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コンスタンティノーポリの陥落  作者:


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1/7

陥落

 頭に白い布を巻きつけ、体を覆う白い布の服に曲刀を手にした十数万の兵たちが瓦礫と化した城壁に殺到する。


 数百年外敵の侵入を寄せ付けなかった聖地コンスタンティノーポリも、ついに陥落の時が来た。


 新兵器によって崩れ落ちた三重の城壁を踏み越えたトルティーア兵は、雪崩を打って城内に突入した。


 城壁の真下、露店の立ち並ぶ市街地、貴族の家々が立ち並ぶ地域。城内のあちこちで戦闘が始まり、全身を覆う甲冑を着た防衛軍が奮戦する。だが前からも後ろからも突きたてられる曲刀についに一人、また一人と崩れ落ちていく。


 軽装のトルティーア兵は甲冑の隙間から短剣を突き刺してとどめを刺した後、仲間割れを始めた。


「こいつの兜は俺のモノだ」

「じゃあ胸当てを俺にくれ、」

「剣は渡さねえ。一番高値で売れる」


 城壁内部のあちこちで剣戟の音と怒号、悲鳴が広がり始めた。その中には若い女性のものも多い。


 だが城壁を破られたとはいえ、三か月にわたり戦ってきた防衛側の戦意もまだまだ衰えを見せない。


 指揮官である皇帝コンスタンティヌス十一世は、紅のマントをひるがえし白馬を駆りながら城内の兵を叱咤しつつ、馬上から剣でトルティーア兵を切り捨てていく。


 瞬く間に細面の彫りの深い顔は返り血で染まり、剣の刃にはすでに鮮やかな赤色がこびりついていた。


 だが十万を超す大軍の前に皇帝の供は一人、また一人と倒れていく。


 最期の時にはわずか三人しか残っていなかった。


「敵の手にかかって死ぬより、我が胸に剣を突き立てよ」


 命令を忠実に実行した最後の供は、全身から血を吹き出しながら死んでも剣を手放さなかった。


聖なる都が殺戮の都と化す中、信仰熱心な信者たちは聖ソフィア大聖堂の中に駆け込んだ。


 太古からの言い伝えによれば、コンスタンティノーポリに敵が迫った時。最高位の熾天使ミカエルが大聖堂の屋根の上に顕れ敵を右手の剣で追い払うと信じられていたからである。


 だが勝ったのは熾天使ミカエルの伝説ではなく十万を超えるトルティーア兵のほうだった。


 大木の先端を削って作った破壊槌によって閉めきっていた青銅の門は破られ、どっと攻め込んできたトルティーア兵に大聖堂は混乱のるつぼに陥る。


 尼僧の中には敵の手に落ちることを恥じ、井戸に身を投げて死んだ者もいた。だが多くの者は修道院長の命ずるままに、恭順の美徳そのままに、無抵抗で捕らえられた。


「おら並べ並べ!」


 トルティーア兵は親の仇でも奴隷として売れれば売ると言われる。おとなしく従ったもののほとんどは無傷で捕らえられ、女たちが教会に行くときに被る薄絹で互いに手をつながれた。


 だが奴隷として大した値のつかない老人と乳飲み子への対応は違ったものとなる。


「ちっ、こいつらは奴隷でも売値が付かねえなあ。こうするか」


その場で剣を突きたてられ、死体は井戸に投げ込まれる。


人がいなくなった大聖堂では略奪が始まっていた。


曲刀により多くのイコンが割られ、捨てられた。十字架は飾りの宝石だけがはずされた後、薪として火にくべられた。


大聖堂はもちろん、庶民の家も略奪を免れなかった。


トルティーア兵は争って荷物を運びだし、関心のないものは破壊され、焼かれていく。


やがて入場してきたトルティーア王の手によって皇宮の屋根に掲げられていたコンスタンティノーポリの旗が引きずりおろされ、代わりに赤地に半月のトルティーアの旗がひるがえる。


この瞬間、ディオス教の聖地コンスタンティノーポリはこの世から姿を消した。


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