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転生者の贖罪  作者: 七篠
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終業式。そして夏休みが始まる

 呪われたゾンビもどき事件から早3日、無事に終業式が行われていた。

 タマから受けた呪いも一部解かれ、ようやく自由な時間を楽しむ事が出来る。

 そんな終業式が終わった後に会長と共に地下に行く約束をしているが……何かあっただろうか?


「こんちわーっす」


 約束されていた場所に行くと、そこには俺と会長だけではなく、理事長にタマ、大神遥もいた。


「それじゃ彼も来た事だし、夏合宿について説明するわよ」

「夏合宿?」

「ええ。前に約束したでしょ、休んだ分取り戻せるように鍛え直してあげるって。そのために夏合宿と言う形でリハビリをさせようと思っていたのだけど、嫌とは言わないでしょ」

「ええ、それは嬉しい事ですが……何で会長まで?」

「この間の戦いで負けちゃったから鍛え直してほしいんですって」

「ああ、なるほど……」


 それで俺のリハビリだけじゃなくて会長も一緒に居るのか。


「それでリハビリって学校でするんですか?」

「いいえ、こういう時はやっぱり山でしょ」

「山って滝行?」

「それもあるけど基本的に山の避暑地で修行するって事。だから旅行の準備してほしいの」

「旅行ってどれくらいの期間ですか?」

「1か月」

「1ヶ月!?夏休み全部使うんですか!?」

「その代わり確実に強くしてあげる。あ、もちろん夏休みの宿題をする時間くらいはあげるからそっちも頑張ってね」

「ちくしょー……」


 夏休みの宿題なんて嫌いだ。せっかく修行する時間がかなり減るじゃないか。


「それでどこで修行するんですか?」

「京都よ。正確に言うと私の縄張りの山」

「まさか、伏見稲荷大社?」

「ええ。裏伏見稲荷大社だけどね」


 裏伏見稲荷大社。

 簡単に言うと妖怪とかが普通に存在する京都の裏世界。

 地形は通常の京都と変わらないが、街並みは江戸時代のような平屋だったり、井戸があったり妖怪にとって住みやすい街になっている。

 ファンタジー世界の田舎の風景みたいな感じだったが、今ではどうなっているんだろうか?


 そしてその京都の妖怪達を束ねているのが金毛一族、つまりタマの実家だ。

 基本的には何千年と生きている爺さん婆さんが取り仕切っているが今も仕切ってるんだろうな……

 あの爺さん達基本的に老害だから嫌いなんだよな。


「あの、お偉いさん達って俺みたいな普通の人間が言っても大丈夫なんですか?」

「大丈夫よ。黙らせるから」

「あ、はい」


 世界レベルの戦闘能力を持つタマがどう黙らせるのか怖いので深くは聞かない。

 とりあえず行ってどうこうされるわけではなさそうなのでそこは一安心。

 ただ問題は両親への説明だ。


「あの、リハビリに付き合ってくれるのは助かるんですが、両親に説明しておかないと……」

「それなら大丈夫よ。こちらで事前に説明してお願いしておいたから」

「え、そうなんですか?」

「ええ。詳しく説明してよろしくお願いしますってちゃんと許可をもらったから安心して」


 ……何か用意周到過ぎる気がするな……

 悪い事をするとは思えないが、何か裏があるような気がしてきた。

 強くなるためとはいえ裏があるのは怖いな……

 それでも行くけどね。


「そういう事なら安心していけます」


 両親に説明する手間が省けたと思えばいいか。


「それでいつ移動するんですか?」

「準備する時間が欲しいでしょうから……来週の月曜日に移動しましょう」

「分かりました。会長は?」


 さっきから話を聞いているだけの会長に聞いてみると、決意を固めた様な表情をしながら言う。


「私は何時でも構いません。よろしくお願いします」


 どうやらあの時負けたのが本当に悔しかったらしい。

 生徒会メンバーと思われる生徒達はいつ殺されてもおかしくない状況だったし、危険な目に遭わせたというのも理由なのだろう。

 責任感が強いのは理事長に似たようだ。

 ただ空回りしないと良いけど。


「連絡事項は以上!ちなみに保護者枠として私だけじゃなくて遥君も一緒だから」

「あ、それで先生も一緒だったんですね」

「と言ってもずっと一緒と言う訳ではありません。仕事もありますから」


 ため息をついているところを見るにタマに押し切られたって感じか。

 何はともあれ今年の夏は色々面白くなりそうだ。

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