2000年代の日本連邦中心の宇宙開発 ― 地球を捨てず、超えてゆく文明の基礎 ―
1. 歴史的位置づけ
• 20世紀後半の地球は、ナチス内戦、米中のNBC戦争、宗教戦争、気候崩壊により、大部
分が無政府化・汚染地帯となった。
• 紙挟み作戦を経て技術・文化・人材の大部分を確保・保全した日本連邦は、1990年代ま
でに自国領域と勢力圏の安定を確保。
• 宇宙はもはや「夢」ではなく、文明の維持・再建のための唯一のフロンティアとして定
義された。
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2. 宇宙開発の基本方針と戦略目標
項目 内容
開発主体 日本連邦宇宙開発局(JSA)+海軍宇宙部門、英連邦宇宙協力庁、蝦夷共和国工
学庁
開発理念 「空間を越えて、文明を保つ」(標語)
最終目標 西暦2300年代までに文明圏全人口(約1.2億人)を宇宙空間に脱出・定住させる
中期目標(〜2100年代) 軌道上における自給的居住構造(重力・水・酸素・電力)の確
立、小惑星資源活用体制の構築
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3. 技術基盤の三本柱(2000年代時点)
A. 宇宙往還機〈かがち〉計画
• 再使用型宇宙プレーンとして2003年に試作機初飛行。
• 大気圏内:ラムジェット+ロケット補助/軌道上:液体酸素+水素燃焼。
• 2009年に実用型〈かがち改〉が就役、以降年数回の往還ミッションを達成。
• 特徴:物資輸送、軌道乗員交代、ステーション建設資材搬送に対応。
B. すばる宇宙ステーションの拡張
• 1980年代に建設された初期型を、2000年代にかけて大幅改装。
• 拡張モジュールには:
• 水再生・空気循環設備
• 人工重力実験モジュール
• 医療研究用生体棟
• 英連邦・蝦夷共和国も各1モジュールを提供し、連邦宇宙圏協力体制の象徴に。
C. 軌道発電所計画(SPS-1)
• 宇宙太陽光発電衛星(SPS:Solar Power Satellite)の実証運転開始(2006年)。
• マイクロ波送電により、トラック基地周辺へ10〜20kW規模の送電成功。
• 将来のスペースコロニーの電源供給源として基礎データを収集中。
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4. 宇宙探査・資源開発の初期段階
● 小惑星探査機〈あやかし〉計画
• 2005年、小型無人探査機〈あやかし一号〉が地球近傍小惑星「白妙」へ到達。
• 資源分析により、鉄・ニッケル・レアメタル含有の高密度岩体であると判明。
• 往還機を介して採取試料を軌道へ持ち帰ることに初成功(2008年)。
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5. 宇宙構造物の実験的建設
• **軌道ドックモジュール「つるぎ」**建設開始(2007年)
• 日本製アルミ合金と、〈あやかし〉で得た小惑星ニッケルを複合加工。
• ロボットアームと自律組立ドローンにより、地球資材依存を脱却する試み。
• 軌道工学研究所「しらぬい」設立。
• 居住構造、重力・遠心力実験、宇宙農業の基礎研究を開始。
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6. 社会的・文化的意義
• 宇宙開発は単なる技術ではなく、「人類文明の保存活動」。
• 2000年代はまだ「地球に文明がある」最後の世代であり、
→ 教育・文化保存・宇宙移民選抜なども並行して開始。
• 若年層の間では、「宇宙育ち」=新世代の象徴として定着し始める。
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7. 描写例(歴史記録風)
『宇宙に文明を移す』という言葉は、21世紀初頭まで夢物語であった。
だが、日本連邦が〈かがち〉の主翼を成層圏へ滑らせ、
〈あやかし〉が白妙から帰還し、〈つるぎ〉が組み上がったその時――
人類は、はじめて「地球を離れて暮らす」という現実に足を踏み入れたのである。
― 日本連邦宇宙開発年鑑(2000年代編)
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結論:2000年代は“宇宙建国”前夜
この時代の日本連邦は、「宇宙へ行く国」ではなく、「宇宙に生きる国」への脱皮を始め
た。
宇宙往還機・すばる拡張・小惑星資源・軌道建築――これらは、スペースコロニー建設
と脱出計画の静かな序章となる。