表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/56

■ 戊辰戦争(1868–1870) ― 武士道共和国家・蝦夷共和国の誕生と、南北日本の分裂 ―

1. 背景:幕末の動乱と列強の接近

1860年代、日本列島は、江戸幕府の弱体化と列強の圧力により混迷を極めていた。

• 江戸幕府は開国後の政情不安と経済悪化に加え、尊王攘夷運動と討幕派大名(薩摩・長

州など)の台頭により権威を失っていた。

• 列強(英・仏・露・米)は日本をアジアの拠点と見なして接近。薩長連合は英国の支援

を得て近代軍制を整備し、一方で旧幕府側はフランス顧問団を導入して新政府軍に対抗し

た。

2. 開戦と戦局の推移(1868–1869)

▸ 王政復古と鳥羽・伏見の戦い

• 1868年、明治天皇による王政復古の大号令が発せられ、薩長連合が「新政府」として発

足。

• 鳥羽・伏見の戦いにて旧幕府軍が敗退、徳川慶喜は恭順の意を示し江戸城を開城した。

しかし、ここで戦争は終わらなかった。

▸ 旧幕府強硬派の蜂起と北方進出

• 土方歳三、榎本武揚、松平容保ら強硬派は、恭順に反対し、蝦夷地(北海道)への脱出

を強行。

• 榎本は軍艦8隻と兵約3,000を率いて脱出し、蝦夷地・函館を占領。

• 同時に、**フランス軍事顧問団(例:ジュール・ブリュネ)**がこれに随行し、旧幕府

側の近代軍指導に協力。

3. 蝦夷共和国の樹立(1869)

• 1869年5月、函館にて**「蝦夷共和国」**の樹立が宣言される。

• 首都:五稜郭

• 政体:共和制(議会制・大統領制的要素を持つ)、元首には榎本武揚が選出される。

• 綱領:「武士道と共和政の融合」=近代国家でありながら、日本的道徳と忠義を重んじ

る精神国家。

• 同年6月、

「義と忠の政府」を名乗り、天皇への忠誠を保ちつつ、東京政府の専制に対

抗する存在として立脚。

• フランスが事実上の後ろ盾となり、蝦夷共和国を半保護国化。顧問団の派遣、資金援

助、軍事教練が行われた。

4. 北日本・南日本の分裂(1870)

▸ 函館戦争の経緯と講和

• 東京新政府軍は、1870年初頭、蝦夷共和国への総攻撃(史実の箱館戦争相当)を敢行。

• しかし、フランス海軍の示威行動と国際世論(武士道共和国への評価)により、新政府

軍は攻撃を断念。

• 最終的に、英仏による調停が行われ、「蝦夷共和国の自立を事実上承認する形」で停戦

協定が締結。

▸ 日本列島の南北分裂の固定化

• 南日本(東京政府・大日本帝国):明治天皇を戴く中央集権国家、英国の保護下で近代

化を進める。

• 北日本(蝦夷共和国):武士道と共和制を掲げる自治国家、フランスの影響下で北方領

土を基盤とする独自国家に成長。

---

5. 樺太売却への伏線

▸ ロシアの撤退とフランスの仲介(1871–75)

• ロシアはアラスカ売却(1867)後、極東からの戦略的撤退を検討。

• 1871年、フランスの外交工作により、ロシアと蝦夷共和国の交渉が始まる。

• 1875年、

**「樺太割譲条約(仮称:函館協定)」**が締結され、南樺太が蝦夷共和国の

統治下に入る。

---

結論:戊辰戦争の結果とその意味

• この世界の戊辰戦争は、単なる王政復古の争乱ではなく、

➤ 「日本における二つの近代化モデルの分裂」であり、

➤ 「英仏の代理勢力化による冷戦構造の萌芽」でもあります。

• 明治日本(南日本)は近代国家建設を英国式の立憲君主制で進め、

蝦夷共和国(北日本)は武士道的精神共和国としてフランス式共和体制と融合した独自

の道を歩むことになりました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ