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アホウドリが狩る側で。  作者: takenosougenn
序章 日常
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8話 大雨でも力技しか勝たん

バケツをひっくり返した様な大雨が突然降りだした。

人々は屋根がある地下へと逃げ込んで、家に帰りたい人々は傘を求めて街の下にある地下街のお店を転々とした。


1000円の傘ですら雨が降る時は売れていく。


「傘の在庫ありますよぉ〜って、おさないでぇ。」


小さな百貨店でバイトをしていた金メッシュの男は、せめて安い傘をと買い求める主婦にもみくちゃにされる。だが、 もみくちゃにされるだけで一切の支障もなさそうに主婦の間を抜け出してきた。


「よかったぁ、一本は笑雨のためにとっておかないと」


金メッシュの男、我路堕は傘を一本手にもつと「バイト上がりまーす」と店長と名前の書かれた札の男に声をかけて出 ていこうとする。


「おい、ちょっとまて。その傘会計してから帰れよ。前みたいに持って帰ったら万引きで突き出すからな。」


「あ。」


店長は我路堕が会計せずに持ち帰ろうとしていたことに気づいて、引き留める。我路堕は財布から1100円取り出すといそいそと自分で会計した。


雨が降った時の地下デパートは人でごった返しており、カップルで入って手を離せばすぐにバラバラになるのではない かと思われた。


我路堕が地下から出ると強い雨が地面をえぐる勢いで降っており、歩きにくそうであった。


「わあぁーやめてぇ」


少し遠くの方で、傘を投げだして走るおばさんが我路堕の方に向かってくるバイクに向かって手を伸ばしていた。バイクに乗っている人間はカバンを手に取っており、おばさんから奪ったものだと我路堕は気づいた。


我路堕は向かってくるバイクに乗っているヘルメットの人間の腕をつかんだ。ヘルメットは急に伸びてきた腕に反応することができずに我路堕につかまってしまい、走りながらバイクから引きずりおろされた。


コントロールを失ったバイクは真っ直ぐ走って電柱にぶつかる。


逃げるために速度を上げていたためか、ぶつかったバイクはへにゃりと曲がって二度と走れる状態ではなくなった。


「ちょっと、急に何するんですか・・・」

ヘルメットが開くとお人形のような顔立ちが現れた。


我路堕が一瞬戸惑うと、女は立ち上がって走り去ろうとするが「まってってば」というのんきな声とともに洋服をつかまれて転倒した。


我路堕は女が掴んでいたバッグ取り上げると中を確認する。


中には年金手帳がなどが入っており、銀行から降ろしたばっかであろう封筒が入っていた。


「ねぇえ〜おねーさんを見逃してくれたらぁ、いい事してあげるよぉ?」


女が我路堕に胸元のチャックを広げて深い谷間を見せつける。


だが我路堕は「わぁ。」と言うだけで腕をがっちり掴んで離さなかった。


おばさんにカバンを返すと、女を片手でつかんだままスマホを取り出した。


「あ、自警団さーん? なんか悪いことしてる女の人いたので、捕まえてください。」


我路堕は自警団の人に女を差し出すと、時計を見て「わ、急がないと笑雨の学校終わっちゃう。」と言って駆け出した。


我路堕が傘を持ちながら走るっていると、仁王立ちしている落笑堕を発見する。


一本道だったため落笑堕を避けて通る方法はない。


だが我路堕は止まらなかった。


電柱についている電気工事用の足場をつかむとそれを頼りに体を浮かせる。


身長の2倍はあるであろう壁の上に立つとそのまま四角い家の屋根に上った。


落笑堕の怒声が聞こえたような気がするが、我路堕は気にすることなく笑雨の学校へと家と家の間を抜けてショートカットして例のビルまで向かった。


いつもの校門が見えるビルに着くと、笑雨が出てくるかどうか確認した。


我路堕の視力(自称5.0) で靴箱を確認するとまだ笑雨のローファーは残っていた。


我路壁は一安心して、笑雨のために持ってきた傘のビニール袋を開ける。


取り敢えずむいたビニール袋を丸めてポケットに突っ込む。


そして投げた。


その距離、約65m


我路堕は槍投げをするかのように傘を投げる。


突然の雨により学校に残っている生徒が多かった校門はガラガラで人に当たる心配はなかった。傘は綺麗な弧を描いてすっぽりと減速しながらハマる。


「よっしゃ、これで笑雨濡れなくてすむわ」


我路壁はガッツポーズする。


丁度その時狙ったかのように笑雨と葉華邪が出てきた。

葉華邪は折り畳み傘をバッグから取り出して広げる。


「あ、笑雨一!笑雨のとこ傘あるよぉ!!よかったねぇ」


葉華邪は笑雨の傘立てを見て報告する。笑雨は自分の傘立てを見ると一言呟いた。


「いや、俺今日折り畳み持ってるんだけど。」


笑雨は刺さっている傘を落し物置き場に置くと、元々持ってきていた折り畳み傘を空に広げて下校した。

我路堕の店の店長


一回勝手に店の物を持って帰った我路堕を叱るだけで済まして雇ってくれるいい人。ちょっと人相(にんそう) は悪いし着替えの際、刺青(いれずみ) が見えたりするが、いい人。結構いい品物を取り扱っている。仕入れた小麦粉をトラックで運んでいると、警察に職質された過去があるらしい。

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