらく経った頃。


「あれ? その荷物も持っていくんですか?」

 茶葉を取りに戻るだけのはずのリメールが大荷物を持っていることに気付き、リダが疑問符を浮かべた。

「ええ、ついでに資料とか解読のメモとかも整理してこようと思いまして。むこうに置いてきたものもありますし、終わった解読のメモが溜まると整頓つかなくなっちゃうでしょう?」

 リメールの持ったバッグには来た時以上のものが詰め込まれている。あの本や使用済みの資料はもちろん、解読を終えたメモの束が可能な限り押し込んであるようだ。

「……重くないんですか?」

「あ、それは大丈夫ですよ」

 大量の紙を持ち上げているわけであり、総重量はかなりのものとなるはずだ。それを細身のリメールが持ち上げるというのだから、どう言われても心配は拭いきれない。

「僕たちも一緒に行ったほうがいいんじゃないですか?」

「いえいえ、お二人に家までご足労願うのは申し訳ないですし」

 リダが協力を申し出たが、あっさりと却下されてしまった。

「それに、お二人があまり外出しなくていいように私がここにお邪魔してるわけですからね。こういう時ほど、あまり出歩かない方がいいんじゃないでしょうか」

「……まあ、確かにそうね」

 彼女の言い分ももっともであるので、二人もそれ以上食い下がることを諦める。その直後、パンパンに膨れたバッグをリメールが軽々と持ち上げてしまったため、いよいよ同行する意義がなくなってしまった。

「それじゃあ、ちょっと時間がかかると思いますので。たぶん解読の続きはできないでしょうし、お二人はゆっくり休んでいてください」

「ん、いってらっしゃい」

「気を付けてくださいね」

 笑顔で手を振りながらドアの向こうに消えるリメール。最後まで明るい笑顔を絶やさなかった彼女がいなくなった途端、部屋の中が急に静まり返ったように感じられた。

 彼女の存在感の大きさを改めて感じつつ、リオナは自分たちの現状を顧みてムゥと小さく唸った。

「こうなるとけっこう退屈ね……何して時間つぶそうかしら」

「そうですねえ。こんなことなら、ガルドに本でも買ってきてもらえばよかったですね」

 建物から出るわけにはいかず、解読作業関連のものはリメールがほとんど持って行ってしまった。旅の途中であるリオナたちは余計な荷物など持ち歩いておらず、必要最低限の生活用具以外にはリオナの日記帳くらいしかない。

「また調理場を覗きにに行きましょうか……」

「つまみ食いしそうだからダメよ。あんまりウロウロしてるとギルドの人にも迷惑がかかるし」

「えー、じゃあ部屋にこもりっきりってことですか」

「そうなるわね」

 不満を前面に押し出すリダをばっさりと切り捨てたリオナだが、内心では彼女も気が滅入る思いだった。

 何かすることもなく、室内という限られた空間で時間を過ごすなど、これまでに経験したことがない。ゆっくり体を休められるというよりも、退屈に埋もれてしまわないかという不安がリオナの胸中で浮かびあがってきている。

「……ううん、そうじゃないわよね」

 落ち込みかけたリオナだったが、それではいけないと首を振って思考を前向きに切り替える。

 現在のリオナの境遇は、毎日が細い綱の上を渡っているような不安定なものだ。いつ危険が降りかかるとも分からない生活の中で、一時でもこうした平和な時間を得られるというのは幸せなことではないのか。

「たまにはそういう時があってもいいかもしれないわね」

 することがないならば退屈を楽しもう。そう考えを変え、リオナは薄く笑いながらベッドに腰を下ろした。

「僕は全然よくないですよぉ」

 そうした思惑など知る由もないリダは、その後もしばらくへそを曲げたままとなるのだが。






「準備はいいかい?」

「ん」

「俺はいつでも大丈夫だ。あとはお前が号令かけるだけだぜ」

 リーダー格の男の呼びかけに、仲間の二人は力強い点頭をもって答えた。全員の士気を確認したリーダー格の男は、テーブルの地図を畳んで懐に入れ、すっかり短くなった蝋燭の灯を吹き消す。

「それじゃ、計画通りに。……もし命が危ないと思ったら、計画はいいからすぐに逃げること。いいかい?」

「ったく、心配性だな。そんなこと言ってちゃ、成功するもんも成功しないぜ?」

「……死んだら何も残らない。命を懸けて挑むことも時には必要だろうけど――」

「おっとそこまでだ。決起したあとに長々と話し込んだら決意が鈍るぜ」

 リーダー格の男の言葉を遮り、軽口の男が歯を見せて笑う。

 照明の無い暗闇ではその顔もよく見えなかったのだが、リーダー格の男はそれが彼なりの優しさなのだと理解していた。

「確かにそうだね。……それじゃあ、行こうか」

「計画の後で、また」

「ああ、お互い最善を尽くそうぜ」

 それぞれの激励を交わし合うと、三つの影は別々の方向へ部屋を飛び出していった。

 ドアから、あるいは窓から。重力を感じさせない驚異的な俊敏性を持ちながら、一切の音を立てることなく室内から姿を消した。


 闇は静かに、街へと染み出していく。






 昼食を終えたガルドは、次にどうすべきか迷っていた。

 新しい依頼を受けて仕事と情報収集を試みるのがベストだろうが、リメールを手伝っている二人のことも少なからず気になっている。どちらにせよギルドに戻ることになるのだが、二人の様子を見てから再び依頼を受けに行くというのは何とも非効率のように感じられたのだ。

「もう新しい話も期待できそうにないしなぁ」

 あちこち回った結果として、ガルドはなんとなくこれ以上の情報は手に入らないだろうと感じていた。もとから人があまり表を歩いていないので、必然的にエディカの目撃者も少なくなっている。

 リオナの兄に関しては、この街には来ていないのだろうとさえ確信していた。エディカの後を追う以上、どうやらこちらの再会は当分先になってしまいそうだ。

「リオナには申し訳が立たないな……ん」

 壁に寄りかかってあれこれ考えていたガルドは、視界の端で動く影に気付いて即座に建物の陰へと身を隠した。

 人の往来が少ないため、誰かが通りにいればすぐさま分かる。どうやら道の先から二人の男がこちらへ向かって走ってきているようだ。

 だがガルドが咄嗟に隠れたのは、相手のために道を開けるためではない。

 走ってきた二人組の男は、真っ黒なマントで全身を覆っているというあからさまに異様な外観をしていた。さらに全身からは殺気にも似た雰囲気をにじませており、近づくだけで滅多刺しにされそうなプレッシャーを周囲にまき散らしている。

 ガルドの神経は、彼らが明確な危険人物であると大音量で警告していた。相手が何者なのかもよく分からないが、とにかく下手に関わらないほうがいいと判断したために身を隠したのだ。

 ――なんだあいつらは? 街のか弱い一般住人……ではなさそうだが。

 冷静に分析を行いつつ、息を殺して様子を窺う。

 二人の男はどこか目的地でもあるのか、スピードを緩めることなくガルドの前を通り過ぎていってしまった。どうやらガルドの存在には気が付かなかったらしい。

「……ふう」

 姿が見えなくなったことを確認し、溜息とともにのそのそと陰から這い出る。

 またか、というのがガルドの率直な感想だった。

 異変というものも、こうも連続して遭遇してしまうとさすがに慣れてくる。これまでの件のいずれかと関係があるのかは不明だが、厄介ごとの鱗片に遭遇してしまったのは間違いないだろう。

 ――ようやくこっちの用事に集中できると思った矢先にこれか。勘弁してもらいたいもんだ。

 詮索するつもりなど全くなく、とにかく一度ギルドへ戻ろうと踵を返したガルドだったが――


 その直後、地鳴りのような轟音がガルドの耳を(つんざ)いた。






「ああぁもぉ、退屈ですよぉーっ」

「はいはい」

 暇すぎて体を動かさずにはいられないのか、リダがベッドの上を往復して転がり続けている。延々とそれを繰り返しているので、リオナも適当な相槌で受け流している状態だ。

「リメール、早く帰ってきてくださいよぉ」

「うん、そうね」

 リオナの返答に心がこもっていないことにリダは気づいているのだろうか。あるいは彼女の言葉そのものが耳に届いていないのかもしれない。どちらにせよリオナには、彼と実りのない会話をするつもりはない。

 彼がベッドから落ちないようにだけ気をかけながら、リオナは静かに自分の脳内を整理していた。

 このままガルドの情報収集が進めば、おそらくはこの街を出発することになるだろう。リメールの手伝いが中途半端になってしまうことも考えられるが、そこはガルドを説得するつもりでいる。

 身辺が片付き次第出発する。それはつまり、この街の異変に関しては全て放置するということだ。

 ――もしそうなったら、私は迷わずにこの街を後にできるの?

 ――どこかにいる大勢の同族のことは知らなかったことにして、何事もなかったように旅を続けるの?

 おそらく、リオナの心持ちで結果が変わることはないだろう。

 だがそれでも、リオナは考えることをやめられなかった。

 考えることをやめてしまったら、それこそ本当の意味での『逃げ』のような気がしていたから。

 騒動が起きてほしいわけではない。ただ、何かしら同族に関する手がかりが欲しかったのも事実だった。

 ――さすがにそれはワガママかしら。なら、何も起きなくてよかったって思わなきゃいけないわね。

 いっそのこと開き直ってしまおうと心に決め、リオナは気持ちを切り替える意味で大きな深呼吸を一回した。


「ううー……」

 さすがに疲れてきたのか、回転をやめたリダが体を起こして窓の外を眺めている。斜面の下る方向に設置されたその窓からは、北側の街の様子を広く見渡すことが可能だ。

 建物こそしっかりしているものの、人影がほとんど見られないせいで寂れた印象を受けるのは仕方のないことだろう。

「……あ、人」

 リダに並んで何気なく通りに視線を下ろしたリオナは、意外にもそこを疾走する人影を発見することができた。何か急ぎの用事でもあるのか、目を見張るほどのスピードで幅のある大通りを駆け抜けていく。

 失礼だとは思ったが、物珍しさに思わず目で追ってしまうリオナ。

「あら? あの人……」

 本来ならばそれだけで済んだ些細なことだったのだが、不意に違和感を覚えたリオナは眉をひそめた。

 気になったのは、匂い。

 室内にいるためほとんど感じ取ることはできなかったが、その匂いは確かにリオナの鼻に届いていた。

 ――今の人、ひょっとして植物族なの?

 先刻の思案のこともあり、リオナは初めてこの街の同族を見つけたと気分が高まったのだが――


 その高揚した心を無理やり鎮めるかのように、外を見ていた二人の視界を(まばゆ)い閃光が覆い尽くした。




 何の前触れもなかった、という訳ではない。少なくとも一部の人間にとっては、これ以上ないほど明瞭な予兆に心当たりがあったことだろう。しかし、あまりに多様な異変が乱立していたために、この事態を正確に予測できた人間は存在しなかった。


 轟音の正体は、衝撃。

 初動により発せられた衝撃はもちろん、それをきっかけとして倒壊したいくつもの瓦礫が地響きを引き起こし、更なる衝撃を生み出す。

 閃光の正体は、爆発。

 単なる火炎ではなく、ある種の神々しさすら伴った一瞬の光。何の変哲もない街の一角から突然その存在を主張し、一瞬にして周辺の建造物を破壊し瓦礫の山と変えてしまう。


 街のあちこちで爆発が発生した。言葉にしてみれば実に単純な出来事だった。

 当然ながら街にいた人間にとって無視できるようなことではなく、静まり返っていたマルトーリの街は一瞬にしてパニックの渦に叩き込まれることとなった。

 あまりに突然な、そして理不尽な破壊行為に、人々は誰もが確信する。


 この事件が、テロ集団の仕業であると。

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