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アホウドリが狩る側で。  作者: takenosougenn
序章 日常
2/24

1話 青と金


街には一切の風も吹かず、人々が働きうごめく音だけが町中に響いていた。

青メッシュの男、落笑堕オワタはそんな街が見渡せるビルの屋上で這いつくばっていた。


「暑い......汗でスコープが濡れそうなんだけど.......」


暑い日差しがオワタを突き刺す中、オワタは火で焼かれたコンクリートにうつ伏せになり狙撃銃のスコープに目を通していた。


12.7㎜弾の射程距離は最大3.5キロ

オワタが狙う標的を1.2キロ地点に誘い込んだ場所で狙撃する作戦だった。

だが、予定の時間になっても一向に誘い込まれる気配もなくただ呆然と時間が過ぎていった。


「おい、我路堕ワロタ。どうなってんの、まだ来ないんだけど。」


オワタが金メッシュの男、我路堕ワロタに無線で呼びかけるとゼェゼェと息を切らした声で「相手が強すぎてさぁ~俺がそっちしよっかぁ?」と、結構切羽詰まった様子を見せながら冗談を挟んできた。

この男の場合は本当に思ってることもあるかもしれないが。


しばらくすると、金メッシュの男と巨体の大柄な男がスコープの視界に収まった。

大男は背を向けて、スコープに顔が写る金メッシュの男をにらみつけていた。

ワロタの額には傷ができており、普段へらへらとしているアホ面もこの時ばかりは真顔に変わっていた。


オワタは確実にスコープで照準を合わせて、こう着状態にある大男の頭に向かって引き金を引く。


「ドン」と鈍い銃声が鳴り、弾丸が音速を遥かに超える速度で空中に透明な線を描く。


僅か1.2秒


遥か先から放たれた弾丸は、大男の喉仏を貫通した。

貫通した弾丸は地面にぶつかった後、ワロタの背後にあったフェンスの穴を通り抜けていった。


「少しずれちゃったな。俺とあのバカ2人で殺せない奴は道具を使って殺す、あたまえだよね。」


再びオワタがスコープを覗くと、物陰に隠れていた白メッシュの少年、月堕ツンダがワロタに話しかけながらゴム手袋を付けて死体を真っ黒のゴミ袋へと2人で詰め込んでいた。

ひとまず安心したオワタが、狙撃銃を解体してケースに片付ける。


すると、頭一つ上にある貯水タンクから僅かな物音がする。

即座にオワタがその場から飛び去ると、オワタがいた場所にはサバイバルナイフを手に持った細身マッチョのオッサンが地面を突き刺していた。


「あー、あれね、ボス殺されたのもうばれちゃったか。それで殺されてから銃声があった場所に来て即座に復讐ね。それで、遠距離には近距離仕掛けて来たわけだ。」


オワタが後退りすると、男も同じだけすり足で寄って来る。

オワタは意を決した顔をして腰に隠していたナックルダスターをはめて、応戦の態勢をとる。


「まぁ、俺はアホ面に比べたら結構非力だけどさ。非力には非力の戦い方があるんだよ。」


オワタは少し踏み込むとナックルダスターをはめた手とは逆の手に隠してたトランプの山を相手に投げつける。トランプは即座にバラバラになり、紙吹雪のように相手の視界を覆った。



「じゃ、バイバイ。」



身を引いたオワタはビルの端っこを蹴ると手を振りながら背中から落下した。

細身マッチョが慌ててビルの下を見ると、地面に降りた青メッシュの男がパラシュートを抱えて走り去っていった。




落笑堕オワタ  次男

力に任せた戦闘は苦手、道具と師匠から学んだ格闘技を上手く組み合わせて戦う。

実行役の一人で、基本的に我路堕ワロタの暴走を止めるストッパー役を担っている。

本当なら彼女でも作って趣味をしながらのんびり過ごしたいと切実に願っており、初詣では「さっさと悪者がいなくなりますように。」と願って500円をお賽銭として納めた。


月堕ツンダ   三男

戦闘はもっぱら専門外、情報収集やナビ、殺しの道具の作成や死体処理を行う影のアシスタント。

普通に言って「縁の下の力持」。まだ高校に通っており、来年は受験が迫っている。

正直勉強をしたいとも思っているが、この日常がなければ退屈だとも感じている。

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