登校日
次の日。
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香葉はとりあえず学校へ来ていた。
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来た。
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それだけで少し疲れた
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朝起きる。
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支度する。
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駅まで歩く。
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電車に乗る。
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学校へ来る。
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それだけなのに。
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昔よりずっと体力を使う。
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教室へ入る。
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いつもの席。
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いつものクラスメイト。
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いつもの騒がしさ。
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でも今日は少し違う。
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終業式前。
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クラスレクの日。
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みんな朝から浮かれている。
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「水風船持ってきた!」
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「本気じゃん。」
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「古畑狙う。」
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「何で俺。」
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「反応が面白いから。」
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「ひど。」
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教室中に笑い声が広がる。
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香葉は窓際の席でその様子を眺めていた。
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疲れた
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正直。
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かなり。
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でも。
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来て良かったとも思う。
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家にいたら。
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きっと今頃ソファで寝ていた。
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そう思うと少しだけ気分が軽い。
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「浜中。」
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聞き慣れた声。
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顔を上げる。
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亮だった。
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「何。」
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「生きてる?」
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「失礼」
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反射みたいなやり取り。
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亮が笑う。
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香葉も少しだけ笑う。
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その時。
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ホームルーム開始のチャイムが鳴った。
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担任が教室へ入ってくる。
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「はいはい座れー。今日はもうどこでもいいから適当に座れ。」
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みんなが近くの席に適当に座る。
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どこか落ち着かない。
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今日は授業じゃない。
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クラスレクだ。
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担任も少し笑っている。
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「お前ら楽しみにし過ぎだろ。」
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「してます!」
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誰かが即答する。
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教室に笑いが起きた。
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香葉は頬杖をつく。
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窓の外。
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青空。
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真夏みたいな日差し。
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校庭。
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そして。
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大量の水風船が入ったバケツ。
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「本当にやるんだ……。」
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思わず呟く。
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その隣。
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亮が校庭を見ながら言った。
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「絶対びしょ濡れになる。」
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「でしょうね。」
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「俺の予想。」
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「何。」
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「根元が最初に仕掛ける。」
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「ありそう。」
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「その後全員巻き込まれる。」
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「もっとありそう。」
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二人とも少し笑う。
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その時だけは。
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体調のことも。
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検査入院のことも。
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忘れていた。
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あと少しでホームルームが終わる。
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そして。
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高校三年生最後のクラスレクが始まろうとしていた。




