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電脳勇者の廻界譚 RE!~最弱勇者と導きの妖精~    作者: お団子茶々丸
第4章 砂塵舞う王国
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第79話 加速する災厄


~居住区“ホル”~



「ふんふんふ~ん♪はい、どうぞ」


「どうも‥‥」


 区長の家に案内されるなり、何故だか上機嫌な少女は慣れた手つきでコップに飲み物を注ぎ、客人たちに振舞った。全員分用意し終えるとようやく席に着き、最後に自身の分の飲み物を注いだ。頭に♪マークが見て取れるほど、少女の心はルンルンなのである。


「大砂漠の名産品、デラの果実を絞った特製ジュースだよ!混ぜながら飲むと酸味が出ておいしくなるんだ~♪」


「ごめん、おかわりもらえる?」


「もちろん!はい、どーぞ!」


「厚かましいなこのエルフ‥‥」


「あ、お兄さんの分も減ってるね。はい、どーぞ!」


「いや、俺は―――」


 遠慮しない!と、少女は満面の笑顔でカインのためにジュースを注ぐ。そのあまりにも純粋な微笑みを見て―――カインの強張った心も甘く溶かされていくのだった。


「リリィさんを咎めるフリして自分もおかわり狙ってたなんて‥‥中々に狡猾ですね」


「狙ってねぇし!」


「さて、リリィさんとカインさんのお腹がタブタブになる前に本題に入りましょうか」


 果物ジュースには一切手を付けず、エイミーは場の空気を仕切り直した。


「本題?じゃあまずは自己紹介からだね?!」


「いや‥‥教えて欲しいのは宮殿への抜け道であって、別に貴女の名前とか興味な―――ふぐッ!?」


「自己紹介かー!いいね、そういえばボクたちまだ名乗ってなかったもんね!」


 とんでもない失言を繰り出そうとしたエイミーにすかさず肘を入れるリリィ。鍛えられた戦槌の騎士のエルボーは、的確にエイミーの脇腹を貫いた。


「ボクの名前はリリィ、見ての通りエルフの騎士で―――このよく喋る妖精はエイミー。適当なことばかり言うけど、根は真面目だから大目に見てあげてね」


「よろしく、リリィさんとエイミーさん!」


「カインだ。さっきの紹介でもあったように、掃いて捨てるほどいる傭兵崩れの一人だが‥‥今は縁あってこいつらと旅をしてんだ」


「カインさんか‥‥ふふ、いい名前だね」

「私の名前はスピカ!この髪のせいで色々苦労しているけど、何とか生きてる元気な14歳です!」


 えっへん!と腰に手を当て声高らかにスピカは名乗りを上げた。


「お前‥‥さっきまで口数少なかったのに、ここへ来た途端急に元気になってねぇか」


 あんなに深々と被っていた帽子も、今は被ることなくテーブルの上に安置されている。心なしか性格も変わったような‥‥。


「ホルは安全だからね!ここの人たちは私を差別しないし、災厄の娘である私を匿ってくれるんだー」


「‥‥そうか」


 なるほど、とカインは理解した。ここは彼女にとって本当の自分を曝け出せる場所なんだ。まるで存在しないかのように‥‥隠れるように振舞う必要なんてない。暖かい理解者がすぐ近くに居る。孤独な彼女にとって、その事実は何よりかけがえの無いものなのだろう。


「ねぇ、スピカに家族はいるの?お母さんとお父さんは?」


「母さんは古代遺跡の調査中に事故で死んじゃったんだ。お父さんは‥‥」


 彼女はそれ以上何も語らない。さきほどまで弾けんばかりに明るい笑みを浮かべていたその顔は、今は見る影もなく霞んでしまっていた。


「ごめん‥‥無神経な質問だった」


「ううん、へーきへーき!今は区長やホルの皆が居るから何も問題ないし!それよりリリィさんたちは冒険者なんだよね?サン・クシェートラに来たのは、やっぱり古代遺跡がお目当てなの?!」


「古代遺跡‥‥?」


「そう!デンデラ大砂漠には大昔の建物がいーっぱい眠ってるの!古い時代のお宝とか、見たことも無い道具とか‥‥とにかくもう、すっごいんだよ!?この国に来る冒険者さんは遺跡にロマンを求めてやってくる人がほとんどだからリリィさんたちもそうなのかなーって思ったんだけど‥‥ちょっと違うみたい」


「そうだね、サン・クシェートラの古代遺跡はエルフの森にも伝わっていたくらい有名だけど―――今回の目的地ではないかな。ボクたちが目指してるのはプリシードっていう港町なんだ」


「港町ってことは‥‥海があるんだ!いいなぁ!リリィさんたち海を見に行くんだ‥‥!」


 スピカはキラキラと目を輝かせ、鼻息を荒げながらそう言い放った。デンデラ大砂漠にも川や水源はあるが、海は無い。熱砂の大地しか知らぬ彼女にとって海とは、古代遺跡よりもロマンあふれる存在なのだ。


「そんなに海が好きなのかい?」


「だって海だよ!?砂漠よりおっきくてしょっぱい水たまりが無限に広がってるんだよ?しかも海には水棲の種族も暮らしてるって話だし‥‥!ああ、想像しただけでワクワクする!」


「フフ‥‥じゃあこの旅が終わったら、ボクがスピカを海に連れて行ってあげるよ」


「本当!?」


「ああ、本当だ」


「約束だよ!?」


「うん―――約束」


 かつてのリリィにとって、世界はエルフの住む世界樹の森だけだった。炎を吹く火山も、荒れ狂う大海も、太陽の照り付ける大砂漠も‥‥全てお話の中だけの存在で、同じ世界であるという実感がない。けれど、森を出て外の世界を知れば―――自分の世界の小ささを驚くほどに思い知らされた。


 今のスピカは昔の自分だ。世界を見て、その美しさを知った時の感動を彼女にも味合わせてあげたい‥‥リリィはそう、強く思った。


「あの―――そろそろ本題いいですか」


「あ!そ、そうだね!ごめん、ちょっと喋り過ぎちゃった!」


 エイミーに促され、リリィは背筋を伸ばして座り直した。


「で、スピカさん。ジル様が囚われている地下牢への抜け道はどこにあるんですか?」


「うん、実はお父さんが宮殿に勤めていた時に‥‥正門を通らなくてもこっそり中に入れる抜け道を教えてくれたんだ。本来は有事の際に使う地下水路を利用した避難経路らしいんだけど、それを使えば宮殿の地下に出られるって言ってたよ」


「地下水路‥‥そこに降りる方法はありますか?」


「隣の居住区に水路を管理している施設があるから、そこから降りられると思う」


「なるほど、皆さん聞きましたね!?早速施設に向かって地下水路へダイブ!さっさと囚われのジル様とヘイゼルさんを救出しますよ!!」


 作戦の方向が定まり、エイミーはハイテンションで声を上げた。


「私はいっしょに行けないけど‥‥みんなとにかく気を付けてね。地下牢には街を襲った大悪人“外征騎士”も幽閉されてるって噂だから」


 ジルの救出へ向かおうとする三人の背中に、スピカは爆弾級の捨て台詞を残していった。




 ~サン・クシェートラ・黄金宮殿、玉座~



「今の報告は本当なのかメリアメン!衛兵長が災厄の娘の魔の手にかかったと‥‥!?」


「厳密には、ペトーを倒したのは娘を守護していた棍使いの男だと聞いています」


「ああ!何ということだ‥‥ついに小麦色の災厄に手を貸すものまでもが現れ始めた!しかも衛兵長を撃ち破るなど―――こんなことあってはならない!!」


 冷静さを失い、激昂する王の叫び声が玉座の間に響き渡る。神獣による生贄の儀式後、行方不明になっていた娘がようやく見つかったと思えば―――また新たな賊が現れ、王の思惑を拒んだ。その事実を前に、彼の心は焦燥感と恐怖で満たされていく。


「そもそも‥‥貴様が祭壇で賊を仕留めていればここまで状況が悪化することは無かった!!このままでは本当に―――神話と同じ終焉をこの国はたどることになるぞ!!」


「返す言葉もございません、王の御命令とあれば私はいつでもこの首を自ら切り落とす覚悟でございます」


「くッ‥‥!やはり地下牢の賊はすぐにでも処刑するべきだ、今すぐここへ連れてこい!我が直々に引導を渡してやる!!」


「しかし王よ、ヤツへの尋問はまだ―――」


「黙れ!そんな悠長なことを言っている暇はないのだ!こうなっては仕方ない、アルカイドを呼べ!ヤツであればすぐにでも災いの源を見つけ出し、サン・クシェートラを救ってくれるはず‥‥!」


 メリアメンの言葉ですら、今の王の耳には届かない。冷静な判断力を失った彼が求めるのはただ一つ、小麦色の乙女の首だけだ。


「そういえばアルカイドの姿を最近見ないな―――ヤツはどこだ?!まさかこんな肝心な時にどこかでさぼり呆けているのではないだろうな」


「な、何を言っているのです‥‥?アルカイド殿はもう‥‥」


「ほっほっほ、王はえらくご乱心のようですな。そんなに声を荒げて一体何事ですかな?」


 殺伐とした玉座に姿を現したのは―――宰相のイリホルであった。重苦しい空気感などまるで気にしていないかのように、笑顔のまま王の元へと近づいて来る。その姿が、メリアメンの眼にはひどく不気味なものに映った。


「おお!イリホル!!聞いてくれ、ペトーが災厄の娘に襲われたのだ!」


「ほう、それはそれは。何とも痛ましい」


「我々の行動が全て裏目に出ている‥‥このままでは“災いの太陽”が目覚め、世界が闇に包まれてしまうだろう。教えてくれイリホル、我は次に何をしたらいい‥‥!?石碑の神話には何と書かれているのだ‥‥?!」


「うぅむ、遂にここまで来てしまいましたか‥‥。次の神話の内容は少々過激なものになるのですが‥‥」


 芝居がかった様子で、イリホルは辛そうな表情を作って見せた。


「構わぬ、この国を救うためであれば―――我はどんな手段もいとわない!」


「ほほ‥‥よくぞ申された。では、恐れながら申し上げます」


「良い―――申せ」


「天まで届く生贄の山を築くのです、王よ。それこそが国を救う唯一の方法、災厄を封じる最後の切り札となりましょう」


 イリホルの口から飛び出した救国の方法は、常人であれば耳を疑わずにいられない内容であった。


「イリホル殿‥‥正気ですか?天まで届く生贄など―――」


「不満ですかなメリアメン隊長。しかし、天とは即ち太陽のおわす場所、矮小な贄では太陽に届かぬのです。災いの力はもはや我らの手に余るほどに増幅している‥‥父なる太陽の力無くして国は救えない」


「しかしイリホルよ、天まで届くほどの生贄など用意できぬぞ。囚人どもを使おうにも、数が少なすぎる」


「ほほ、何もサン・クシェートラの民を太陽に捧げる必要などありませぬ。生贄となる人命は‥‥他国から奪えばよいだけです」


 ニタリ、とイリホルは不敵に笑う。まるで王の質問を待ち望んでいたかのような狡猾な笑みだ。


「まさか戦争を仕掛けるおつもりか?!確証もない方法のために、罪なき民の血を流させるなど看過できませぬ!!」


「落ち着きなされ親衛隊長、ワシはあくまで王に選択肢を提示しただけ‥‥最終的に決めるのはクヌム王自身ですぞ」


「――――」


 イリホルの言葉を受けてクヌム王は静かに目を閉じる。自らの国を救うために、関係の無い国々を犠牲に出来るか‥‥為政者にとって避けては通れぬ難問を前にして、王は眉一つ動かさずに断固として言い放った。


「隣国ハビンからの来訪者は、我が許可も得ずに古代遺跡へ潜る(やから)が多いと聞く。そのような不届き者達が住まう街を―――見過ごすわけには行かぬ」


「お、お考え直しくだされ王よ!一時の感情に流されて決断を誤ってはなりません!」


 古代遺跡に秘密裏に潜入する異邦人は、ほとんどが遠い異国の者達だ。デンデラ大砂漠のすぐ外にあるハビンは、密入者が大砂漠に立ち入らぬよう関所を設けてくれてさえいる。そのような言いがかりをつけて侵略していいハズがない‥‥と、メリアメンは怒りを露わにした。


「王の決定は覆らぬ、貴様はもう下がれ。親衛隊各員にも戦の準備をするよう伝えるのだぞ」


「しかし‥‥!納得できません!」


「メリアメン―――貴様も牢に入れられたいのか?」


「っ‥‥!」


「牢といえばあの賊共のことだが‥‥我は戦の支度で忙しいので処刑は貴様らに任せる。トトメスあたりにでも首を刎ねさせるのがいいだろう」


 そして―――親衛隊長の言葉を以てしても、最後まで王の心が動くことは無かった。






~親衛隊・詰所~


 詰所に戻ったメリアメンは、部下たちに玉座での顛末を伝達した。


「ハビンの住人達を生贄にするって‥‥そんなバカな提案を王が受け入れたっていうの!?イリホルも何考えてるのよ、王の迷いを正すのが彼の役目でしょ‥‥!」


「キハハハハハ!!!それだけ外道やって何の効果も得られなきゃ笑いモンだぜ、ウチの王様はよォ!」


「そうだ。この無意味な虐殺に意味を持たせるため、我らは何としても生贄の儀式を成功させなければならん」


「隊長、それ本気で言ってるの‥‥?」


 生贄の儀式を成功させる、そう断言したメリアメンの発言をネチェレトは聞き逃さなかった。それが彼の本心からの言葉ではないことが、彼女には痛いほどに分かってしまったのだ。


「王の命令は絶対だ。王が是と言えば全てが是となる、親衛隊なら貴様も心得ているだろう」


「そういうこと言ってんじゃない、王の狂行を前に隊長は何も思わないのかって聞いてんだ!こんな手段で手に入れた繁栄なんて―――」


「そこまでだ、ネチェレト。それ以上は王への侮蔑に値する」


 興奮して声を荒げるネチェレトを、一人の大男が制止した。


「スコルピオン‥‥!」


「隊長が望んで俺たちにそんな命令をしている訳がないだろう。我々は一個人である前に王を守護する親衛隊だ―――彼の気持ちも汲んでやれ」


「‥‥ああ、悪かったよ」


 鋼鉄の鎧を身に纏った巨漢の騎士は淡々と彼女に告げ、静かに席に着いた。親衛隊一の古参、スコルピオン。実質的な副隊長ともいえる彼の存在は、親衛隊をまとめ上げるのに一役も二役も買っていた。


「で‥‥話は終わりか?ならば俺はさっさと失礼させてもらおう。クヌム王直々の御指名とあっては、あまり悠長にはしていられない―――すぐにでも賊の首を御前に晒し上げてやらないとな!キハハハハハ!!」


 下品な笑い声を捨て台詞に、トトメスは地下牢へと去っていった。囚われの賊、つまりジルとヘイゼルの処刑を今すぐにでも行うつもりである。


「アイツ、事の重大さが全く理解できていないね‥‥傍から見てるとイライラする」


「放っておけ。トトメスはああ見えて話の分かる男だ、必要最低限の要点くらいは押さえているさ。それより、ヨミはどうした?姿が見当たらないが?」


 クヌム王を守護する親衛隊は全部で5人。隊長であるメリアメンを筆頭に、不屈のスコルピオン、狂剣トトメス、死霊使いネチェレト、千弓のヨミ、というサン・クシェートラ屈指の戦士たちが集まって構成されている。


 当然、メンバーであるならば全員が隊長の招集に従わなければならないのだが‥‥。


「どうせ、またいつもみたいに弓をいじってるんだろ。仕方ない‥‥アタシがガツンと言ってきてやるよ」


「いや、ヨミには俺の方から伝えておく。それよりお前達に一つ問いたいことがある」


 メリアメンは真剣な面持ちで、部屋に残ったネチェレトとスコルピオンをじっと見つめた。そのただならぬ様子から、彼が今から話す内容は口外してはならない‥‥と、彼女たちは密かに理解した。


「宰相イリホル‥‥ヤツは誅すべき悪だと思うか」


「隊長‥‥それってまさか!?」


「―――彼を暗殺なさるおつもりで?」


 宰相イリホル‥‥彼の名が出た途端、詰所内の空気はより一層緊張感が増した。


「早まるな、そこまで考えている訳ではない。ただ‥‥ヤツが語る“石碑の神話”とやらが本当に正しいのか、その答えが気になってな」


「とは言っても、アタシらには古代文字が読めないからねぇ。あの爺さんが嘘を宣っていたとしても誰も証明することはできないよ。それはそれで歯痒いけどさ」


「だが妙だと思わないか?遥か太古から今まで信じられていた神話が、イリホルが宰相になった途端に塗り替えられた‥‥。数年前に宮殿の地下から掘り起こされた謎の石碑群、そこにはサン・クシェートラの全ての歴史が記されていたというが―――果たしてそれは真実なのだろうか。俺にはヤツが今までの太陽神話を踏みにじり、ヤツの都合の良い話をでっちあげているように感じるのだ」


「ですが、今までイリホル殿の言ってきた通りにことが運んできたのも事実。大雨による大洪水も、魔物の大量発生も―――彼は全て言い当てていたのですから。彼が唯一予言を外したとすれば‥‥それは“神獣の死”だけでしょう」


 スコルピオンの発言はいつだって的を得ている。彼は一切の私情を交えず、ただ真実だけを口にした。


「ああ、貴公の言う通りだ。石碑を読み解き、イリホルが王国にもたらした恩恵はあまりに大きい。だが俺は‥‥ヤツの行動に何か違和感を覚えてしまうのだ」


「まぁ隊長の気持ちもわかるよ、イリホルってなんか胡散臭いもんな」


「それはただの悪口ではないかネチェレト‥‥」


「良いんだよ誰も聞いてないんだし!アンタはちょっと堅物過ぎるんだよスコルピオン!」


「それが私の美徳である」


「スコルピオンの言う通りだな、お前も少しは彼の寡黙さを見習うといい」


「な!?隊長まで…!」


 張り詰めた空気は、取るに足らない雑談によっていつの間にか消え去っていた。戦いの合間のちょっとしたひと時‥‥この時間がメリアメンにとってはたまらなく愛しいものに感じられた。


「メ、メリアメン殿!!」


 しかしその僅かな休息の時間は、突如として部屋に飛び込んできた衛兵の一言によって終わりを告げた。


「何事だ?まさか小麦色の乙女を見つけたのか?」


「ち、違います!トトメス殿が‥‥賊の手によって討ち取られました!!どうやら賊は石室を自力で脱出していた模様です!」


「何だと?」


「う、嘘だろ!?トトメスは馬鹿だけど腕だけは確かだったんだぞ?!」


「隊長、ここは私が‥‥」


「油断したか―――トトメス」


 メリアメンは静かにそう呟くと、親衛隊の詰所を後にした。


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