松島型装甲巡洋艦(全4隻)
◉ 概要
本型は、1890年代の日本(大日本帝国)が英国の支援の下で整備した初の本格的な装甲
巡洋艦級戦力であり、日清戦争における決戦兵力として設計されました。
英国造船所で建造(全艦バーケンヘッド/バロー=イン=ファーネス/グラスゴーなどで
発注)
近代戦に対応すべく、複数門の中口径速射砲を備えた軽快な防護巡洋艦型設計
同時期の清国北洋艦隊「定遠・鎮遠」級の装甲戦艦に対抗する意図で整備
◉ 要目(仕様・性能)
項目|内容
種別|防護巡洋艦(protected cruiser)
建造国|英国(ヴィッカース、アームストロング社など)
就役年|1892年~1894年
排水量|約4,200トン(常備)
全長|約110m
全幅|約14.2m
吃水|約5.5m
機関|2軸レシプロ蒸気機関+混焼水管ボイラー
出力|約9,000馬力
速力|約19ノット(最大)
航続距離|約6,000海里(10ノット)
装甲|甲板防護装甲:最大51mm、司令塔:76mm
兵装(標準)|主砲:6インチ速射砲 ×2~4門副砲:4.7インチ砲 ×6門47mm砲・
37mm砲 ×多数魚雷発射管 ×4門
乗員|約350名
特徴|艦隊随伴型。敵巡洋艦・駆逐艦制圧と偵察・通商保護に対応
◉ 設計思想と特徴
英国式「海軍小艦隊戦術」への適合
主力戦艦を支援する高速巡洋艦として設計。
単一の大口径砲(史実の32cm砲)ではなく、中口径速射砲の斉射を重視。
水雷艇や装甲巡洋艦との遭遇戦を想定し、速力と操艦性が強調された。
軽量だが実用的な装甲
水平甲板防御に限った設計(防護巡洋艦型)で、速力と航続力を両立。
定遠級のような重装甲艦には正面衝突せず、機動戦と夜戦を重視。
最新技術の実験艦的性格も
電灯照明・蒸気舵・速射砲の分散配置など、英国式の試験的装備が採用された。
無線電信の予備搭載空間が確保され、将来的な拡張性が考慮されていた。
◉ 各艦の個別特徴
艦名|就役年|特徴と備考
松島|1892年|一番艦。速力は最も優秀。日清戦争で黄海海戦に参加し、
指揮艦として活躍。
厳島|1893年|二番艦。砲術訓練艦としても活用。副砲配置にやや改良
あり。
橋立|1894年|三番艦。最も長く在籍した。日露戦争時は通商保護任務に
従事。
秋津洲|1895年|四番艦。対地砲撃装備を追加試験的に搭載。台湾周辺
作戦や偵察任務に活躍。
◉ 戦歴と評価
日清戦争では黄海海戦などで北洋艦隊と交戦し、数的・技術的優位を発揮。
史実と異なり、主砲の過剰集中を避けた設計が奏功し、実戦で高い命中率と戦術柔軟性を
発揮。
日露戦争では時代遅れとなったが、通商保護・哨戒・沿岸砲撃で実績を残す。
英国海軍からも「巡洋戦艦思想の原型」として再評価される。
◉ 総評
この世界における松島型は、大日本帝国海軍が英国式海軍思想を受容し、自国の国情に
合わせて昇華した初の本格的戦力艦艇群であり、後の敷島型・巡洋戦艦金剛型へと繋が
る「基礎設計の礎」としての歴史的価値を持ちます。