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第31話

「三大幹部!? ダークメアには強力な幹部が三人もいるのか?」

『はい。彼ら三人は最高幹部と呼ばれ、その中の一人スカールがレーツァンに代わって代表して仕切っているという図になるのです』


 側近でナンバー2のスカールが率いているというのは零から聞いたので知っているが、三大幹部という名称は初めて聞いた。

 更に石動は続ける。カヴラは実質トップのスカールよりも一個下だが、それでも最高幹部という括りでは同格であると。

 最高幹部の三人はそれぞれが自分のグループとなる組、つまりは二次団体を所有し、滝沢家も二次団体として滝沢組がいるようにその組織から派生する形でグループを作って集団を率いている。

 裏社会の娯楽であり、滝沢家も世話になっている地下闘技場を運営、管理し、池袋に事務所を置く円川組もダークメアの二次団体の一つだ。最高幹部三人より下の幹部の中にも団体持ちの幹部はいるという。


 そしてワイルドコブラは敵対組織の殲滅や武力行使といったカチコミを専門に担う。三か月前のベルブブ教と円川組の抗争ではその中心には立ってはいないという。使うまでもないと判断されたのだろうか。いや、そんなことより。


「アイツら、なんで次々と倒してもわいてくるんだよ!」

『あの蜂を連想させるスーツの特徴から、彼らはビーネット直属の部隊でしょう』

 ビーネット? 誰だそれと反射的に口にすると、

『ワイルドコブラ幹部の中でもシミュレーションを得意とする、その通り蜂の異人ゼノです』

「よくチェスみたいにキャラを動かすゲームみたいな感じか」


 ゲーマーであり、レトロゲーム好きの花予がやっているのを横で見ていた記憶がある。自分と相手のターンを繰り返し、マップ上のキャラを一人ずつ動かしていき敵軍団を倒していくアレだ。

「蜂は集団で行動する生き物であるように、彼はこの戦場を把握し、集団の指揮に長けているのです。盤上で繰り広げられる戦を俯瞰するように』

「武力担当部隊なのに頭脳派がいるんだな?」

『いくら武力担当とはいえ、博識でなくとも人を動かし、頭が働く才を持った存在がいてこそ強い集団です』

 納得して頷く。零もそうだったように、確かに頭が良い存在はとても頼りになる。零のありがたみが同時に身に染みてくる。


「つまり敵が次々と出てくるのは、それだけ頭良いから手下が沢山いるってことだよな?」

『はい。なので彼は戦う前から部下を効率よく動かせるように、念入りに下準備をするといいます。今回も蜂の巣を置くように予め伏兵を配置していたのでしょう』

 渋谷はとても大きな街だ。同じダークメアのハインが現れたのも、既に裏で動き始めていたということだろう。


『それにしても、いきなり彼ほどの男が出てきたということは向こうは本気のようです』

 こうなっては話し合いは無意味です、そうハッキリ言った上で石動。


『諒花様。どこかにいるビーネットを倒して下さい』

「どこかにいるって、どうやって見つけ出すんだよ? どんどん敵が来るんだぞ?」

 蜂の姿を想像すると向こうは本物の蜂と同じように飛行能力は間違いなく持っているだろう。

『そうですね……逃げ回りながら追ってくる敵の数を減らして下さい。必ず敵の兵力にも限度というものがあります』

「全滅させたら向こうから勝手に出てきてくれるってことか」

 さっき戦った手下達は異人ゼノではなかった。強い異源素ゼレメンタルを感じなかったからだ。持っている武器も特別なチカラはなかった。ただの人間だ。


『ですがただ倒しまくれば良いわけではありません────』

 語気を強くした石動の助言に耳をしっかり傾け、話が終わると、自販機の影からそっと顔を出し、敵が出入口にいないのを確認するとビルを後にした。


『敵の大将を所定の場所へ誘い込むようにして戦って下さい。最終的にビーネットさえ倒せば敵は何もできなくなります』

 石動が最後に締めに言った言葉を再び脳裏に蘇らせながら。長く暮らしてきた渋谷駅近辺の地理は概ね把握できている。


 まずは敵を誘導しながら、その場所へと移動することが先決だ──!


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