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転生者の贖罪  作者: 七篠
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悪霊退治苦戦中

 地下2階の駐車場は想像以上に瘴気が蔓延していた。

 彼らの活動が収まる昼間であったとしても気分が悪くなったり、下手をすれば憑りつかれてしまう可能性だってあるだろう。

 もし何も知らない一般人が肝試し感覚で入っていたとしたら恐ろしい目に遭うだけではなく、この瘴気によって病気になったり隊長に異変が起きていた事は間違いない。


「酷い瘴気ね」


 そう銀毛がつぶやいてしまうほどに瘴気が濃い。

 流石に琥珀が中途半端に復活した時と比べればまだマシな瘴気だが、地下という密室状態が瘴気を逃す場所が無く、ずっととどまって溜まっている感じ。

 おかげで瘴気が黒い霧のようになって視界も悪くなっている。


「みなさんには浄化の祈祷を施しておきます」

「ありがとうございます」


 シスターがそう言って聖水を俺達にかけた後に祈りをささげた。

 これにより瘴気が体内に入って害をなす可能性はさらに下がった訳だが、この瘴気を出し続けている元凶を潰さなければそのうちビル全体に瘴気がこもってしまうかもしれない。


 全員で警戒しながら地下2階を進むと、今までよりもさらに実態がしっかりとした悪霊達がはびこっていた。

 瘴気が濃い事でさらに実体に近くなったのか傷口から血が落ちるような姿も見えるが、地面に落ちた血はすぐに蒸発して瘴気に変える。


「作戦はどうします?」

「各個撃破」


 涙はそういうとあっという間に飛び出していく。

 他の二人もあっという間に飛び出して近くに居る悪霊達を倒していく。

 若者は元気だな~っと思いながら大量にいる悪霊達を倒していく涙達は確かに強い。


 だがこういう何が起こるか分からない場所で各個撃破とは大きく出たなっと感じてしまう。

 昔の感覚で言うとできるだけマンツーマンで組んで撃破する事が望まれている。それと同時にチームで戦う事にさらになれるためだ。

 言ってしまえば誰と組んでも一定のチームプレイが出来るように常に練習しているような物だ。

 それに一人で戦うよりも複数人で戦う方が生存確率が高い。実戦なのだから死んでしまう可能性を少しでも低くするのは当然であり、好きではない相手と組んだからと言って生存確率を下げてしまうようなバカな事をしないため。

 それらを学ぶため常にマンツーマンを意識しつけなければならない。


 それがない事が若いな~っと思ってしまう。

 まぁ俺の場合常にスリーマンセルなんだけど。


「ツー、周囲の索敵及び魔法によるフォローを頼む。それから一番強い奴を教えてくれ」

『了解。しかし魔法によるフォローをしてしまうとマスターの魔力が消費されてしまう事になりますが問題ありませんか』

「問題ない程度に使ってくれるんだろ?リルも俺の護衛だけじゃなくみんなの事も気にかけてくれ。俺一人だけスリーマンセルってのは贅沢すぎる」


 俺がそういうとリルは影から出て危険な事をしている者のフォローに入る。

 その姿を見て満足しているとツーが声をかける。


『マスター。前方20メートル先に最も強い悪霊がいます』

「それじゃそいつを倒せそうなら倒すか」


 そう言いながらシロガネを振るいながらその悪霊に向かう。

 周囲の悪霊達を一線で倒しながら進むと瘴気が濃くなり少し息苦しさを感じる。

 瘴気を発生させている元凶がいる。

 元凶に近付いて行くほどに悪霊達が強くなっている。


 一太刀で倒せる悪霊が浅いと倒せない。

 それどころか瘴気を利用して傷を修復する。

 こりゃラスボスさんは相当面倒臭そうだ。


 そう感じながら突き進むと特に瘴気が強い所に来た。

 そこに居たのは何と言うか、非常に歪なゾンビとでも言うべき悪霊だった。


 3メートルくらいの巨体でありながら上半身にばかり筋肉がついているというか、足は細いのに腕や胸の筋肉ばかり発達している。

 顔も歪で片眼が潰れていたり、右側の頬の肉がそぎ落とされたかのようになく顎の骨が見えていた。

 その悪霊は俺を見るなり大きな方向を上げて襲い掛かってくる。

 歪な形をしているせいか、人間のように二足歩行で走るというよりはゴリラのような走り方だ。ナックルウォーキングと言われる前傾姿勢で拳を地面に当てながら走ってきた。


 形が歪であり、どれだけの力を有しているのか、こちらが予想していない攻撃をしてきたりしないか、少し情報が欲しかったので真正面から受け止めず、避ける。

 悪霊は勢いを殺さないまま突っ込んできたので駐車場を支える柱の一つにぶつかり破壊した。

 パワーに関してはかなりの物だが、そのほかの知性に関しては非常に低そうだ。

 しかしこのまま突進を繰り返し柱を壊し続けられるといつこの地下が崩壊するか分からない。

 もし崩壊してしまったら俺達全員仲良く生き埋め。そんな事になってしまったら非常に危険なのでこれ以上柱を破壊させるわけにはいかない。


「封じ、抑えよ。光鎖こうさ


 聖属性の光の鎖で悪霊の両手を縛り、動けなくする。

 そこにシロガネを突き付けようとしたが、4体の悪霊が割って入ってきた。


 どいつここいつも2メートルくらいの大きさで、こちらは全体的に肉付きの良いボディービルダーみたいな連中だ。

 そいつらはまさかの連携を取りながら俺に殴りかかる。

 シロガネを盾のようにして防ぐが残りの3体が俺の後ろや頭の上から拳を振り下ろす。


 流石にヤバすぎるのでシロガネに触れていた悪霊を押し返し、わずかにできた隙に結界を張って防ぐ。

 どうにか防ぐ事は出来たがとっさに作った結界なので非常に脆い。

 ほんの一瞬しかもたない事は分かっていたのですぐに逃げようとすると当時に結界が割れる。

 攻撃は床に突き刺さったが小さなクレーターをタダの腕力だけで生み出してしまうのだから食らったらかなり不味い。

 しかも割って入られた間にラスボスは鎖を引きちぎりこちらに向き直る。


 流石に強い悪霊5体を同時に相手するのはきついな……

 だが耳をすませばまだ他のメンバー達の戦闘も終わってない様子。

 ここは増援が来るまで生き残る事を考えて動いた方が良い。

 シロガネを改めて構えながら悪霊達と対峙した。

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