1990年代のアフリカ ― 解体された地図の大陸 ―
歴史的背景:脱植民地化の果てに
第二次大戦後、アフリカでは急速な脱植民地化が進行。
だが欧州宗主国がナチスとの戦争や内戦で崩壊・撤退したため、統治も秩序も移行されず
“空白国家”が続出。
この空白を埋めたのは、傭兵企業・ナチス残党・武器密売組織・革命運動・宗教武装集団
だった。
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地域別情勢(1990年代)
地域|状況
北アフリカ(エジプト~リビア)|中東戦線の延焼地域。ナチス支援の汎アラブ軍と、
旧英仏残党による**“戦争継続地帯”**。神経ガスと枯葉剤が使用された痕跡。
西アフリカ(ナイジェリア~マリ)|軍事政権・民兵勢力・イスラム原理派が入り乱れ
る“動く地雷原国家群”。ダイヤ密輸・少年兵・奴隷貿易が常態化。
中部アフリカ(コンゴ盆地一帯)|一度も統一国家として成立せず、鉱物資源を巡って
無数の私兵集団が交戦。世界最大の「生きた戦場」=“無限戦域”。
東アフリカ(エチオピア~ソマリア)|最早国家は存在せず、武装宗教と民兵経済の相
互支配体。ソマリアは全地球的に“無政府の象徴”とされる。
南部アフリカ(アンゴラ~南ア)|核兵器使用の報告あり。鉱山を支配する傭兵企業と
旧南ア政権残党が交戦。汚染・白人至上主義・経済封鎖により文明崩壊。
支配構造の断片化
■ 典型的な権力単位
権力単位|説明
鉱山私兵国家|レアメタル・金・コバルトなどの鉱山を中心に形成された武装経済圏。
傭兵企業が地元民兵を従属化し、国際市場に違法供給。
神政都市国家|イスラム・キリスト・土着信仰が融合した終末共同体。戦闘・儀式・制
裁が同一体系で行われる。
疫病自治区|遺棄されたウイルス試験区域。住民は人体実験・抗体生存者として扱わ
れ、外界からは完全隔離。
奴隷商団都市|子供・女性・病人・技術者を“取引資源”として扱う市場都市。港湾・空港
跡地などで成立。
社会の崩壊と“人間生態系”
平均寿命:25〜30歳未満(感染症・暴力・飢餓が主要死因)
通貨:物々交換・弾薬・燃料・加工食・
“契約人間”が流通単位
教育:武器の使い方・聖典の暗唱・罠の仕掛け方
都市:概念として存在せず、“拠点村”や“移動都市”が主要形態
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文明圏の対応
■ 紙挟み作戦
技術的・文明的資産が少なく、紙挟み作戦の対象外地域がほとんど。
一部、旧仏領・旧英領にあった研究所・通信拠点・天然資源測定所が短期目標に。
探索部隊の損耗率が高く、定期的な降下は中止状態。
■ 軌道・外部勢力の視点
軌道からの夜間観測では、アフリカ全域が**“光なき大陸”**と呼ばれる(発光点が少な
い)。
一部衛星通信記録では、旧カイロ・ナイロビ・ヨハネスブルク周辺に電磁波活動あり。
→地下宗教都市または自律機械拠点の可能性。
日本連邦・英連邦は南極経由でのみアフリカとの接点を維持(緊急時の避難ルート管
理)。
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総括
アフリカは、地球が国家を失ったときにどれほど深く沈むかを示す“生きた警告”である。
そこにあるのは戦争でも革命でもない。ただ生存のための殺戮、祈り、略奪、交渉の繰
り返しである。
アフリカは国家という言葉を拒否し、地理という現実にすら縛られない暴力と欲望の生
態圏となった。