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第43話

 腹部からの激痛が止まらない。これは刃物によって傷口が開かれたものではない。強く殴られた痛みだ。

 だが、たった一発殴られただけでこんなにも威力があるのか?

 全身からチカラが入らない。この一発でさっきまであったエネルギーの大半をごっそりと殆ど全て持っていかれてしまったぐらいに無気力だ。


「勝負ありましたね」

 冷徹なフォルテシアの声が降ってくる。すると首の後ろから服を引っ張られて無理矢理起こされると、近くのベンチに座らされた。


「あんた……なんでアタシのもとに現れた……?」

 息を大きく吸い込みながら辛うじて話をする。息をしていなければ今はとにかく辛い……


「二つあります。一つは犯罪組織ダークメア総帥、レーツァンを倒したあなたがどのような者か確かめること」

 やっぱりだった。もうあのピエロの配下であるダークメアは滝沢家に攻撃を仕掛けている。ドンを倒したのだからXIEDシードが調べに来るのも当然だろう。


「率直に言って、その強さでよくあの男を倒せましたね」

「あの変態ピエロを倒した、アタシが弱いって言いたいのか?」

 フォルテシアはそっと頷いて、

「あなたがあの男を倒せたのが疑わしいくらいです」

「違う……アタシの話も……ちゃんと聞いてから言ってくれ……!」


 そう言って10月19日に青山で起こった事件を正直に説明した。謎の女騎士を追う中で滝沢家と戦うことになり、そして事件の謎が半分解明された所で変態ピエロ──レーツァンが現れ、自ら諸悪の根源を名乗った彼は青山の大地そのものとこちらの家族──花予を人質にとったため、戦うことになった。

 滝沢邸内が奴の能力によって緑炎に覆われる中で、激戦の末に滝沢邸内に建つ時計塔までもつれると、そのてっぺんの高さから奴を叩き落とした。すると奴は笑いながら自らの緑炎によってその身を焦がし、灰となって消えた。


「ふむ。遺体はあがってないんですね」

 フォルテシアはその話を頷きながら聞く。手を顎に当てて。

「最期は自分の緑炎に焼かれて満足したように消えてった。なんか勝ち逃げされたような終わり方だった」

「いかにも狡猾かつ残忍でヘラヘラ笑っているあの男らしいです」

 さっきから、あの男という因縁めいた口調の呼び方と喋り方が妙に気にかかるがフォルテシアは続ける。

「分かりました。あなたが彼を倒したことは事実のようですね。それならば良かった。安堵しました」

「なにが?」

「もしもあなたが世を乱す脅威となる存在だったならば、そうなる前にあなたをここで倒し、拘束していた所です。下手したら殺していたかもしれない」


 それを聞いて、戦慄と冷や汗が出た。さっきのアレがまだまだ本気ではないという遠回しにしか聞こえなかったからだ。避けて避けて、こちらにした攻撃はたった一発だけ。しかもたったその一撃だけで終わらせてしまった。

 とんでもなく強い。もしかしたらあの変態ピエロよりも強いんじゃないかとさえ見えてくる。 

 とはいえ、あの男と言っておいて、倒せていなかったということは彼女でも手を焼いていたのかもしれない。


「では二つ目の理由へと参りましょうか」

 ここで意外な名前が飛び出すことを、諒花はまだ知らなかった。それは。


「──黒條零さんはどこにいるのですか? 今すぐ教えて下さい」 


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