11話 悪魔の敵
片目を眼帯で隠して、人差し指と中指が無い男が居た。
男は名の知れた殺し屋だった。
男に傷をつけたのは2人の子供だった。
殺し屋の仕事をしている最中、フラッとその2人はやってきて男を殺そうとした。
男は2人の女の子を殺そうとしたが目を小拳銃で撃ち抜かれ、指を切り落とされ命からがら逃げ延びた。
男はニュースで2人の噂を聞く度に怒りを募らせて復習を考えるようになっていた。
男の部屋には2人を殺すための計画が緻密に練られたコルクボードが飾られており、その下には殺すための道具が散乱している。道具を一つとると、男は部屋を出ていった。
まだ日が昇り切らずとも、むしむしとしている廃工場に2人の少女が入っていった。
工場は張り巡らされた配管でいっぱいになっており、確認するための通路が僅かに道というものをつくっている。
工場は締まり切っており、中の音をよく反響させ外には音を漏らさない。
反響する声は誰がどこにいるかを不明確にして2人の歩みを惑わした。
工場の中をわんわんと通っていく取引の声に、青髪のツインテールの葉華邪は混乱させられ酔う限界だった。
「笑雨~ここうるさいよぉ。」
「大丈夫、早く終わらせよ」
短剣を持ちながら耳を覆う葉華邪に、同じ青髪で片目を隠したショートカットである笑雨が背中をさすりなが片手には小拳銃を持って、はっきりとした歩調で迷うことなく配管の中を進んでいた。
「黒い羽根を回収しに来ましたぁ~」
普段通りののんきな口調で笑雨が突撃する。
音もなく侵入してきていた2人に全ての人が硬直した。
硬直の緊張を破ったのは笑雨だった。
細長い筒からピンを引き抜くと数名いる敵に向かって投げつける。
筒は割れたかと思うと切れ目から鋭い光を照射してみている者の目をくらました。
その間に目をつぶっていた葉華邪が素早い動きで一人一人の心臓を短剣で突き刺していく。
一人リーダーらしき人がいたが、あっけなく葉華邪に刺されて死んでしまった。
「笑雨、あっけなかったねぇ。」
「そうだね」
葉華邪がぽっけから少し羽のかけた真っ白い羽を取り出して、自身が突き刺した心臓の上に羽根をおいた。その間に笑雨は部屋を見回して黒い羽根を探し出して回収した。
「っつ!!」
回収して戻ろうと葉華邪に声をかけた笑雨が後ろに気配を感じて飛びのいた。
背後の気配から放たれた弾丸が笑雨の頬をかすめ、傷を作る。
ギリギリで飛びのいたためか、傷は浅く絆創膏でも十分の傷であった。
「葉華邪の笑雨なんだけど!!」
笑雨の背後にいる人間に向かって葉華邪が短剣を投げる。
短剣は笑雨の横を通り過ぎて背後の男に向かったが、男が避けたため配管に突き刺さった。
男は義指をはめており筋骨隆々の体で通路をふさいでいた。
男が笑雨の腹に殴りを加える。
笑雨は咄嗟に腕でガードしたものの、笑雨の細い身体は奥に飛ばされた。
「まずは前俺の目を打ち抜いたお前だ、同じ目になればいい。」
男が眼帯を外すとそこにあったのは銃弾で作られた義眼だった。
銃を構え笑雨の目に照準を合わせる。
だが、命を取られようとする笑雨は微かに笑っていた。