アシカ作戦成功の背景と経緯(1940年後半)
1. 前提となる世界情勢
• 英本土の混乱:
フランス降伏後、英国では政府の指導力が揺らぎ始め、チャーチル政権は綱渡り状態。
王室と政府の一部がカナダやオーストラリアへの移動を開始しており、本土に空白地帯が
生まれつつある。
• 米国の不在:
分裂した合衆国は国際問題に関与できず、レンドリース法は実施されず、アトランティッ
クギャップ(大西洋中部)における英補給線は枯渇。
英国本土は物資・燃料・航空機部品の不足に悩まされている。
• 空軍力の低下:
RAF(英国空軍)はレーダー網の整備が不十分で、戦闘機・燃料・熟練パイロットの不足
からルフトヴァッフェ(ドイツ空軍)に制空権を奪われる。
• 海軍力の消耗:
大西洋での護衛任務や仏海軍の分裂により、イギリス海軍(Royal Navy)は戦力を十分
に集中できず、制海権が不安定化。
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2. アシカ作戦の発動(1940年9月)
■ ドイツ軍の準備:
• ドイツ軍はフランス北部に大量の上陸用舟艇、空挺部隊、上陸支援砲兵部隊を展開。
• 空軍はロンドン爆撃と南部防空施設の徹底破壊を継続し、心理戦としても威力を発揮。
■ 上陸:
• 1940年9月末、ドイツ軍がケント、サセックス沿岸へ上陸開始。
• 空挺部隊が背後に降下、交通・通信拠点を占拠。
• イギリス陸軍の再配置が遅れたため、防衛線は数日で突破される。
• 海上では、Uボートと空軍が制海権を一時的に確保し、連絡・補給路が維持される。
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3. ロンドンの陥落と英政府の亡命
• ロンドンは10日間の市街戦の末に陥落。
• チャーチル首相は政府関係者と共に空路でスコットランド経由で脱出。
• 王室は事前にカナダへ移動していたため、王政そのものは温存されるが、本土政府の機
能は停止。
• カナダに亡命政府樹立:
• 英国本土を放棄した政府はオタワで「大英帝国亡命政府」を発足。
• 英連邦(カナダ、オーストラリア、インドなど)との関係維持を図るが、本国喪失の影
響は甚大。
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◆ 占領後の英国:枢軸の支配と親独政権の樹立
1. 親独傀儡政権の成立
• ドイツは**「秩序の回復と反ボリシェヴィズムの拠点確保」**を掲げ、親独派の政治家
(例:モーズリーなど)を中心に「ブリテン統一政府(Government of National
Order)」を設置。
• 王政には形式的に敬意を払いつつも、実権はナチスの占領軍政下に置かれる。
2. 占領政策
• 大規模なレジスタンス鎮圧、ユダヤ系住民の弾圧、思想統制の導入など、欧州大陸と同
様の抑圧的占領政策が敷かれる。
• イギリス海軍の残余勢力の一部は亡命政府に合流するも、本土に残った艦隊は降伏また
は自沈。
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◆ 国際社会への波及
1. 連合国の動揺と再編
• 英国失陥は、連合国の象徴的敗北として受け止められる。
• 自由フランス、蝦夷共和国、英連邦、南部連合などが連合国の再構成に向けて会合を持
つ。
• 日本(大日本帝国)は蝦夷共和国とともに、極東における新たな連合国勢力の中心とな
るべく動き始める。
2. ソ連の孤立
• 東欧におけるナチス支配の拡大と、英仏の脱落により、ソ連は極度に孤立。
• スターリンはドイツの動きを注視しつつ、バルバロッサ作戦への備えを急ぐが、対応は
遅れる。
3. 米国の動向
邦に接近。
• 分裂中の米合衆国(北部政府)はドイツとの距離を縮める動きを見せ、南部連合は英連
• 北米でも間接的な代理戦争の兆しが芽生え始める。
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◆ 日本・蝦夷共和国への影響
• 英国失陥により、南日本は最大の後ろ盾を失う。精神的・外交的ショックは大きい。
• 蝦夷共和国は、自由フランスとの連携を強化し、仏印・インドシナでの拠点維持に動
く。
• 英連邦は日本(統一戦線構想含む)に外交圧力をかけ、「今こそ南北日本の団結を」と
促す。
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英国失陥後の世界の詳細
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【1. 枢軸国の行動と世界制覇構想】
● ヒトラーの「ユーラシア制覇」構想が現実味を帯びる
• 英仏両国を政治的に崩壊させたことで、ドイツは「西の敵」を事実上排除。
• 「大陸欧州の枢軸化」が完成すれば、次なる焦点は東:
→ ソ連との全面戦争 → 勝利すれば中東・インド・極東へ。
● イタリア・スペイン・トルコの動き
• スペインはフランコ政権の中立を維持しつつも、英国失陥によりジブラルタル奪取や地
中海制覇を画策。
• トルコは独ソ戦の行方を見て、ドイツ寄りに傾く可能性。
• イタリアはアフリカ戦線で勢いづき、紅海・インド洋進出を本格化。
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【2. ソ連の危機と東方への転戦】
● ドイツはより早期に、より本格的に「バルバロッサ作戦」へ
• 英本土制圧によって後顧の憂いを絶ったナチスは、全戦力を東方に集中。
• ウラル山脈以西のソ連制圧が成功する可能性が急上昇。
● 極東ソ連領の脆弱化
• シベリア~極東ロシア地域は、兵站が断たれ孤立。
• 極東ロシア王国・蝦夷共和国が対ソ軍事行動を開始するチャンスとも。
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【3. 日本(南北)の対照的対応】
▼ 南日本(大日本帝国):破滅と暴走の予兆
• 英国の後ろ盾を失い、孤立と焦燥に包まれる。
• 大陸派陸軍が台頭し、「アジア独自ブロック構想」や「英帝国の遺産接収(特に朝
鮮)」を掲げる。
• 英国の敗北は南日本の外交方針を根底から揺るがし、ファシズム化・陸軍政権への転換
も。
▼ 北日本(蝦夷共和国):信念と孤高の戦い
• **「道義的指導者」**としての立場が国際的に確立される。
• 自由フランス政府とロマノフ系極東ロシア王国を中核とした「極東連合軍」の要。
• 英国・フランスの正統政権の精神的継承者として、戦後秩序の再建を視野に入れた外
交・軍事を展開。
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【4. アジア・中東・アフリカの秩序崩壊】
● 朝鮮・中国の権益争奪戦
• 英国崩壊により、朝鮮半島をめぐって南日本・北日本・ソ連・中国の四者がにらみ合
う。
• 中国(蒋介石政権 or 分裂国家)も、南日本の動き次第で枢軸入りの可能性。
● 南アジア~中東は「真空地帯」
• 英軍が撤退したインド、イラク、エジプトでは独立運動と枢軸勢力が跋扈。
• 日本・ドイツ・イタリア・トルコ・イランが、ユーラシアの再分割を目指す地政学戦。
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【5. 戦後秩序の構図が激変する】
● 蝦夷共和国の「義の盟主」化
• 英仏を失いながらも「自由フランス」と共に戦った唯一の極東国家。
• 戦後秩序の交渉テーブルでは、南日本より高い発言権を有することに。
● 米国が「後発の調停者」に変質
• 恐慌と分裂の影響で、戦争後期まで事実上中立。
• 英仏敗北の混乱を「収拾する立場」として登場し、「戦後秩序の仲裁者」となる可能
性。
• 戦後は南北日本を取り込むための工作・外交攻勢を強化。
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◆ 英連邦の工作体制と「極東特使団」
● 実務を担うのはカナダとオーストラリア
• 英本国政府はカナダに亡命しており、カナダ首相が実質的な連合国極東戦略の指導者と
なる。
• オーストラリア・ニュージーランドも「太平洋戦線の前線国家」として、積極的に工作
に関与。
• これにより、**「英連邦=脱英本国の多極指導体制」**が明確化。
● 極東特使団(Pacific Peace Delegation)構想
• **元植民地将官・外交官・知識人などから成る「極東特使団」**が組織され、南北日本
を往来して和平交渉を展開。
• 特使団は「一時的軍事協力」と「戦後統一のための国際調停会議(仮称:京都会談)」
の提案を行う。
• あくまで内政干渉には踏み込まず、「両政府の自主的合意」を尊重する形を取る。
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◆ 和解交渉における南北日本の立場
▼ 南日本(大日本帝国):
• 英国本土喪失により、「親英=国是」が自壊しかけていた。
• 英連邦の働きかけにより、「戦後秩序への復帰」や「朝鮮問題に関する国際的保証(現
状維持など)」を条件に協力に傾く。
• 陸軍主導下で、限定的協力としつつ蝦夷側への不信は残る。
• 内部には「枢軸転向」を唱える急進派も存在し、**「南日本内戦の火種」**ともなる。
▼ 蝦夷共和国:
• 蝦夷側の強硬派は、あくまで「南日本は不義の存在」と見なしており、全面協力には否
定的。
• しかし、極東ロシア王国の戦線維持、ソ連との関係調整の必要性などから、「非戦・不
干渉」合意には前向き。
• 英連邦と自由フランスによる戦後秩序設計の中核になれるという自信が、現実的な妥協
を促す。
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◆ 国際社会の反応と戦略的展望
● ソ連:
• ドイツに侵攻されたことで、連合国入り(事実上)を果たす。
• 極東の蝦夷共和国・極東ロシア王国との協力は「必要悪」として受け入れる。
• ただし、「ロシア白軍系の王国」に対しては極度の警戒を維持し、**戦後の「再編圧
力」**を秘かに準備。
● ドイツ・枢軸国:
• 日本南北の和解に警戒。南日本を揺さぶるために、外交的・経済的アプローチを強化。
• 特に、**「旧満州の回復」や「アジア共栄圏構想の支援」**を掲げて、南日本を懐柔し
ようとする。
• これが後の「南日本二重外交」や、「アジア枢軸構想」につながる可能性。
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◆ 「凍結された内戦」=再燃の火種として
● 戦後の統一問題をより複雑に
• この「一時休戦・軍事的協調」体制は、戦争終結後に「統一の正統性問題」として爆
発。
• 和解交渉で交わされた文書・合意・曖昧な表現が、「どちらが正統国家か」を巡る争い
に火を注ぐ。
• 例えば:
• 蝦夷共和国:「われらが連合国の正式構成国として、最後まで『義』を貫いた」
• 南日本:「われらこそが皇室を奉じ、日本の法統を守った正統政体である」
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◆ 歴史的構図としての意義
この「英連邦の和解工作 → 不干渉協定 → 共に連合国として参戦」というプロセスは、単
なる戦術的協力を超えた戦後秩序の種子となります。
これは、第二次世界大戦が「枢軸 vs 連合国」という単純な対立だけでなく、
**「戦後世界の価値観・正統性をめぐる準備戦争」**だったという読み解きを可能にしま
す。




