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タイトル未定2026/06/06 01:15

服飾に興味がある病気持ち香葉

ダンス、服が好きな亮

そんな2人の話

高校三年生。


浜中香葉(はまなかかよ)は機嫌が悪かった。


朝から最悪だった。


担任には進路のことで呼び止められ、


友達には恋愛の話を振られ、


挙げ句の果てには――


「浜中ー!」


教室の後ろから聞こえる声。


古畑亮(ふるはたりょう)だった。


香葉は無視する。


しかし亮はめげない。


「おーい。」


「……何。」


「今度一緒に学校行かない?」


教室がざわつく。


香葉は眉をひそめた。


「は?」


「駅から。」


「嫌だけど。」


「即答じゃん。」


「当たり前でしょ。」


クラスの男子達が笑っている。


最近流行っていた。


女子を誘って反応を見るだけのくだらない遊び。


香葉は知っていた。


だから余計に腹が立った。


「暇なの?」


「結構忙しい。」


「じゃあ話しかけないで。」


「ひど。」


「以上。」


香葉は席を立った。


亮を置いて。



その日の放課後。


友達が言う。


「古畑って香葉のこと気になってるんじゃない?」


「ありえない。」


香葉は即答した。


「あれ絶対遊びだから。」


「そうかなぁ。」


「そう。」


少なくとも香葉は信じなかった。



ところが翌朝。


駅のホームへ向かう途中だった。


改札を抜けた瞬間。


聞き覚えのある声がした。


「おはよう。」


振り返る。


亮だった。


長い前髪。


ダボっとしたシャツ。


眠そうな顔。


昨日と同じ。


「何でいるの。」


「待ってた。」


「意味分かんない。」


「一緒に行こうと思って。」


「断ったよね。」


「知ってる。」


「じゃあ帰って。」


「学校行かなきゃ。」


香葉は頭を抱えた。



それからだった。


亮はなぜか毎朝現れるようになった。


雨の日も。


晴れの日も。


寝坊した日も。


「おはよう。」


「……。」


「無視?」


「うるさい。」


そんなやり取りを繰り返す。



不思議だった。


最初は面白半分だと思っていた。


でも。


一週間。


二週間。


一ヶ月。


亮はやめなかった。



ある日の帰り道。


香葉はついに聞いた。


「ねえ。」


「ん?」


「何で話しかけるの。」


亮は少し考える。


「話したいから。」


「理由になってない。」


「じゃあ。」


亮は笑った。


「浜中、いつもつまらなそうだから。」


香葉の足が止まる。


「……何それ。」


「怒った?」


「怒る。」


「でも本当じゃん。」



言い返せなかった。


誰にも言われたことがなかったから。


香葉はいつも笑っていた。


周りに合わせて。


空気を読んで。


問題なく過ごしていた。


なのに。


亮だけは見抜いていた。



それから少しずつ。


本当に少しずつ。


二人の距離は変わり始めた。


帰り道に寄り道したり。


カフェに入ったり。


服の話をしたり。


将来の話をしたり。


気付けば。


香葉は亮といる時だけ、


無理に笑わなくなっていた。



「なあ浜中。」


春の終わり。


駅前で亮が言った。


「何。」


「最近楽しそう。」


香葉は少し考えた。


そして笑った。


自然に。


本当に久しぶりに。


「古畑のせい。」


「俺?」


「うん。」


「何した?」


「知らない。」



分からなかった。


亮が何者なのか。


何を考えているのか。


どうして自分に話しかけたのか。


今でも分からない。


だけど。


一つだけ確かなことがあった。



退屈だった毎日が。


少しずつ変わっている。


変えたのは亮じゃない。


きっと。


亮と出会ったことで、


変わろうと決めた自分自身だった。



「おはよう。」


いつもの駅。


いつもの声。


香葉は振り返る。


そして少しだけ笑った。


「おはよう。」


二人の物語は、


まだ始まったばかりだった。

2人の高校は私服校です。

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